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第103話「お預けを喰らっていたもの」

「お願いとは?」


 美咲がそれで我慢するというのなら、当然彼氏の俺は聞かないといけない。

 だから、内容を尋ねたのだけど――。


「来斗君のお家に、泊まりたい……」

「無理だ」


 反射で拒否してしまった。


「…………」


 間髪入れずに拒否したからか、美咲はわかりやすく拗ねた表情を浮かべる。


「そんなに、全力拒否しなくてもいいじゃん……!」

「いや、全力ではないけど、どう考えても無理だろ?」


 母さんに泊めてくれなんて言ったら絶対にからかわれるし、変な疑いをかけられる可能性だってある。

 コッソリ家に入れて泊めるなんてことはやりたくないので、諦めてもらうしかない。


「わかってるよ……。冗談で言っただけじゃん……」


 美咲は小さく頬を膨らませながらソッポを向く。

 言葉にしていた通り冗談のつもりで言ったんだろうけど、それだけではないと思う。

 もしかしたら、俺が頷くかもしれない――と期待していたようにも見えるのだ。

 だから拗ねているんだろうし。


「本当のお願いはなんだ?」

「彼氏さんの切り替えの早さに、彼女はやるせないです」


 先程の冗談はなかった方向で進めようとすると、美咲はコツンッコツンッと額を俺の胸に優しく打ち付けてきた。

 相手をされていない、と悲しんでいるようだ。


「時間が時間だからな」

「もういっそ、本当に泊まればいいのに……」


 再度プクッと頬を膨らませる美咲。

 どうしても俺から離れたくないようだ。


「それは無理だって。それよりも、お願いはなんなんだ?」


 俺は苦笑気味に返しながら、再度美咲のお願いを尋ねてみる。

 それにより美咲も思考を切り替えたようで、急に俯いて人差し指を合わせ始めた。

 モジモジとし、何かを言いづらそうにする。


 ……また、とんでもないお願いをしてきそうだ。


「無理のない範囲でお願いできれば助かるんだが……」


 いったい何を望む気なのかは知らないけど、先程みたいに無理なことを言われると叶えてあげられない。

 そう思って言ったんだけど――。


「大丈夫、来斗君ならできると思う……」


 美咲は、恥ずかしそうにしながらも俺ならできると言ってきた。

 未だに俺の顔を見ようとしないんだが、まじで何をお願いしてくるつもりだ……?


「とりあえず、言ってみてくれないか?」


 言葉にしてくれないとわからないので、俺は促してみる。

 すると――。


「お預け、されてた分を……頂ければと……」


 美咲はそう言ってギュッと目を瞑り、俺に唇を突きだすようにしながら真っ赤にした顔を上げたのだった。

活動報告のほうで

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滅茶苦茶かわいいので、

是非見てみてください(≧◇≦)

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― 新着の感想 ―
来斗くんと美咲ちゃんのやり取りが夫婦のようです 心が温まります〜
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