実験の顛末2
3番目はワカナさん。
アイ・端末は椎茸の「きのこん」さんで非表示組。
「じゃあワカナさん。ホロを表示したままなのも、話しながら歩くのも慣れないと思うから、気をつけて行ってきてね。」
「はい。」
「きのこんさん、今から5分経ったらワカナさんに伝えて会議室へ案内してください。」
「承知しました。」
「きのこんさん。私たち何を話したら良いかしら。」
「ご質問の意図が良く分かりません。具体的にお願いします。」
「あ、ああ。そうよね。えっと私ときのこんさんが会話をする実験というのは聞いていたわよね。」
「はい。しかしながら実験の意図するところまでは承知できておりません。」
「意図…は、私ときのこんさんの会話を聞くことが目的なんだと思う。」
「それでは、話題の提供を希望されていると考えてよろしいでしょうか。」
「そうね。そういうことだと思う。」
「ここは市場ですので、市場についての情報をご提供しようと思います。」
「ええ。お願い。」
「フロアガイド、話題の商品、特売情報、イベント情報などあります。こちらの一覧もご覧ください。」
「…。えっと、そうね、それなら…。」
その後もぎこちない会話が続く。
「ちょっとまずいんじゃないか?」
「止めに入らなくて良いかな。」
「部長は聞こえてないんだよな。」
「ああ、でももうすぐ5分経つから、いずれにしても終了するな。」
「この後の子たちも続けて大丈夫かしら。」
4番目はヤヨイさん。
アイ・端末は菜の花の「なばな」さんで表示組。
「ヤヨイさん、気楽にね。なばなさんは今から5分経ったらヤヨイさんを会議室へ案内してください。」
「はい。」
「承知しました。」
「それじゃあ、雑貨コーナーに行きましょう。」
「気に入ったものが見つかると良いですね。」
「先輩は話をするように言ってたけれど、普段どおりにしていれば良いのよね。」
「それで良いと思います。」
「エスカレーターで昇ったら左側だったかしら。」
「ええ。そうです。」
二人の会話は友達同士で買い物に来ているみたいに聞こえた。
「あら、これ綺麗ね。どう?似合うかしら。」
「良いと思います。その上の段のものも試してみてはどうでしょう。」
「あら。それも良いわね。」
「それと、もう少しで5分経ってしまいますので、気になるものがあれば早目に試してみてください。」
5番目はユウ君。
アイ・端末はナマズの「ナマティ」さんで非表示組。
「ユウ君、無理に話をしようと思わなくても良いからリラックスして、話しながら歩くので気をつけて行ってきてね。」
「はい。行ってきます。」
「ナマティさん、5分経ったらユウ君に伝えてください。そして会議室へ案内してください。」
「承知しました。」
「ナマティさんとこうやって歩くのは初めてだね。」
「そうですね。」
「何を話そうかなぁ。う~ん、ナマティさんは普段と違う感じする?」
「立体映像の表示/非表示は機能には影響しませんので、特に変わったことはありません。」
「へえ…。そうなんだ。」
「…。」
「…。」
「ユウ、私との会話の実験とのことでしたが、何か話題を提供した方が良いのでしょうか。」
「あ、うん。何かある?」
「今、少し手前でビワを売っていたのに気付いていましたか?ユウは好きだったはずですが。」
「うん。好きだよ。大好き。そっか、気づかなかった。今年はまだ食べてないね。」
最後はチサさん。
アイ・端末はウサギの「ぴょんた」さんで表示組。
「チサさん、お待たせしました。ぴょんたさん今から5分経ったらチサさんに伝えて会議室へ案内してください。」
「はい。」
「承知しました。」
「ぴょんたさん。市場でのおススメはある?」
「ひとつ上のフロアに雑貨を扱っているコーナーがあります。チサの好みのものがあるかもしれません。」
「面白そうね。案内してくれる?」
「この先に上りエスカレーターがあります。そのまま進んでください。」
「わかったわ。あら、でもここも面白いかも。」
「そうですか?」
「だって、納豆ばかりこんなに種類がある。」
「茨城エリアは伝統的に納豆の消費が多いそうです。」
「話には聞いてたけれど、これを見たら実感できたわ。」
「この先を左に曲がるとエスカレーターですが、このままこの辺を見て回りますか?」
「う~ん。まだ部活動中だから買い物をするわけにもいかないし、雑貨屋さんはまた来ればよいのよね。」
「了解しました。まっすぐ行くと鮮魚コーナー、右に曲がると惣菜コーナーがあります。」
「お惣菜を見てみたいわ。」
「では参りましょう。」
次話は20日21時に掲載します。




