1-21 ロシアンブルー
私は猫神様の神使3号。 名前はまだない。
ロシアンブルーの猫のような姿をしている。
え? だって神使だから。 猫ではない。
黒猫の仔猫のような1号は ミー という名前をもらった。
私もその程度の名前でいいから欲しいな。 V3 とかでいいのにな。
猫神様より貴重な宝石を預かり、王都の大商人のところで換金するという任務を授かった。
本来喜ぶべきところなのだが、難関がいくつもある。
まずひとつ、遠い。
猫神村なんて王国の隅っこであり、知名度はほぼない。
人族中心の国であるから、中央部分は人族以外いないのだ。
その中央部分を越えて、さらに中心の王都に行かねばならない。
馬車だとひと月以上はかかるんではないだろうか。
次にふたつ、人族に売買交渉をしなければならない。
猫の姿をした私が。
さらに相手が神様や巫女でない限り、自分の言葉は通じない。
相手の言葉はわかるのだけれど。
村長のお供で付いて行くとかのほうが良かったのではないだろうか。
しかし猫神様の神使である私には、猫神様に意見することなどできない。
猫神様を尊敬している。
きっと深遠なお考えがあるに違いない。
早く全てを解決する正解にたどり着かねば。
猫神様の信頼に応えるために。
その後、王都には、とあるうわさが広まった。
それは絵本にもなり、舞台化もされた。
ここにそのあらすじを紹介しよう。
他国より輿入れしてきた姫君の乗った馬車が大盗賊に襲われた。
多勢に無勢で全滅寸前、どこからか現れた猫が姫たちを救った。
その猫はさらに道中不自然に現れた魔物たちも、すべて倒した。
実はそれらは輿入れ反対派の陰謀であり、しびれをきらして現れた刺客までも、その猫がことごとくと拝した。
しかし反対派は姫の宝石を奪っていた。
だがその猫は姫に幻の宝石 人魚の雫 を与え、輿入れを成功させた。
猫は褒美をたんまりもらうと、ひとりどこかへと去っていったのだった。
タイトルを 「 ロシアンブルー ~姫に失恋した猫~ 」 という。




