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聖黒の魔王  作者: 灰色キャット
第1章・底辺領土の少女魔王
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間話・賢き猫たちの長として 後

 ボクの雰囲気が変わったからか、場が一気に緊張感を増した気がしたにゃー。


「言いたいことはそれだけかにゃー?」

「……どういうことにゃあ」

「随分と好き放題言ってくれてにゃー……ボクを馬鹿にしてるのかにゃー?」


 レディクアが心配そうに見てるけど、別に手を出すわけじゃないにゃー。ただ、ちょっと教育が必要だと感じただけにゃー。

 大体今更何をバカなことを言ってるのか、と憤りを覚えるほどにゃー。


「ボクがダメ出しする? 当たり前にゃー。そもそもケットシーは一番優秀だったにゃー。それは二人も認めていたはずだにゃー」

「確かにケットシーは優秀だったかしにゃ。でも人格面で考えたら他にも選択肢はあったかしにゃ」

「そんなの後からいくらでも言えるにゃー。あの時わざわざ賢猫(けんびょう)会議を開いてみんなで決めたことに文句を言うなんて、おかしいと思わないのかにゃー? ボクはちゃんと他の候補がいるか聞いたにゃー」


 エシカがなにか言おうとしたけど、ボクが射殺さんばかりに視線を向けると、押し黙ってしまったにゃー。


「おまけにフェーシャさまが起こした問題は全部ボク任せだにゃー。君たちはボクの責任問題だって騒ぎ立てたのを、もう忘れたのかにゃー? なんでそういう時だけ黙るのにゃー。

 自分のやりたいことだけやって嫌なことが起きたら全部上の責任なのかにゃー? 君たち、賢猫(けんびょう)という立場を本気で考えてるのかにゃー」

「……当然にゃあ。考えてるからこうして意見してるにゃあ」

「意見? 君たちのはただの願望だにゃー。自分がこうしたい、ああしたいってのをボクに押し付けて、上手く行かなかったら全部ボクのせい。随分気楽だにゃー」


 フェーシャ様がティファリス女王と揉めた時、ファガトとエシカには「自分が行って対処してくる!」って言うだけの根性を見せてほしかったにゃー。

 たとえボクと一緒に行くことになってもにゃー。


「……そんなことないにゃあ。僕らはちゃんと国のことを考えてるにゃあ」

「そうかしにゃ! わたし達のことばっかり言うけど、レディクアはあの時はここには来ることすらしなかったかしにゃ! ネアだってなにも言わなかったし、わたしたちだけじゃないかしにゃ!」

「レディクアはボクの命令でアールガルムへの対処に追われていたにゃー。ネアはフェーシャ様のせいでいなくなった後進の育成に力を入れるようにボクが指示してたにゃー」

「レディクアはともかく、ネアのそれは言い訳にしか聞こえないかしにゃ!」


 本当に……ああ言えばこう言うにゃー。もうこの二人に付き合ってられなくなってきたにゃー。


「……なんだかんだ言ってカッフェー様も自分の思い通りしようとしてるにゃあ」

「そうかしにゃ! リーティアスに取り入ろうとして、カッフェー様のしてるのは、売国行為にも等しいかしにゃ!」

「言うに事欠いて……もういいにゃー」


 頭が痛くなってきたし、もう疲れてきたにゃー。


「それじゃあこうすればいいにゃー。ファガトもエシカも、自分の好きなように動いていいにゃー。ボクはもう一切口出ししないにゃー」


 ボクのその発言に、驚きながらも「やった!」と言わんばかりに笑いそうになってる二人は本当に能天気いいにゃー。


「だけど、ケルトシルは二人の行動の一切に関与しないにゃー。リーティアスにもアールガルムにも、二人が揉め事を起こしたら全部自国で処理していいって言っておくにゃー」

「な!? そ、そんなの通るわけないかしにゃ!」

「自信がないのかにゃー?」

「あるとかないとか、そういう問題じゃないかしにゃ! なんでそうなるかしにゃ!」


 それはもうボクがこの会議に疲れたからだにゃー。

 こんな子どもでも疲れそうな会議するためにボクは帰ってきたわけじゃないのにゃー。


「あのね、ボクにどうしてほしいのにゃー? 君たちが失敗したらお母さんみたいに慰めてあげればいいのかにゃー?」

「……最終的にケルトシルが美味しいところを全て横取りできるように動くべき、そう言ってるにゃあ。それを僕たち二人だけで動けとか、責任は負わないとか……そういう場合じゃないにゃあ」

「はぁー……はっきり言わないとわからないのかにゃー?」


 一から十まで教えてあげないといけない……この気持ち、どうやったら伝わってくれるのかにゃー。


「どういうことかしにゃ?」

「わずか500人でその何十倍もの軍勢に戦いに挑む気勢。

 超広範囲で放たれる魔法攻撃。その中でも全く怯まず向かってくるゴブリン。

 その魔法の使い手であり、二人の魔王を相手取っても一切の損害を出さずに無傷で戦争を終らせる程の魔王。こんなの、どうやって相手取るのにゃー?」


 ボクの言葉に顔色を青くしているファガトとエシカは、なんとか言葉を出そうと口をパクパクさせながら考えてるようだにゃー。

 というかこれくらいの情報仕入れてきてから発言してほしいにゃー。


「そ、そんなのなにかの間違いじゃないのかしにゃ」

「ケットシーは直接戦場を見てきたにゃー。アールガルムのフェンルウやセツオウカのオウキさんも同じことを言ってたにゃー。それでも間違いだと思うのかにゃー?」

「うぅ……」


 さすがにケットシーに加えて他国の……それもオウキさんの言葉を否定するということはできるはずもないにゃー。

 そこまでしてたら有無も言わさず賢猫(けんびょう)の立場を返上させてやるところにゃー。

 ……別に今すぐ返上してくれて全く構わないけどにゃー。


「もう一度聞いてあげるにゃー。そんな上位魔王と同等だと言っても過言じゃない実力を持ってる魔王が統べる国を、戦争なしになんとか出来ると思ってるのかにゃー?」

「そ、それは……」

「無理だにゃー。ボクたち猫人族は人狼族より小さいし、その分身軽に動くことは出来るけど、一撃が軽いから毒物を用いた戦いを必然的に要求されるにゃー。かといって得意の魔法で攻めたとしてもボクらより魔法に精通してると思われる魔王を相手取って、勝てると思うのかにゃー?」

「……そんなの、やってみないとわからないにゃあ」


 なにを馬鹿なことを言ってるのかにゃー。

 やってみなくてもわかるのが普通だにゃー。

 エルガルムの二の舞……いや、それ以上に酷いことになっても不思議じゃないにゃー。


「それで敗北したらどうなるのかにゃー? 猫人族としては終わりではないにしても、ケルトシルという国は完全になくなってしまうのが目に見えてるにゃー。

 やってみないとわからない? 勝算も何もないその程度の発言しか出来ないなら黙ってろにゃー」

「な……っ! そこまで言うかしにゃ!?」

「君たちがそこまで言わせたのにゃー。ボクは頭の悪い発言を聞きに賢猫(けんびょう)会議に参加したわけじゃないにゃー。周りの国の情勢をまともに見ることの出来ない新参者が、あまり調子に乗ってると痛い目みるにゃー」


 何もわかってない若造があまりでしゃばって……あまりの馬鹿さ加減にボクの気持ちも次第に冷え切っていくのを感じるにゃー。


「レディクア、ネア、二人はどう思ってるにゃー? ボクの言うこと、間違ってるかにゃー?」

「……間違ってないみゃ。カッフェー様が言ってることが正しいなら、わたしたちは間違いなく負けるみゃ。ご飯が食べられなくなるかもしれないし、嫌だみゃ」

「ネアの言うこともある意味正しいんにゃ。わたしもそんな上位魔王と同等の力を持ってるかも知れない相手に真っ向から挑むような真似、絶対したくないんにゃ」


 この二人はあまり自分で動こうとはしないけど、きちんと考えてものを言ってくれるからありがたいにゃー。

 これで率先して行動できるようだったら賢猫(けんびょう)たちの長として申し分ないんだけどにゃー。


「……三対ニ。分が悪いにゃあ」

「どうするにゃー? ボクはもうどっちでもいいにゃー。君たちがしたいなら止めはしないにゃー」


 そんなことよりお家に帰って子どもたちと遊びたいにゃー。

 お風呂にも入りたいし、お嫁さんといちゃいちゃもしたいにゃー。

 ちらっとレディクアの方を見ると、もう少し我慢しろと言わんばかりの視線が飛んできたにゃー。


「……わかったにゃあ。僕もそこまで突っ込まないにゃあ」

「ちょ、ファガト!?」

「形勢が悪すぎにゃあ。カッフェー様の言うこともわかるにゃあ」

「本当にわかってるのかにゃー?」

「……情勢を見て発言すればいいわけだにゃあ。そうすればカッフェー様も僕らを馬鹿にしない……そういうことだにゃあ?」


 急に手のひら返してきて、本当にわかってくれてるのかはわからないけど、ひとまずこの会議を終わらせようという気は伝わってきたにゃー。


「そうだにゃー。ちゃんと勉強して、周りのことを考えて発言してくれればボクだって無下にはしないにゃー」

「そ、そんなことどうせ――」

「その続きは本当にやってみてダメだった時に言うにゃー」


 エシカの発言を遮ったボクは、最後にみんなの顔をもう一度見回して、改めて宣言することにしたにゃー。


「今回の件については、ボクもフェーシャさまもリーティアスを援助し、関係を良好に保つ方向で一致してるにゃー。どのような謀略を仕掛けようとも、ボクらはリーティアスと結託して乗り切ってみせるにゃー。反対する者は……ボクを納得させるだけの理由と策をはっきり言って欲しいにゃー」


 しばらく間を置いてみても誰もなにか喋る気配がないにゃー。ファガトとエシカの方を向いてもうつむいてるだけだにゃー。


「もうなにもないみたいだにゃー。それじゃ、賢猫(けんびょう)会議はこれにて閉会にゃー。言いたいことがあるならボクに直接言ってくれればいいにゃー。まともな意見交換はボクも大歓迎にゃー」


 ボクのその言葉を持って、賢猫(けんびょう)会議は終了したにゃー。すぐに帰ろうとしてると、レディクアが声をかけてきたにゃー。


「カッフェー様、家まで送りますんにゃ」

「別にいいのににゃー……まあいいかにゃー。というかもう会議は終わったにゃー」

「私はもうちょっと仕事が残ってるんにゃ。公私の区別くらいしっかりつけるんにゃ」


 のんびり帰路についていると、レディクアがなにか言いにくそうにボクをちらちらと見ていたにゃー。


「……どうしたにゃー?」

「大丈夫かなって思ったんにゃ。賢猫(けんびょう)会議ではブチ切れてもおかしくない雰囲気を纏ってたんにゃあ」


 ああ、そのことを言いたかったのかにゃー。そこまで心配する必要なんてないのににゃー。


「大丈夫にゃー。若造の言葉で完全に血が上るわけないのにゃー。まあ、腹は立ったけどにゃー」

「そ、そうなのかんにゃ……ならいいんにゃ」


 どこか安心するように一息ついてるけど、気を回しすぎなのにゃー。

 そういうところがまたいいと思うけどにゃー。


「レディクア」

「なんにゃ?」

「これからもっと大変なことが起きるにゃー。だから、ボクはその日までレディクアの支えが必要にゃー」

「カッフェー様……」

「にゃは、だけどなんだか楽しいことが起きそうだにゃー。そう思わないかにゃー? レディクア」


 ボクの言葉に曖昧に頷くレディクアを尻目に、未来のことに思いを馳せながら帰路についたにゃー。


これにて第一章は終了です。

次回の投稿は10月15日予定です。

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[気になる点] にゃー [一言] 今まで読んできた小説の中で最もにゃーが多すぎて頭が痛くなりそうにゃー
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