ハロウィン(´ཀ`∠) イベントストーリー
※時系列の前後有(10月31日)
「今日、ハロウィンですね」
レジでラッピングの包装紙を数えながら汐谷さんは呟いた。
かぼちゃやお化けや魔女の帽子。店内の白い壁は色とりどりの装飾で彩られている。
「なので、いたずらしてもいいですか」
「え!?」
あまりにも突然すぎる。
「え。いや、お菓子持ってなさそうだし」
彼が詰め寄ってきて、私を壁際へ追いやる。近づかれると、背の高さと整った顔に息が止まりそうになった。
彼の空気と、二人分の呼吸の音。
「持ってないって決めつけるの早くないですか。それに、いたずらするとして、何を……」
「なんでしょうね。ちょっと言えないですけど」
怖い。
間近に迫った彼は口の端を吊り上げている。なんだか楽しんでいるような。
「冗談ですよ はい。お菓子」
彼は少し離れると、背中に隠していた両手を差し出した。そこにはラッピングされた小袋が乗っていた。中身はカップケーキのようだ。チョコペンでお化けの顔が描いてある。
「わ、ありがとうございます」
私何も用意してないのに。
「次のハロウィンでお菓子くれなかったらイタズラするので。覚悟しといてください」
汐谷さんは「がおー」と威嚇のポーズをした。
あはは……
私は笑って流したが彼の目は笑っていないようで少しの恐怖を覚えた。