1-8 ファイヤー オブ ジェラシー
「ニャニャン(と、いうわけで挨拶に行きたいんだけど、留守にしてもいいですか?)」
「え? 困りましゅ。 神無月以外は留守にしないでくだしゃい。 お願いしましゅ。」
へ~、ここでも神無月ってあるんだ。 やっぱり日本? 時代を飛んだのかな?
「ニャニャ(そうだ神使っていない? 使い魔でも式神でもいいけど)」
「神使は、猫神しゃまがお作りになられるのでしゅ。 神しゃまのお力を分け与えると聞いていましゅ。」
分身の術みたいなものかな? 影分身八方つぶての術。 違うか。
「ニャ(神使出ろっ)」
ポン。
自分の半分よりもずっと小さい黒い小さな仔猫が出た。
「ミー(はじめまちて)」
くわ!? かわいい! 食べちゃいたい。
そういえば母猫はときに自分の子供を食べるという。 きっと食べちゃいたいくらいかわいかったんだろう。
「ミー(食べないで)」
「ニャ(食べないよ)」
はっ! さっきから、ねね子ちゃんの瞳がピカピカキラキラしている。
くっ、このままではこの仔にプリティ猫アイドルの地位が奪われてしまう。
さっさと送り出そう。
「ニャー(あー、実はご近所の神様に挨拶回りしたい。 その声を届ける役目をしてもらいたい。)」
「ミー(わかりまちた)」
「ニャーニャ(まずは西に行って御鳥様、そのあと東に回って蛇神様だ)」
「ミー(はい)」
「ニャー(じゃあレディゴー!)」
「ミー(いってきまちゅ)」
名残惜しそうに神使猫の出て行った格子戸を見つめるねね子ちゃん。
ねね子ちゃん、オレがいるよ。 ほら、撫でていいよ。 抱っこも許す。
「ニャー(ねね子さん、神使に神通力(?)を分け与えて、ちょっと体調不良なんですけど、少し抱いてもらってもいいだろうか?)」
「はい、わかりました猫神しゃま。」
抱っこをせがむとすぐに素直にひざの上で抱かえてくれた。
ねね子ちゃん、ええ子や。
ここで良心が痛むのは素人神。
玄人神(?)は幼女のひざ枕を満喫する。
「ゴロゴロゴロ(いい気持ち~♪)」
「猫神しゃま、早く良くなってくだしゃいね。」
うっ、なんだろう、胸にチクリと。
「そして神力でミーちゃん(神使)を守ってあげてくだしゃい。 西の森を抜けるのは大変だと思いましゅから」
思わずミー(神使)とつながっている神力の糸を切った。
嫉妬じゃないのよ。 ええ、違いますとも。