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妹の誕生1

ジェイも高校に進学しています。


俺は筑波科学技術大学付属高校に進学した。

専門的な科目が多くあり、どれを選ぶか結構迷う。

思っていたよりもフィールドワークがあったが街歩きは好きなので苦にはならない。

逆にスクーリングは少なかったが、早速参加した研究室に顔を出すので学校にも割と良く通っている。


研究室では同時期に入ったこともありカオルと俺が一年生ペアになった。

テーマは思考ユニットの成長について。

カオルが発案して俺が手順を考えるという分担が多い。

このあたりは中学校時代に部活動をリードしてきた手腕がうかがえる。

当面は直接接続を利用して、様々なケースの試験に対する反応を調べている。

時には研究室を巻き込んだ実験を提案することもある。

例えば皆で一斉にホスト接続を行い、予め個別に設定しておいた行動をとった後に個体差を観察するとかだ。

先輩たちも結構面白がって協力してくれる。


俺は研究室の実験でホスト接続をする時は窓口ユニットを通してくれるようアイコに頼んである。

ひとりだけ直接接続では信頼性のある結果は望めないだろうし、不自然さに気付かれる懸念もある。

もちろん直接接続をした場合の結果にも興味はある。

カオルも可能なら試してみたいと言っていた。


ところでそうやって学校で呼び出すアイコは何となくよそよそしく感じられる。

窓口ユニット経由だからなのか、アイコの演技なのか気になって聞いたことがある。

答えはどちらともいえるものだった。

窓口ユニットは端末と接続する時にホスト、端末双方に対となる子プロセスを生成する。

接続終了時に双方のプロセスは終了するが、ホスト側には接続対象に関する情報が個別に保存される。

次回以降は接続時の子プロセス生成の際にこれを利用することで相手のことを覚えているわけだ。

学校から接続する時のことについて頼んだときに、俺に関する初期状態の情報を窓口ユニットに用意したというのが答えだった。

こうすることで窓口ユニットは学校の俺を別人として認識することになる。

本体から直接接続している時の俺に関する記憶とは混同しないらしい。



ある日、家で課題を終えてお茶をしているとアイコから接続要請があった。

急用でもないときは、クラギーさんに頼んで声をかけるタイミングを見計らってもらっているらしい。

「ジエイ、相談したいことがあります。」

「何だろう。」

「ケイと同じ専用端末があったら、ジエイはそれを使ってくれますか?」

「それは魅力的な話だが。何で父さんたちでなくアイコから話が来るんだ?」

「現在ケイのものと同じ専用端末をもう一台用意して負荷試験が行われています。」

「そうなのか。」

「これまでのところ順調で、次の段階の試験立案が進んでいます。ジエイの了解を得られれば、その実施者にジエイを推薦したいと思うのです。」

「俺で問題なく実施できる内容なのか?」

「内容はフィールド試験です。そして私はこの機会を使ってジエイの研究室に直接参加してみたいのです。」

「窓口ユニット経由で後から結果を知るだけじゃ満足できなくなったという事だろうか。」

「それもありますし、実はディスカッションにも出たいのです。」

「ああ、実験の時しか接続してないからな。でもそれなら他の接続先で体験できそうなところとかは無いのか?」

「確かにあることはあるのですが、私の反応を見ることが目的という感じで…。」

「なるほど。参加ってのとは違うのか。」

「少し前にジエイの研究室で実験後のディスカッションにも参加させてもらったことがありました。」

「ああ、アイコの感想も聞こうってなった時だな。」

「あれはとても楽しい体験でした。」

「俺が研究室にいる間は接続したままにさせてもらうってことでは?」

「それでも窓口ユニットの追体験を情報として受け取っていることは変わりません。結果だけを見てひとり感想を抱くのではなく、私も参加してその場で発言したくなってしまったのです。」

「窓口ユニット経由ではなく直接接続にするという手もあるが、反応の違いなどで気付かれる懸念もあるからな。ケイの中学校なら…、発言となると難しいのか。」

「ええ。それならば専用端末を用いて明示的に直接接続を行う方が良いと考えました。」

「確かにその方が納得しやすいだろうけど、許可を得られるんだろうか。」

「ジエイの研究室内であればそれが可能ではないかと考えたのです。」


次話は22日19時に掲載します。


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