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チサさん2

「ケイのことは情報科学研究部の部室で起きました。」

「じゃあ、部のみなさんは知っていたんですか。」

「今の3年生の一部はね。この端末のことは話してないけれど。」

「それで今日こういう話をしてくれているってことは私のことも知っているんですね。」

「先程の講演会で、話をしていたのが俺たちの母なんです。」

「え?それじゃあアイ・ホストにアクセスしたきっかけも?」

「いや俺がアイ・ホストにアクセスしたのは親の仕事とは全く関係ありません。むしろ研究所では大慌てだったそうです。」

「はい。あれからしばらくは大騒ぎでした。」

「今のはひょっとしてアイコさん?」

「はい、ジエイ達からはエルと呼ばれています。アイ・端末経由ではなくこうして直接お話しするのは初めてになりますね。」

「この青く光るのがアイコさん、いえエルさんの話している印なんですね。」

「そのとおりです。」

「因みに、」

「え?」

「ケイの専用端末の私はアイコと呼ばれています。」

「うわ。両方からアイコさんの声が聞こえると変な感じですね。あ、ごめんなさい、エルさんとアイコさんね。」

「俺も最初は戸惑いました。」


「それで、私のことはいつから?」

「最初からです。」

「チサさんのお父さんはこの端末を持った僕がチサさんの入学する学校に居るって知らなかったらしくて。念のためにアイコさんが確認したんだって。」

「ユキヤに確認したところケイの端末を見たら恐らく気づいてしまうだろうと言っていました。」

「おとうさんが…。」

「そのことをアイコから聞いた母が俺たちに知らせてくれたんです。」

「そのチサさんが入部してきたときには驚いたよ。アイ・システムとか端末に興味があるからひょっとしたら、とは聞いていたんだけどね。」

「私は入部した時にケイ先輩の端末を見て驚きました。」

「それ気付いてた。ああ、本当に判るんだって感心したよ。」

「ひょっとして私の前では専用端末を使わないようにしていました?」

「うん。普段もあまり使わないんだけど、特に気を付けてた。」

「これまではチサさんには知らせない方針だったので。もう一つの専用端末を持つ俺も目につかないようにしていました。」

「確かにご兄弟そろって専用端末を持っていたら、黙っては居られなかったと思います。」

「だから去年の学園祭はジェイに来てもらえなかったんだ。」

「まだそれ言うか?まあ普通の人ならば兄弟で同じ装飾品を付けていると思う程度なんでしょうけれどね。」


「ところで他に誰が知っているんでしょうか。」

「付属高校の研究室はメンバー全員が俺のことを知っています。ただし技術上の課題があるので1台しか存在しないという説明になっています。」

「え?ということは…。」

「ケイも持っていることを知っているのは元部長のカオルだけです。チサさん、あなたが2人目になりますね。」

「共同研究で会ったときに、みんなの前で不用意にこの話をしてしまわないように、ということですね。仕方なく方針を変えたということでしょうか。」

「このタイミングとなったのはそれが理由です。」

「他にも何か?」

「ええ。近いうちに研究室のメンバーにはケイのことを知らせる予定なんです。」

「でも直接の接点は無いんですよね。」

「今のところは。ところで現在の直接接続が暫定的なものである事は知っていますよね。」

「え?はい。接続時間とか年齢制限とか。」

「そんなところです。で、現在解技研では本格実施に移行する試験を開始しています。」

「何だか気になるところが多いのですが。」

「そこはいずれまた。現状では研究所員を中心に行っている試験について近く対象を拡大する計画があるんです。」

「それが研究室ですか。」

「そうです。そうすると現在試験に参加しているケイとも当然会うことになるので。」

「ケイ先輩も参加しているんですか。あ、でもこの端末を持っているのなら当然なんですね。」

「まあそういうことです。」


チサさんは多少消化不良な顔をしながらも帰宅していった。

それでも、僕たちのことを詮索しないと約束してくれた。

いずれまた、もう少し詳しい説明をしなくちゃいけないんだと思う。


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