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祝 開店


紆余曲ありつつも、あっ、と言う間にせかんどはんず異世界店はいよいよもって異世界にて記念すべき1号店として開店の日を向けた。


本当に最初は色々あった……。

コットンの助言もあり、元の店舗の商品は一部を除いてすべて撤去。

アコの提案により、コアルームの隣に隠し部屋を設け、そこに全て封印した状態となっている。


この世界限定とはいえ通信が出来てしまうケータイやスマホ、PCだって表計算やその他演算は勿論、何故か何台かはネットも閲覧だけならば可能という意味不明状態。


ちなみにIPの出所はどこかと確認したところ全て見たことのない記号になっていた。理解不能過ぎて怖い。

何にせよこの世界では存在が明るみになればバランス崩壊どころの騒ぎではないとの事で、レジで使う中央管理システム搭載のPC(POSという)以外は全て封印した。

POSシステムに関してはこれがないと俺が商品管理も査定金額の登録も何も出来ない。

帳簿つけるのにも必要なので、これは多少一目につくかもしれないが、ユニークアイテムです。で乗り切ろうと思う。


そしてその他の在庫に関しては現状取り出せるのは俺とアコとコットンの3人のみ。

ぶっちゃけダンジョン関係者以外にそんな権限与えられるわけもないからね。

まぁ特に問題は無かろう。

 

さて、当然そうなると本来の売り物が売れないという問題が発生する。

店舗なのに売る在庫が全くないという悲しい状況に陥ってしまったため、とりあえずさしあたっての運転資金をどげんかせんといかんと気づき、頭を抱えた。


通常は当然ある程度の原資と、販売する在庫を抱えてからオープンするのだが、当然異世界から持ってきてしまった在庫を売るわけにもいかず、コットンから譲り受けた武具達も今はガラスケースの中に非売品の札を付けてガラスショーケースにデカデカとディスプレイ。

当然客寄せパンダなこれらも、色々な意味でお金で売るわけにはいかないと来たもんだ。


しかし商売とは先立つものが必要なのだ。詰まるところ金が。

さてそれをどうしたものかと考えていた所、これまた幸いコットンが例によって魔石や宝石を大量に貯蔵していたものを拝借。

それを再度店に訪れたリンに現金化をお願いし、まとまった現金を得ることが出来た。

コットンに既に足を向けて寝られない。コットン様と拝み倒したいレベルで俺の中でコットン株が爆上がり中なのだが、コットンは「ダーちゃんの役に立てて嬉しい」と聖母のような笑顔を浮かべるだけだった。

……絶対なんか企んでやがる。とアコが囁いたが、俺もそう思うけどここはスルーしておこう。


まぁなんにせよ、初期の運転資金にはその金銭を充てることで、どうにか問題は回避した。

裏はありそうだが、やはり持つべきものはコットンである。

この事は素直にコットンに感謝して、頭を撫でたりカップ麺を差し入れたりと色々した結果、今では彼女も店舗の経営にそれなりに乗り気になってくれたので、すべて万事オーライと言って良い状況だろう。


そしていざ開店、最初は客が来ないどころか冒険者がダンジョン横の休憩所だと思ってズカズカ押し入って来たりした。

強盗団なのか山賊なのかわからないが、如何にも柄の悪そうな集団に攻め込まれたりもした。


ちなみに無法な冒険者はリンとファンがボコボコにして文字通り身ぐるみ剥いで、裸で首から「わたしは世間に迷惑をかけるクズです」と立て札をかけられ、そのままギルドに出頭させられていた。

賊に関してはコットンが全員ダンジョンに連れ去った。その後の行方はようとして知れない。

どっちも俺は店のカウンターの裏に隠れていただけだった。仕方ない……仕方ないんだ……。


ちなみになぜかソウルが20ほど増えていたのだが、まぁそういうことなのだろう。

人の命を奪わないダンジョンを作る!(キリっ)と言ったそばからこれかと思わなくもないが、悪党は除くと自分の中で割り切っておいた。

この世界はそれなりに人命が軽い。得にダンジョンに潜る冒険者などはその傾向が顕著であるし、自分や仲間の命を守る為に脅威を取り除くのは必要なことだからだ。


それでも古い武器や防具、ダンジョンのドロップ品なんかをそれなりの値段で買い取ってくれる場所として、徐々に認知度が高まっていくにつれ、客質、客足ともに良くなってくるまで、それほど時間はかからなかった。具体的には1週間くらいか?


特に買い取った武器や防具が、後日目を疑うような新品同様、ないしグレードアップまでしているような状態で売りに出され、リーズナブルな値段で買い替えも出来るという評判を呼び、それが更なる集客に拍車をかけていたわけだが。たまに返せとか無茶を言ってくる客もいたが、勿論丁重にお断りした上でおかえり頂くよう対応した。主に俺以外が。


これはアコ&とットン曰くの俺の固有のスキルによるところで、道具の声が聞こえたり、触ると悪い部分がわかるのが《査定》、簡単な道具で修繕や調整が出来るスキルが《メンテナンス》。

どちらも中古買取業に使うにはまさにチートとしか言いようが無いスキルだと俺は思うんだが、他の皆の反応は「ふーん。便利そうだね」くらいの軽いノリでちょっと寂しい。

触るだけで悪い所がわかるとかすごくない? 何処が壊れてるか全然わからんマザーボードのチェックとか超楽勝じゃん……。マザーボードも全部隠し部屋だけどさぁ……。


さて、そんなこんなで結論から言えば、せかんどはんず異世界店は開店1週間が経った今日まで、大盛況とは言わないまでも割と冒険者御用達のお店として、好調なスタートを切ったのであった。


遅れてしまい申し訳ありません

本日は短いですがこの1話のみとなります


明日も23時に更新します。


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