43 鑑定結果とお買い物
剣の鑑定が終わり、コロは淡々と鑑定結果を述べる。
「非常に良い剣ですね。素材もあまり市場には出回らないシルバライトでできていて作りも一級品です。特殊効果等はついていませんがこれほどの剣はこの街でも手に入れることはできないと思います。刃はもちろん持ちてなども非常によくできています。武器屋であればかなりの高値で売買されるでしょう。」
「そうですか、良かった。」
「ですが、このままお使いになるようでしたらコーティングの魔法付与されることをおすすめします。」
「魔法付与? 炎や雷などを纏わすことですか?」
「そういった魔法付与もありますが、刃こぼれや血のりによる切れ味の低下を抑えるコーティグのことです。」
「ほう、そのようなものもあるのですか。」
(今までは自分で一々手入れしていたのが馬鹿みたいだな。)
「ええ、コーティングすれば折れないというものではなく耐久度や切れ味を保持する感じです。簡易なものはうちでもできますけど武器屋でやってもらったほうが確実ですね、持ちがちがいますから。」
「なるほど、それは良いことを聞きました。」
「紹介書を書きますね、少し安くしてもらえると思います。」
「助かります。」
コロが紹介書を書いている間に一神斎は鑑定してもらった大剣を見る。
正直かなり驚いている。
"真理の錬金釜"で形を変えているが素材等は何も加えていないので以前聖剣と交換した物のままだ。
(あの娘かなり腕の立つ冒険者だったのかもしれないな、プレート等を確認していないからランクはわからないがもしかしたら俺より上かもしれない。)
「この剣は持っておいた方がいいですよ、国内でもこれほどの剣はあまりないです。」
「なるほど、わかりました。大事に持っておきます。」
「それがいいと思います。どうぞ紹介書です。他に何かありますか?」
「いえ、後は店の中の商品を見て回ります。 あっ鑑定代はいくらですか?」
「あぁ、お代は結構です。お客さんは今回が初めてですのでサービスです。」
「えぇ!? いいんですか?」
「はい、そのかわりまたお願いします。」
ニコっと笑いコロは商品の陳列作業をする。
一神斎も邪魔しないように店内の商品を見て周る。
ポーションや解毒剤や巻物などの消耗品はもちろんのこと、薬草や木の実、枝や羽など様々な物が置いてある。
(すごいな、魔法効果があるナイフまで売ってる。さすがに魔法の指輪は売ってないけど。)
杖やローブなどの魔術詠唱師が装備するものも売っている。
こういう新しい所に来ると必要以上に買い物をしてしまいそうになる。
巻物はもちろんポーションや解毒薬、ステータス向上の装飾品など手に取っていく。
「ん? ”道具箱の腕輪”?」
陳列されている腕輪を手に取る。
一神斎が不思議そうに見ているとコロが声をかけてくる。
「それは道具を魔法空間にしまって持ち運べることができる腕輪です、物によりますが大体50個くらいはその腕輪に入れて置くことができます。」
(”無限の保管庫”みたいなものか。)
「これに食料などを入れておくことは可能なのですか?」
「入れることはできますがすぐに腐ってしまいますよ? それに腕輪が壊れると中の物があふれ出てくるので注意が必要です。」
値段の横には鎧の中に着けておくのが良いと注意書きがある。
(ダルトでは”無限の保管庫”は使えないから2つほど買っておくか、巻物やお金を手荷物をもたなくて済むのは大い。)
「お会計をお願いします。」
「はい、ありがとうございます。」
会計を済ませもう少し情報収集がてら雑談をする。
「そういえば店先に買取の文字があったのですが。」
「はい、不要になった魔具や薬草等の消耗品の買取もしていますよ。買取金額は品質で上下しますけど。」
(まるで古着とか漫画みたいだな・・・・。)
「あっ、でもうちでは魔法関連の物のみですので他の物は他店にてお願いしますね。」
「武器は武器屋にってことか。」
「はい、ちなみに隣の店では様々な素材を扱っている素材屋なのでこれから重宝すると思いますので顔を出しておいたいいですよ。」
「なるほどそれはどうもありがとうございます。」
店を出て隣の店にも立ち寄っていると夕方になっていた。
素材屋は武器や防具などのアイテムを作成したり強化、加工するさいに必要な素材を売っている店だ。
どうやら冒険者はここで素材を買うだけではなく冒険や討伐で得た素材を売ることで冒険資金の足しにしているようだ。
客層は冒険者よりも商売人や加工屋がメインのようだな。
正直金には困っていないのでここには荷物を減らすためにくることになりそうだ。
武器屋にも立ち寄る、コロが言っていたコーティングをしてもらうためだ。
紹介書もあって安く仕上げてくれるらしい、どうやら明日の朝には仕上がるらしい。
剣がなくても簡単なクエストは正直いけそうだが、今日はやめてこう。
などど考えているとだんだん暗くなってきた。
とりあえず今日はこのままもう少し街を散策して宿に帰ることにする。
時間でいえば19時頃だ。
少し早いが今日はこれで終わりだ。
宿の部屋に帰り部屋の鍵をかけ、窓を閉めてそのままベッドで寝転がりRPRの電源を落として本体に戻る。
そこは”孤黒の宮殿”だった。
本来の自分の身体には魔法かけて食べ物を食べなくても平気になっているが、食事を取らないのは寂しい。
食事は一神斎にとっては楽しみの1つでもある。
「今日はお好み焼きでも食べに行くか。」
もし万が一ダルトの身に何かあればこちらに通知が来るようにしてあるのでダルトは放置しても大丈夫だ。
一神斎はお腹を擦りながら転移の魔法で自分の世界へ戻った。