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妹の誕生4

ブクマ登録ありがとうございます。


「すげー。」

「こういうのなら使ってみたい。」

「俺に被験者1号を譲れ。」

「ここは公平にくじ引きだろう。」


「皆さんに興味を持っていただけたようで嬉しいのですが、その被験者1号さんには「動く端末」という以外にも負担していただかなければならない事があります。

ひとつは先程皆さんに提出していただいた誓約書に加えて端末使用に関する「契約書」を取り交わしていただきます。

ここでは端末の取り扱い、情報保護、守秘義務等についてお約束させていただくことになり保護者の方の承諾も必要となります。

ふたつめは契約書にも記載していますが、2時間の接続制限が無いだけでなく終日接続状態となることです。

そのうえで解技研による随時のモニタリング実施に同意していただく必要があります。」


「モニタリングかぁ。」

「それは、ちょっとな。」

「うん。結構きついかも。」

「いやいや、それでも俺は…。」


「実は私共ではご協力いただけるのならお願いしたいという方がいます。

先程申したアイコの思考に影響を及ぼした実験に取り組んでおられるカオルさんとジエイさんです。」


「カオル、ジエイ、こちらへ来なさい。」

「ジエイです。」

「カオルです。」


「あなたがたですね。

アイコはおふたりのどちらかに使ってもらいたいと希望しています。

私たち解技研側も同じ見解です。」


「どうかな?」

「俺は通信制であまり学校に来ていないから、「動く」ではなく「居ない」端末になりそうだ。」

「私はモニタリングっていうのがやっぱり抵抗あるわ。」

「もちろん情報は適切に扱います。私たちの研究所にとってもそれが一番大事なことですから。」

「俺はあまり気にしないけどな。アイ・端末だって24時間一緒に居るわけだし。」

「さすがにそれとは一緒に考えられないだろう。」

「ジエイは研究室で課題を片付ければ良いんじゃないか?」

「男女を区別するわけじゃないが、モニターされるならお前の方だろう。」

「先輩方、他人事だと思って好き勝手言いますよね。」

「わかる?」

「う~ん。そうよね、私が我慢すれば良いのかな。」

「わかりましたよ。それなら俺がやりますよ。その代わりいつでも研究室に居るとは思わないでくださいね。」

「やっぱりそう言ってくれるか。ありがとう。」

「ジエイならそう言いながらきっといつでも居てくれるよ。そういう奴さ。」

「調子良いですねぇ。」

「それならジエイに頼んで良いか。」

「はい。了解しました。」


「ありがとうございます。

それでは契約関係の資料を送ります。

今日はこのうちの仮契約書を確認して署名してください。

端末を仮渡しします。

先程申し上げたモニタリングは本契約締結の後に開始しますのでご安心ください。

本契約書はご家族と良く相談して了解していただけたら返送してください。

必要があれば私どもから説明に伺います。

もし難しいという場合には一週間以内をめどにその旨お知らせください。

端末の返送方法なども資料に書いておきました。

取り扱い説明書も付けてありますので良くご確認ください。。

ではジエイさん、仮契約書に署名いただけたらアイ・端末を貸してください。

直結用の端末を接続します。」



「お待たせしました。仮契約書も確認しました。これで結構です。こちらが端末になりますが、試しに使ってみてくれますか?」

「アイコ具合はどうだ?」

「はい。問題ありません。」

「あら、明るい色なのね。」

「はい。私は立体映像を持たないのでお話しする時には端末が発光する仕組みになっています。」

「アイコ皆さんにご挨拶をしてはどう?」

「はい。あらためましてこんにちは。いつも私を呼び出していただいてありがとうございます。そして今回のご協力に感謝いたします。どうぞ今後ともよろしくお願いします。」


「ところでハヅキさん。」

「なんでしょうか。」

「この新しいアイコさんと、私たちの端末で接続したときのアイコさんを区別するのに呼び名を変えた場合の支障はありますか?」

「どの様に変えることを考えていますか?」

「今うかがった話ですと本来は新しい端末の方が、より本来のアイコさんに近い存在だと思うんですが、既成事実と言うか自分の端末の方をアイコさんと呼び慣れていまして…。」

「新しい端末の方を変えたいということですね。」

「できれば。」

「アイコはどうかしら?」

「端末上の私は意識の共有はしていますがプロセスとしては別の存在です。それに生成されたばかりですので新たな名で呼ばれるにふさわしいと感じます。そして私本来の本体識別名はi5です。ですが既に各接続先から相当な種類の呼び名を頂戴しています。皆さんもニックネームを付ける感じで呼んでいただいて構いません。」

「アイコがそう言うのならば私共の方としても問題はありません。特殊な端末ですから識別するうえでも確かに都合が良いといえます。」

「ジエイはこれから一緒に過ごすのだから、何か良い名前は思いつかない?」

「急な話だな。」

「難しいですか?」

「じゃあ「エル」なんてのはどうだ?」

「どんな意味なの?」

「俺がジエイで、弟がケイなんで順番に。」

「うわ、単純。」

「でも良い響きじゃない?」

「アイコさんはどう思う?」

「「エル」ですか。良いと思います。」

「じゃあ、これで決まりね。」


次話は25日16時に掲載します。


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