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ヒーロー兼ヒロイン=夕月

いつもと変わらない昼下がり。


ドォォォォオオオオオンッッ!!とすごい音と振動にびっくりした。


窓もビリビしてるし、何事!?と外をのぞくもよくわからず。



バァンッ!と次は玄関が勢いよく開いて、次はなんだ!?と思ったら、なんか見たことない気持ち悪い物体X。



「…え、ぎゃ!!ぎゃーーー!!」



あれよあれよと拉致られました。

え、なにこれ。特撮撮影みたいになってるけど、敵きもすぎ!もっとなんかこうスマートじゃないと!

ゾンビ的な半分溶けてるよ!

どうやらこの世界にも魔王的なものがいたようです。

平和すぎて知らなかった!!


どさっと適当に放り投げられ、お尻を盛大に打ち付ける。

いたい!お尻いたいよ!



「ほう、お前が異界の者か。なかなか愛らしい顔をしておるのう」



にたぁっと笑ったのはどうやら中ボス的な人らしい。

さっきの物体Xは下っ端かぁ。中ボス的なのは、ザ・悪!みたいな角が生えている。

総じて肌の色が不健康な青白い感じなのは、デフォルトだろうか。



「あぁ異界の者はこちらの言語がわからぬのであったなあ」



何が楽しいのか常ににたにたしているが、喋れない理解できないと思っているらしい。

うん、じゃあそう思っておいて!



「まぁ喋れずともよい。お主は贄だからなぁ」



まて。私が贄?生贄!?なんてこったい。

スミンさんとラブラブライフはまだはじまったばかりなのよ!!

このままではスミンさんと私の異世界ラブラブライフ計画が!!



「ふふふ、早いなぁ奴らもう出てきたか」



水面に映し出されたのは、こちらに向かってきている騎士団。

スミンさん!!かっこいい。早い。いや、部下置いてけぼりになってるよ。

スミンさん、部下、兵士と続いていて、兵士のど真ん中には指揮官のような人がいる。



「おや、これは領主じゃないか」



どうやら指揮官は領主様らしい。あ、そうなの。知らなかった。私より詳しいね。

へーと眺める。他の人より髪の毛が暗めだ。



「髪が暗いほど魔力が強いというが、さてどうなのだろうなぁ。異界の者は魔力を持たないらしいが」



あ、それも初耳。中ボスなんでも知ってるなぁと感心する。

ん?異界の者は論外と言われたけど、私魔力使ってるなぁ。

これはこの世界の言葉を喋れる前提なのかしら。



「さぁこい!」



ちょおい!!腕いたい!もげる!!

じたばたしていると、連れて行かれたのはバルコニーのよう。

あ、ここも城だわ。悪魔の城っていうか、某配管工の敵のキャッスル的な。暗いなぁと思ってたけど、ここ太陽光ないね。

分厚い雲が邪魔をしているというか、暗黒うずまく感じ。なんでこう敵地って曇天で雷ピッシャァァアア!みたいな感じなんだろう。


どやぁっと中ボスが見下ろした先には、スミンさん部隊と兵士が集まってる。

うーん、こんな堂々と姿見せてないで、隠れてハンドサインとかでやり取りするような感じがいいんじゃないのかしら。

真っ向勝負なんだろうけど、なんかこう…。うーん。もやる。



「夕月!!」



あ、でもスミンさんかっこいい。かっこいい。惚れる。



「夕月というのか、名も愛らしい。贄にするのがもったいないのう」


「夕月に触れるな!」


「馬鹿め。闇にいるわしらに勝てると思っているのか!!」


「くっ…」



どーんとポーズを決めてるけど、弱点わかったわ。

これあれでしょ。光が弱い~みたいなパターンやでこれ。

ちらっと下を見るも、結構な高さ。うーん。うーん。


キャッチしてくれるかなー。



「そこの犬っころにはもったいないわ」



とか言いながら頬をべろーっとなめられた。

きもい!あかん!きもすぎる!!!!!



「…離せ」


「うん?」


「離せっていってんだろがー!!くらえ太陽光と紫外線!!」



叫んだ瞬間、分厚い雲が裂け、出てきました太陽さん。

いつもより数倍輝いてみえる。真夏の太陽えげつない!あっついわー。

周りはぽかーんとしているし、魔王群は出てくるはずのない太陽に隙を突かれて煙を上げている。



「なぜだ!!魔力はないという話では!!」



ぶんっと放り投げられましたが、さすがスミンさんナイスキャッチです。

わー、なんかどこぞのB級映画なんだろう。私ヒロインかなぁと思ったけど、私が攻撃しちゃってるからなぁ。


は!!魔法戦士ということか!

私子供のころの夢かなえてるわ!!すごい!


ぎゃあぁぁぁぁああああああ!!という叫び声を最後に、悪魔城のような見かけがただの古ぼけた城になり、よくわからなかった中ボスは灰になった。



「吸血鬼的な?」


「…は!夕月無事か!?怪我は!?」



私をキャッチしたあと呆然と城を眺めていたスミンさんは私のほうを向き直り、ぺたぺたと顔を触りながら怪我を確認してくる。

本当にいいイケメンです。ありがとうございます。

大丈夫!と言えば、そうかとぎゅーっと抱きしめられる。


結果はどうあれ心配はさせてしまったし、仕方ない。


そして、獣人とか聴覚の優れていない兵士は急に太陽が出てきて敵死んじゃった!と思っている様子。

しっかり私の怒りの叫びが聞こえていた獣人は、隊長の彼女なんでもありだよ…と遠い目をしている。

温度差な、この兵士と獣人の。


お祭り騒ぎに水を差すのもなぁということで、そのままスルーして帰宅することにした。


その後しばらくは領主様が出向かれたために太陽が味方したのだ!!という話題で町は持ちきり。

私はスミンさんとこで、護身術と魔力コントロールを学ぶ羽目になったのだった。



こんなB級以下じゃない?ていう映画みたいなことが起きていいんですか?神様。


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