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ジャングル・イン・トーキョー

作者: たけお

 目を開くと、そこには大きな十字路があった。亀裂が走り、その隙間からは草が生い茂っていた。また、用途不明な白線が幾つにも重ねられていたり、意味不明な数字が地面に記されているのを見て、少年心が擽られた。


 そして、正面の「109」と表記された大きな建造物を見た。一蹴りでもしたら崩れそうな程不安定で、そこにもやはり蔦状の植物に覆われていた。


 ここが「渋谷」であることは知っていた。

 緑一色の街だったが、明らかに大都会で、短時間で全てを見て周ることは不可能だと思い知った。


 廃れた自動車や、二輪車が道路に停まっているのを見た。多種多様で、色彩豊富。そしてどれも、原型を留めておらず大破していた。うっかり火を近づけてしまったら、今にも爆発してしまいそうだった。


 進んでいると、地下へ続く秘密の入り口を見た。崩れていて先には進めないが、この先にとてつもない何かが隠されているのは間違いなかった。またもや少年心が疼き出した。


 強風が吹いたようで、木々や草花が大きく揺らいだ。まるで風が自分の頬を撫でていったかのような感覚に陥って、吹き抜けていった風の方向に目をやった。

 そこには角の生えた四足歩行の動物が居た。毛に覆われていて、つぶらな瞳が印象的だった。追いかけると物凄い速度で走り去っていった。


 それを追いかけていると、不意に視界が途切れた。少年は、時間切れを悟った。そして、ゴーグルを外すと直様立ち上がって窓に駆け寄った。


 満面に喜色を称える少年の視界に広がるのは、永遠に続く闇と、その中心で絵の具を落としたかのように輝く青い星だった。

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