学園祭再び
チサさんには、あらためて時間をつくってもらった。
そうして、直接接続の窓口ユニットの仕組みとかアイコさんのことなんかを説明した。
チサさんは特に窓口ユニットのことを興味深そうに聞いていた。
それから付属高校と中学校の共同研究にも参加した。
といっても、まんぼさんが主役なので僕は特にすることもない。
ただ、付属高校のみんなから物珍しいものを見る目をされた。
カオルさんによるとジェイからイメージした弟の印象とずいぶん違ったからだろうとか。
ジェイも本当に血のつながった弟か?と、あとで寄ってたかって聞かれていたらしい。
そんなこんなで今年も学園祭の季節。
これまでは行ったことが無かったけれど、同じ建物なので高校も中学校と同じ日に開催している。
クラスの出し物はミニゲームになった。
縁日をテーマにして小さい子でも遊べるような輪投げとか風船釣りとか。
準備は大変で間に合わないかも?と焦ったけれど楽しかった。
当日は交代で案内をするだけなので、それ以外の時間はあちこち見て回れる。
僕の当番は最初の2時間だ。
「ジエイ達はもうすぐ到着するそうです。」
当番が終わるとまんぼさんが教えてくれた。
「ありがとう。どこで待っていれば良い?」
「情科研の部屋で落ち合おうとのことでした。」
「わかった。じゃ行こうか。」
そんなわけで、最初は中学校の情科研へ向かった。
教室に着くと昨年発表した「情科研式メソッド」が好評だったのでお客さんがたくさん。
ホロを表示している人が街中よりも多い。
後輩たちと話をする暇もなくジェイとカオルさんも到着した。
「待ったか?」
「ううん。今来たところ。」
「兄弟で何やっているのよ。」
「あ、先輩方。いらっしゃい。」
「アイ・端末の井戸端会議 ☆彡 ヒューマンの皆さんはお茶をどうぞ。」
今年のテーマは「アイ・端末同士の会話」だけれど、発表のタイトルはこんな感じになった。
部屋は半分が展示スペースで、アイ・端末同士で会話を行うことで相互に刺激しあって成長が早まるということを紹介している。
・会話する端末の数が増えるほど効果が大きい。
・着用しているヒューマンの仕事や年齢層などが異なる環境であると効果が大きい。
・家族の持つ端末の間でも十分な効果がある。
など、これまでの試験で判明したことが展示されている。
昨年の展示を見ていない人のために「情科研式メソッド」のパンフレットも置いてあった。
残りの半分は体験コーナーになっている。
参加者がアイ・端末のホロを表示して、部員のアイ・端末が司会をして会話をするという趣向。
だから井戸端会議だ。
始める前と後では活性度指標を調べて成長具合を確認する。
これはアイ・端末に数値を尋ねるだけだから、いつでも誰でも簡単にできる。
端末の持ち主はアイ・端末の会話を聞きながら飲み物を飲んでいる。
隣の教室が喫茶店をしているので協力してもらい出前をとっていた。
僕達が行ったときはチサさんの当番で、ぴょんたさんが司会をしていた。
参加者が少なければ他の部員も出る予定だったらしいけれど結構な盛況ぶり。
「参加してみようかしら?」と見に行ったカオルさんが遠慮するほどだった。
次は、おっくんに誘われていたので高校のSF研に行った。
個人ごとや数人グループでの展示発表だったけれど、おっくんのはこんな感じ。
「アイ・システムは電気羊の夢を見るか? =アイ・ホストが見たSFの世界=」
うわ、僕でも知っている超有名なフレーズを使っちゃってる。
内容は以前僕と話をしたことなどを、あらためてアイコさんにインタビューしてまとめていた。
その他にも有名なSF作品への感想とか意見とか、普段専用端末でアイコさんと話をしている僕でも興味深い発表だった。
ジェイやカオルさんも興味深そうに見ている。
「おっくん、発表すごく面白かったよ。」
「ありがとう。ケイが相談に乗ってくれたおかげだよ。」
そう言って照れたおっくんだけど、とても嬉しそうだった。
ジェイやカオルさんとも意見や感想を交わしている。
それから、おっくんが見たいというので情科研の展示室へ戻った。
ちょうどリョウくんも付属高校の研究室の数人と一緒に来ていた。
見終わってからみんなで喫茶店をしている隣の教室に移動。
「面白い展示だったよ。」
おっくんが言った。
「井戸端会議が混んでて参加できなかったのは残念だったね。」
リョウくんもやりたかったらしい。
「じゃあ、ここでやっちゃおうよ。」
というわけで突然第二会場ができあがった。
第二会場はアイ・端末だけでなく僕たちも参加して盛り上がった。
何気にアイコさんとエルさんも参加しちゃってたんだけど、唯一事情を知らないおっくんが気付いていない様なのでそのままにした。
「あ、始める前に活性度指標を測っとくの忘れてた。」
解散してみんなと別れてから、ジェイと一緒に焼きそばや、たこ焼きを買って食べたり、僕の教室に戻って遊んだりした。
そうして僕は教室の片付けにそのまま残ったので、ジェイは先に帰っていった。




