立川シティ2
ホテルに着いて荷物を預けると、僕等はヴィークルを借りて多摩川へ遊びに行った。
さっきまで乗っていたキャビンと同じ6人乗りだけど、草原実習の時に使ったものよりひと回り大きい程度なので車内は座席だけ。
河原に着いてすぐにお昼ご飯を食べた。
母さんが朝のうちに用意してくれたお弁当だ。
梅干しや塩鮭のおにぎりが並ぶ。
おかずは鶏唐揚とウインナーソーセージ。
それからドレッシングで和えた角切りの野菜とゆで卵。
大きな川は小学校の校外授業で行った鬼怒川を思い出す。
草は茶色く枯れて寒々しい景色だけれど、今日は冬にしては暖かく、流れる水の音と吹く風が心地良い。
向こうには八王子シティの方へ向かう橋があり、キャビンや時にはトレインが行き来しているのが見える。
さすがに川へ入るには寒いので、僕とジェイは河原で面白い色や形の石を探したりして遊んだ。
父さんと母さんはそんな僕たちを見ながら何か話しをしたり、ヴィークルのシートを倒して休んだりしている。
風が強くなりはじめたのでホテルに戻ってチェックインすると部屋は随分上の方の階だった。
さっき遊びに行った多摩川と山々が見え、やがてその向こうに太陽が沈んでいった。
夜はホテルから少し歩いて肉料理屋さんへ。
豚肉が名物だそうで、味噌だれの串焼きとか、長~いソーセージなんかが美味しい。
父さんと母さんは前菜の盛り合わせとか冷しゃぶサラダとかをつまみながら楽しそうにワインを飲んでいる。
翌日2日目は乗り合いの送迎ヴィークルに乗って山あいの温泉施設に行った。
母さんは「1000mとか掘れば出てくるようなお湯じゃなくて、鬼怒川とか熱海の方が良かったのに。」なんて言っていた。
でも、いざ来てしまえば一番楽しんでいたようで、なかなか風呂から上がってこないと心配したほどだ。
もちろん僕らも何人も入れそうな大きな風呂や、何だかわからないけれど効きそうな薬湯風呂、それから露天の岩風呂と入りまくった。
ジェイの真似をしてサウナを使った後で、水風呂に入った時はびっくりして思わず声を上げてしまった。
お昼は僕とジェイはラーメンセット。
僕はラーメンとカレーライスで迷ったんだけど、
「こういう場所ではラーメンと決まっているのさ。それに風呂の後は水分と塩分を補充しないといけないからね。」
と父さんにすすめられた。
そういう父さんはラーメン単品と枝豆に揚げ物のセット、それに昼間から生ビールをジョッキで飲んでいる。
「ビールは水分補給にはならないのよ。」
とか言いながら、母さんはカツ丼セットとやはり生ビール。
カツ丼もおいしそうだった。
父さんが揚げ物セットのフレンチフライや唐揚げを分けてくれた。
「食べてすぐのお風呂は体に良くないから。」
と率先して休憩室で寝転ぶ父さんに従って僕等も少し昼寝をした。
でもお腹がこなれるとまた風呂へ向かう。
今度はレンタル水着を借りて温水プールエリアへ。
ウォータースライダーを滑りまくった。
母さんは飽きもせずに露天風呂でまったりしていたらしい。
父さんだけが休憩室で帰るまでゴロゴロしていた。
それはそれで体に良くないんじゃない?
ホテルに戻り夜はホテル内のレストランへ。
「慣れておいて損はないからね。」
ということで、僕たちにも食べやすいハンバーグがメインのセミコースだった。
テーブルマナーは学校の授業で教わったことがあるけれど本番では緊張する。
「あんまり難しく考えることはないさ。家族で食べるときは失敗なんか気にする必要ない。」
そう言いながら父さんも母さんも平然と食べている。
普段とさほど変わらない様子なのに僕にはすっごくちゃんとしているように見える。
「緊張してたら味がわからなくなっちゃうわよ。」
母さんがそう言って笑う。
見るとジェイも緊張した顔をしていた。
次話は3日15時に掲載します。




