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14 ばいばい。いつき。

 ばいばい。いつき。


「……樹。どうしてここに?」

 あざりをびっくりさせることができて満足そうな顔をした樹はそのままあざりの隣まで移動をして、その木の階段のところに座った。


「二宮さんに怒られたんだ」

「二宮さんに? デートは失敗したってこと?」あざりは言う。


「まあ、そういうことになるね」

 樹は言う。

 初恋の相手に振られた(おそらくそうなのだろう)にしては、樹はなんだかとても嬉しそうだった。


「……それで、二宮さんに振られて一人でこの場所に帰ってきて、さっき(おそらく)神社の裏で、僕の一人言を黙って聞いていたということだね。……性格悪いな、君は」

 顔を赤くしたまま、あざりはいう。(なにせ、自分が樹のことが好きだとあざりはそう告白してしまっていた。その言葉を樹に聞かれてしまったのだ)


「うん。本当は盗み聞きするつもりはなかったんだよ。でも、あざりがすごく大切なって言うか、僕の話をし始めるからさ、出るに出れなくなってしまったんだよ。ごめん」樹は言う。


「……全然気がつかなかった」

 ぷいっと顔を背けてあざりはいう。

「ふふ。なにせ僕の小学校時代のあだ名は『透明人間』だからね。気配を消すのはすごく得意なんだ」樹は言う。


 ざーという雨の降る音が聞こえる。

 その音の中で二人は少しの間、無言になる。


「どうしてこの場所に帰ってきたのさ」あざりが言う。

「あざりのことが大好きだからだよ」にっこりと笑って樹は言う。


 あざりは樹の顔を見る。

 樹は優しい顔であざりのことを見返している。(あざりはちょっとだけどきっとして顔を赤くした)


「さっき話聞いてたでしょ? 僕と一緒にいるのは、樹にとってすごくよくないことなんだよ」

「そうかもしれない」樹は言う。

「確かに僕は、あざりに会う前に、……少しだけ、もう死んじゃおうかなって、そう思ったりしていたから」樹は言う。

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