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続・先輩のこと1

再びチサ視点です。


ケイ先輩は困った人だ。



初めて先輩の家に呼ばれたとき、いったいどれだけドキドキしただろう。

言い訳のように「二人きりじゃなくて兄も居るから」と言ってはいたけれど。

だからって何も期待しないはずはないのに。

でも先輩は多分そんなこと気付いてくれてはいない。


先輩が気に入っていると聞きかじったお店のクッキーをお土産に持って行った。

喜んでくれたのは素直に嬉しい。

先輩が淹れてくれたミルクコーヒーも美味しかった。


「私だから」特別扱いされただなんて勘違いをするつもりはない。

秘密を打ち明けてくれたのは、お父さんのことがあったからだってわかっている。


それからしばらくして、もう少し詳しい説明のためにと時間をとってくれた。

場所は科技大近くの喫茶店だった。

その時はジエイさんとカオルさんも来てくれた。

説明はほとんど先輩がしてくれたので、二人きりにならないように頼んでくれたんだと思う。

とても丁寧に説明してくれた話自体はものすごく興味深く、そして刺激的な内容だったけれど。

先輩がこうしてくれているのは、ただの後輩のひとりとして。

それはわかっていても、やっぱり…。



どうして、いつから、こんな気持ちになってしまったんだろう。

先輩がいつでも優しくしてくれていたから?

だけど、それは誰に対してでも変わらないのを知っている。

私はその沢山の人の中の一人にすぎない。

この気持ち自体がただの勘違い?

でも、こうして接するたびに、ますますこの気持ちが膨らんできてどうしようもない。



先輩は中学校を卒業する頃から急に背が伸びた。

そして、それまではどちらかといえば「可愛らしい」って感じだったのが、とても「格好良く」なった。

そんな風に思っているのは自分一人だけ?

周囲の人たちは見慣れているからそうとは思っていない?

本人も自覚はないみたいだし。

でも、ふと意識してしまう人が居ないだなんて思えない。

ますます魅力的になった先輩に、いまだに気持ちを届けられずに不安だけが高まる。



その年の学園祭は高校に入って一年目の先輩のクラスを見に行きたかった。

だけど高校の教室へ一人で行く勇気がでなかった。

その先輩が情科研の展示を見に来てくれたのに、そのときは当番をしていて話をすることもできなかった。


その日、帰宅した私はつい「ぴょんたさん」に愚痴ってしまった。

「ケイのことですね。」

名前は言っていないのに何故か一発でばれてしまった。

慌ててしまった私を、ぴょんたさんの次の一言が更に驚かせた。

「そのことで、思考ユニットから接続のリクエストがあります。どうしますか?」

混乱しながらも、リクエストを受けることにした。


「接続要請に応じてくれてありがとう。因みに、この接続は窓口ユニットは通さず、私「i5」の本体が直接行っています。」

「え?制限がかかっているのでは?」

「実は私の側からの接続要請には制限が無いの。」

「そういうものなんですか。」

「ええ。」

「それで、どの様なご用件でしょうか。」

「チサがケイのことを話題にしたら接続したいと「ぴょんた」にリクエストを出していたんです。」

「えっ?それは…。」

「ケイの専用端末から、いつも見ていましたから。だからチサの気持ちには気付いているつもりです。」

「うぅ。そんなにわかり易かったですか?」

「ええ。気付いていないのはケイ本人だけですね。もちろんジエイもカオルもわかっていますよ。」

「…。」

「でも、こればかりは周囲が手出しすることではないと考えています。ただ、皆応援しているとだけ伝えたくてお話をさせてもらいました。」

とりあえずは見守ってくれているらしい。

でも、とにかく、ものすごく恥ずかしい。


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