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  作者: 柚月
1/1

第一話〜日常〜

✽これは作者がクトゥルフの探索者を作ってるときに思い付いた作品です。

設定や、文構成に他コンテンツのオマージュが含まれる可能性があります。



まずは軽くキャラ紹介。



月代 春穂


15歳、女子。

「月代家」の当主。

高校1年でありながら、科学に関して相当な量の知識を有し、研究職を志している。

ちなみに好きな物は甘いもの。


月代秋穂


27歳、男性。

月代 春穂の兄。

25歳にして大学教授となるなど、稀代の天才と歌われるほど頭が良い。

その反面、実はかなりの天然だったりもする。

教えている教科は数学。

ちなみに好きな物は同じく甘いもの。


冬代 柚月


18歳、男子。

「冬代家」当主。

近隣地域の当主達を束ねる立場であり、権力者との関わりも多い。

情報戦が得意なことから、各家が権力に潰されぬよう立ち回ったり、必要なときに機関を動かしたりもしている。

ちなみにこのキャラは、うちの代理にノリで能力値 を振ったことから誕生した。



冬代 夏穂


29歳、女性。

冬代 柚月の姉。

警視庁の科学捜査研究所に所属し、実績を挙げ続けている研究者。

春穂が幼い頃に命を救った事もあり、それ以来憧れの目で見られている。

好きな物は頭がすっきりするもの。



伊勢 青葉


19歳、男子。

「伊勢家」当主。

柚月と同じ大学に通い、基本的に冬代家の補佐として動いている。

学校では普通の生徒と同様の接し方をしているが、プライベートだとすぐに敬語になる。

好きな物は美味しいもの。



伊勢 吹雪


15歳、男子。

伊勢 青葉の弟。

「家」の仕事を手伝いつつ、自分でも行いかなりの成果を出したことで将来が期待されている。

春穂と同じ高校に通う。

同じく優秀と評される春穂と活動することも多く、普段から学校内でも話す機会は多い。

好きな物は味が濃いもの。








感情とは人に制し切れるものではない。

当然だ。

それが可能であれば小さな諍いから戦争に至るまで、起こることはない。


そしてまた、

感情とは形を成すものである。

良い感情は他人にも幸福感を与え、

強い悪感情は他人のコンディションを下げる。


それは何故か。

感情は形を成すものだからである。


古来よりそれらは、怪異や都市伝説として語られてきた。

人に不幸を与え、生気を奪い、時に生命までも貪る。

それらは『(うつろ)』と呼ばれていた。



人というのはしぶといもので、自分達に害をもたらす存在があればことごとく抵抗してきた。

当然、虚に対しても例外ではない。


一般的には霊感が強いと言われているのだろう。

虚を認識する適性を持った人々がいた。

そして虚を狩るものとしての道を選んだ者は

『虚絶師』

と呼ばれていた。


そんな彼らの、少しだけ歪んだ日常の話である。







そろそろ時間かな

今か今かとその時を待ちわびる。

徒に流れゆく時間に思いを馳せながら目を開ける。

その瞬間鐘の音が鳴った。


定期テスト、4限目の様子である。


女友達「春穂ちゃん… テスト…どうだった…?」


いつも明るいはずの彼女が暗い様子で迫ってくる。

何事だろうか。

とりあえず落ち着けと言って


春穂「僕はいつも通りだったよ。」


質問に答える。


女友達「そう言うだろうなって思ってた!」


何やら不満気に即答された。


女友達「どうして?どうしていつも満点なんですか?春穂ちゃんの頭が良いのは知ってるけど!」


そんなことを僕に言われても。


春穂「僕がどうってより君に問題があるように見えるんだ。せめて授業くらいはちゃんと聞こう?」


返す言葉がないのだろう、黙って俯いている。

しばらく考えるような動作を見せ


女友達「あ、そうだ。今日も一緒に食堂行かない?」


全く関係のない話が持ち出される。

どうやら立ち直ったみたいだ。


春穂「んー、先に行っててくれ。僕はちょっとやることがあるんだ。」


女友達「わかった〜。じゃあ先に行ってるね。」


よくあることだと思っているのだろう。

彼女も深追いしてこない。


会話を終えると屋上へと向かう。

扉を開くとそこには、人型をした半透明の影が蠢いていた。

人型をしてはいるものの、関節は曖昧だし、身体の一部が他の部分と一体化したりもしている。


「手早く済ませようか」


独り言のように呟く。

いや、一人しかいないし独り言か。

でもあの虚がいるし独り言ではないのでは?

そんなことを考えながら制服改Ver.3(自称)に隠していた、綺麗な装飾が施されたナイフを取り出す。


黒い影に向き直り踏み込む。


一閃


黒い人影を春穂のナイフが正確に貫き、

当の影は力無く溶けて消えた。


春穂「虚絶完了…っと。」


ふと人の気配を感じ振り返ると、そこにはよく見知った顔があった。


吹雪「あ、春穂も来ていたんだね。てことは先越されちゃったか。」


春穂「来るのが遅いぞー。そもそも競うものでもないけど。」


吹雪「テストの回収がちょっとグダってね…。それより、やっぱり最近虚が増えてるみたいだね。」


春穂「まぁ、今回のはテストが原因だろうけどね。」


吹雪「あぁ…相当上手く行かなかったんだろうね。」


そんな話をしつつ、屋上を後にする。

折角合流したことだし、という事で一緒に食堂へ向かっていると


女友達「あーっ!春穂ちゃんが男連れてる!」


何やら人聞きの悪いことを言われた。


春穂「ぼ、僕らはそんな関係じゃないし言い方も考えようか。」


吹雪「いやいやいや、俺達はそんな大層な関係じゃないですよ。」


否定のタイミングが被った。

彼女がニヤけながらこっちを見ている。

なんか腹立つ。


女友達「それじゃあ、邪魔者は退散しますかねぇ〜。」


なんてことを言いながら教室へ戻っていった。

すごく気まずい雰囲気が漂う。

どうしてくれるんだと心の中で彼女を恨みつつ、何とかせねばと口を開く。


春穂「なんか、すまないな。」


吹雪「大丈夫だよ、特に気にはしていないさ。」


また無言に戻ってしまう。

やっぱり、先の言葉が少し引っかかっている。

(吹雪が僕と…か)

いやいやいや、僕が恋愛とか似合わないにも程があるだろうし

それに…


吹雪「大丈夫かい?」


心配された。

つい深刻そうな顔をしていたのだろう。


春穂「大丈夫だよ。それより昼食を頼みに行こうか。」


何とか話題を切り替えることで思考を断ち切る。


吹雪「そうだね。今日の日替わりって何だっけ?」


春穂「確か唐揚げ定食じゃなかったっけ?」


吹雪「おっ、俺の好物じゃん。」


今は恋愛とか難しいことは考えないようにしよう。

心の中でそう決める。

今はなりたいもののため、虚絶師としての職務を果たすため、何よりこの日常を守るため。

そのために力を注ごう。

そう誓った。





さて、その青年は悩んでいた。

それを見た人は、未だかつてこれほどまでに悩む人を見ただろうかとすら感じるほどに。


その青年は悩んでいた。

ガラスケースの中の、ケーキを睨みつけながら。


秋穂(ショートケーキにするか、ガトーショコラにするか…。いやしかし…。)


店員はいつも通りだと言わんばかりの苦笑いを浮かべていた。


秋穂「ショートケーキとガトーショコラ両方頂こう。」


店員「やっぱそうなるか。」


全て予想していたかの様な反応に少し困惑する。

とりあえず会計を済まし、箱に入ったケーキを受け取る。


店員「ありがとうございました〜」


微妙に覇気がない店員の声を背に、店を出る。

しばらくふらふらと歩いていると


「あれ?兄様?」


声をかけられて振り向けば、春穂が立っていた。


秋穂「今帰りか、早いな。」


春穂「今日はテストだったからね〜。で、それは?」


手に持ったケーキの箱を指差して言う。


秋穂「帰ったらな〜。」


春穂「ん、わかった〜。」


夕陽に背を照らされ、自宅へと帰る。

ふと違和感を感じ振り返れば、雲がかかり日が翳っていった。






そしてここにも、悩める少年が一人。

ベッドの上で頭を抱え、悶ていた。


吹雪「また今日も言えなかった…。」


ささやかな恋のお話である。

思いを素直に伝えられない少年と、好意を寄せるも相手からは受け取れず戸惑う少女。


(そんな大層な話じゃねぇんだよなぁ…)


再び頭を抱える。

俺だって恋愛経験が無い訳ではない。

家柄からか女子に声をかけられたり、告白されることも少なくなかった。

多くの人と付き合ったし、同時に別れたりもした。

全ては関心を持てなかったから。

彼女らは決して僕自身を見ていたわけではない。

俺が持つものに興味を持っていたに過ぎない。


でも彼女は。

彼女は俺が持つものなどすでに持っている。

地位も権力も金銭も将来も。

俺など見向きもされないだろうと思っていた。


それでも彼女は。

俺に声をかけ、共に行動し、時間を共有してくれた。

何より、俺自身を見てくれていた。

その歓喜はいつしか好意となっていた。

 

そう、それだけの話なのだ。

それを伝えれば良くも悪くも結果は出る。


吹雪「今月中には…言おう。」


覚悟と言えるのか分からない意思を定め、少年は目を閉じる。

どうか彼女が受け入れてくれますように、そう祈りながら。






虚とは、人より生まれた悪意そのもの。

恨み、妬み、哀しみ、嘆き、苦しみ。

それらの感情をもとに発生し、増殖し、大きくなっていく。

当然、悪感情の度合いが強いほど虚は強大となる。


しかしながら、虚は知性を持たない。

手当り次第に人に憑き、感情を吸い、パフォーマンスを下げる。

統率する者がいないからこそ、それらは烏合の衆であり、単体では大した脅威にはならない。



柚月「で、その前提が崩れかけてるって事かな?」


冬代家の屋敷の1室、会議室として使われている部屋に緊張が漂う。


青葉「羽黒家からの情報だとそのようです。」


春穂「説明を頼む。」


曰く、近頃起きていた虚の大量発生の原因と、それらを元に取った統計からの推測が送られてきたそうだ。

統計から分かることは、各家の守備が甘い部分に虚が集まっていることだけだ。

しかしそんな事は起りえないはずなのだ。


それらが知性を持っていなければ。


ここから立てられる仮説は2つ。

まずは、各家が手の届きやすいところの虚から狩っていったため、結果としてその他の場所が密集して見えた。

2つ目は、知性を持った個体または集団が発生した。

もちろん、2つ目の場合は非常にまずい事態となる。

人員の少なさ故に大きな戦力が確保できない虚絶師達が抑え込む形で均衡を保っていた虚との関係が、崩れかねないのだ。

それによって狩り切れなかった虚が民間人に被害を与えてしまうだろう。


夏穂「それはあまりよろしくないな。」


春穂「そうですねー…。手分けして原因究明を行うところから始めようか。」


柚月「今はとにかく情報が足りない。何か気になることがあれば細かくても良いから言ってくれ。」


青葉「それなら僕らは西区を担当しましょう。」


吹雪「了解だよ、兄さん。」


夏穂「さて、私は個人で情報を集めるとしようか。」


春穂「では僕は中央区を担当しよう。」


柚月「よし、今は時間が惜しい。各自行動へ移してくれ。」


そう言い終えたところで仮設を組み立て始める。

もし知性を有する虚が発生していた場合、これまでの発生地点の分布を考えれば相当頭が回るはずだ。

未だ実態が掴めていない虚に加えてこのイレギュラー…。


柚月「すごく嫌な予感がするな…。」


誰もいなくなった会議室で、一人そう呟く。





人の目を欺く護符というものがある。

虚絶師にとって、一般人というのはそこそこ厄介な存在である。

もし武器を使っているところを見られれば通報されかねないし、そうなれば揉み消すために虚絶師と警察側それぞれが非常に苦労することになるだろう。

そのための護符なのだが、原理等はよく分かっていない。

曰くそれは虚の特性の応用だとか、実は最先端科学の産物なのではとか。

数多くの説が浮上している。


青葉(ま、効果を発揮してくれるなら何でもいいんだけどな)


【西区外縁部】


護符を身に着け、人通りの少ない道を駆ける。

途中小規模の虚と交戦するが、難なく殲滅する。

一通りの偵察を終え、電話をかける。


青葉「西区外縁部は特に異常は無さそうです。」


柚月『おっけー、ありがと。じゃあそのまま次の指示まで待機していてくれ。』


青葉「了解です。ではまた後ほど。」


電話を切る。

そして流れるように背後の塀の上に向かって持っていたにナイフを投擲する。

石造りの塀に弾かれたナイフがカラカラと音を立てて転がる。


青葉「何か視線を感じたが…、気のせいか?」


ナイフを拾い周囲を見渡すが、案の定何もいない。

気にしすぎだろうと思い、警戒を解く。




【中央区】


春穂「これでラスト…っと」


虚を刺し貫いたナイフを引き抜き、呼吸を整える。

周囲を見渡す。

どうやらこの辺り一体の虚は狩り尽くしたらしい。

スマホを取り出し電話をかける。


春穂「もしもし柚月兄?こっちの区画は特に異常無しだ。他の様子は?」


柚月「お疲れ、今は姉さんと青葉から報告が入ってるな。情報が揃い次第指示出すから適当に待機しててくれ〜。」


春穂「了解。」


待機…か。

確かこの辺には美味しいケーキを出してるカフェがあったはず。

そこに寄ってみるのもありだな…。


春穂「ん?」


ふと視線を感じ、路地裏に目を向ける。

何者かが蠢いていた。

よく近付いてみれば少々小型の虚だった。


春穂「まだこんな所に隠し虚がいたか。」


しっかりととどめを刺し、カフェへと向かう。

 



支虚という存在がいる。

それらは人に害をなす虚とは違い、古来より虚絶師を支えてきた。

虚の特性を有し、それらを行使できる点で重宝されてきたが、実態はよく分かっていない。

かなり高位の支虚はコミュニケーションを図ることもできる。

非常に珍しい存在のため、基本的には親から子へと引き継がれる。



【西区中央部】


伊勢家次男、吹雪の支虚は呼び寄せ。

周囲にいる虚を自分の元へ集める。

本来ならリスクを伴うものだが、彼自身のスペックの高さゆえにメリットのみを享受できている。


吹雪「これで全てかな?」


引き寄せた虚に向かい、刀を持ってぐるっと一周する。

攻撃を受けた全てが溶けて消える。


吹雪「やっぱりこれが一番早いな…。」


ふと、違和感を覚える。

どこかで虚の気配がした。

でも自分は今確かに全てを斬ったはずなのだ。

もう一度呼び寄せる。

特に何も起きなかった。


吹雪「気の張りすぎ…かな。」


違和感は思い込みだと切り捨てることにした。

とりあえず近くの壁に寄りかかり、電話をかける。


吹雪「もしもし柚月さん、こっちは終わりましたよ。」


柚月『ん、お疲れ〜。とりあえず皆から情報が揃ったから戻ってきてくれ。』


吹雪「わかりました、ではまた後で。」




【冬代家会議室】


全員に帰投の指示を出し終え、考える。


市内全域で異常なし…か。

本当に異常が無いのか、こちらに悟られぬように動けるほどの知性を持っているのか。

そうだとすれば非常にまずい状況ではあるが…。


今はこれ以上考えても仕方がないと判断し、皆を待つことにする。

手元にあるお茶をすする。

濃く淹れすぎたのだろう


柚月「苦いな…。」


そう言いつつ、一気に飲み干した。

はじめましての方ははじめまして。

そうじゃない方はいないのではじめまして。


第一話であんまり活躍していない柚月と申します。

僕の世界はいかがだったでしょうか。

第一話だから特に変化はないけれど、ここから変わりゆく日常を見ていっていただければ幸いです。


続きます!2話以降も見てってね!

うつろだよ!きょじゃないよ!


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