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妹の誕生2

「ところでその窓口ユニットとの感覚のずれってのは結局どうなったんだ?」

「実は現在のところは対応が必要な程の不具合には至っていないこともあり、良くも悪くも進展はありません。」

「様子見というところか。」

「はい。ただ、ジエイたちの実験では窓口ユニット内でも追体験時の齟齬が多く発生しているそうなのです。」

「それはまずいんじゃないか?」

「因果関係は明確となっており、機能的にも支障がないことは判明しているとのことです。」

「それなら安心できそうだが、理由がわかっているのに対応しないってのもどうなんだろうな。」

「そのとおりです。ですから私自身で直接その現場を確認してみたい、というのも実は理由の一つです。」


「あと、うちにはケイの専用端末もあるが一緒に居て大丈夫なんだろうか。」

「それが私からジエイに直接お願いしたもうひとつの理由です。」

「やっぱりそうか。」

「現在のロードマップでは専用端末の併存確認はもっと試験が進んだ段階で行う予定となっています。」

「まだ実施しないってのは理由があるんだろう?」

「そのとおりです。複数端末との直接接続を行った場合の安全性について見解が分かれているのです。」

「どんな感じで?」

「窓口ユニットの場合は緩衝としてホスト側にも端末と対になる子プロセスを設け、そのうえで即時並行処理ではなく事後の順次処理を行っています。」

「そうだったな。」

「私の場合はホスト側に子プロセスを設けず、本体が直接リアルタイムでの処理を行います。これは複数端末と接続しても同じ仕組みとなります。」

「異なる情報が同時に発生することで混乱が生じないか懸念されるわけか。」

「ええ。ですが私本来の機能では複数個所との直接同時接続を可能としていました。これは何らかの保障があったのではないかと考えています。」

「それは楽観的に過ぎないか?」

「現在専用端末を使っているのはケイだけですが、直接接続ということではジエイとも実施しています。専用端末かアイ・端末であるかは些末なことです。」

「これまではケイと一緒の時には直接接続をしなかったからな。必要もなかったし。」

「そこで確認の必要があるわけです。似たような仕組みの評議員会会場の専用端末装置への接続は、実は随時行われているのですが。」

「そういえばそうか。ともあれ俺たちなら環境を整えやすいということだな。そして待ちきれないので俺からも一押ししてほしいと。」

「はい。それに、これまでケイやジエイと過ごしてきて、おふたりとなら私自身への負担も少ないと判断しました。」

「わかった。まずは父さんたちが帰ったら相談してみよう。」

「お願いします。」



父さんたち今日の帰りはいつもどおりかな?とか考えているとメッセージが来た。

「専用端末の件、進めておくよ。研究室のことなら問題ない。タクミにはうちの実験として依頼する。今やってる試験を片付けたりして準備も必要だが、2週間ぐらいで用意できると思う。誕生日プレゼントには早過ぎるかな?」

父さんからだった。

のぞき見しているのは俺も承知しているが、遠慮というものがまったく無いらしい。


しばらくすると案の定、母さんからメッセージが届いた。

「予想どおりだと思うけど今日は遅くなります。夕食は食べちゃっててください。」

そう言って今夜予定していたメニューが送られてきた。

まったく、こうして男子高校生が無駄に料理の腕を上げてどうするんだろうと思う。



「父さんたち、また遅いんだ。」

俺がクラギーさんに手伝ってもらいながら夕食の支度をしていると週末で帰宅したケイがのぞきこむ。

「今夜はチキンソテー?」

そう言いながらサラダはケイが作ってくれた。

実は俺よりもレパートリーが多いし手際も良い。


俺は父さんたちが遅くなった経緯を話した。

ケイは何も聞いていなかったようだ。

アイコは俺が説明した方が良いと判断したらしい。

親よりもアイコの方が気を回してくれているのが情けない。


「アイコさんは僕の学校でも話をしたい時ってあるの?」

「はい。ときどき。」

「それならさ、授業中はこっそりメッセージを表示してくれたら僕から話すよ。」

「それは考えつきませんでした。」

「あと部活動の時ならば、まんぼさんのふりして話しをするとか。まんぼさんも手伝ってくれるよね。」

「もちろんです。」

「ケイたちも悪巧みか…。」

ちょっと遠い目になった。


次話は23日18時に掲載します。


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