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25 スウィーツプリンセス(3)

 きららは怪物の攻撃を掻い潜り頭上で停止する。

 怪物は頭上のきらら目掛け巨大な腕を振り上げようとした時。

 「<水衝斬波>」

 怪物の後ろに回ったさやは水を纏った剣を振り下ろす,怪物の膝裏に水の斬撃がヒットし膝が僅かに落ちる。

 怪物が足元にいるさやに向かって拳を振り下ろそうと腕を高らかに上げる。

 <炎の矢ファイヤー・アロー

 上空にいるきららが怪物の顔目掛け炎の矢を飛ばす。

 炎の矢は怪物の頭にヒットし炎上する。

 だがダメージがほとんどない怪物は上空のきららに顔を向けると衝撃波を含んだ咆哮をする。

 「うわぁ~!!」

 衝撃波をまともに受けきららは飛ばされる。

 「エリナ!!」

 「わかってますわ!!!」

 わざと遅れてきたエリナは勢い良く跳躍し持っている槍を構えがら空きの怪物の胸部目掛けて飛び込む。

 「くらいなさい! <紫電疾風突き>!!」

 紫電を帯びた槍は勢いよく怪物の胸部に衝突し辺りには雷撃が走る。

 


 「くっ・・・・・・は、はじき返される!? きゃっ!」

 エリナは突きたてた槍ごと弾き飛ばされる。

 勢いよく衝突した分、勢いよく地面に叩きつけられる。

 「かはっ・・・・・・くぅぅぅ・・・・。」

 「エリナ!!!」

 さやがエリナに駆け寄る。

 「大丈夫!?」

 「げほっ・・・・げほっ・・・・えぇ大丈夫ですわ、それよりも。」

 2人は怪物を見上げる。

 ”ゴオァァァァァァァ”

 怪物にダメージはなく勢いよく咆哮をあげ一歩一歩近づいてくる。

 2人は急ぎ立ち上がり武器を構える。

 「まいりましたわね。」

 「私達じゃ歯が立たない。」

 


 先ほどの戦法は対巨大モンスター用のものでスウィーツプリンセスが巨大なモンスターと戦う時の必勝パターンだった。

 今回はいなかったがプリーストの美緒が補助魔法を全員にかけ、きららが最初に相手の気を引き咲弥が後ろに回り込んで体制を崩すように攻撃をする。

 そして相手がさやに目を向けた瞬間にきららが頭上から魔法で攻撃する。

 更に相手は頭上のきららに目を向けた隙にメンバーで一番攻撃力の高いエリナで止めを刺すというものだ。

 もちろんこれで倒せない相手もいたがダメージは与えることができ後は慎重に討伐する。

 とはいっても訓練用シュミレーションでの話だが。



 しかし、今回の相手はこれまでの相手とは全く異なる。

 ダメージすら与えられている形跡がない。

 エリナの攻撃で体制が少し崩れただけですぐにこちらに向かってきている。

 きららもMPマジックポイントが切れたのか飛ばされたところから走ってきている。

 さやもさきほどの攻撃でMPマジックポイントを使い果たしており体力もほぼ限界に近い。

 エリナは体力的にはまだ余裕はあるものの自身最高の技が相手に効かないうえに魔法が使えないので打つ手がない。

 絶望的な状況だ。

 いまだ討伐隊などが来ていないことから外部とはまだ連絡が取れていないと見ていい。

 

 

 「私たちも避難すべきかな?」

 「答えかねますわね、だいぶ離れたとはいえ後方にはファンの方たちもいるでしょうし・・・・あの怪物は鈍重とはいえあの大きさですのですぐに追いつかれるでしょうね。」

 2人は黙り込む。

 普通ならば逃げてもいい状況だが、自分達はこの場で戦うことができる唯一の存在なのだ。

 自分達は逃げおおせるだろうが、それでは後方の人間は間違いなく殺されてしまう。

 ちやほやされて自分に酔っているわけではない。

 そこにはこれから現れる者にはない、困った人達を、自分達が守れる人たちを、力を持った者としての役目を全うするという正義感が彼女達にはあったのだ。

 「仮に私達がやられても後方にはみおさんがいらっしゃいますのである程度の時間は稼いでくださいますわ。」

 いつもは自信家のエリナなら言わないことを口にする。

 しかし、さやはそこには触れない。

 さやも覚悟を決めたからだ。

 「そうね・・・・でも私達もまだやられるわけにもいかないね。」

 さやの言葉にエリナはニコっと微笑み、槍を構える。

 「当たり前ですわ、まだまだこれからですわ。」

 エリナの言葉に咲弥も笑顔になる。

 「うん!」

 「きますわ!!!」

 


 怪物は2人の目の前まで来ると足をとめて両手を上にあげると2人に向けて振り下ろす。

 2人はスレスレで回避するが怪物の手が地面に叩きつけた衝撃で体制を崩し吹き飛ばされる。

 「「きゃぁっ!!」」

 2人は地面を転がりうつ伏せの状態で顔をあげると目の前に怪物がまた巨大な腕を振り下ろすべく上にあげる。

 「あ・・・・こ、ここまで・・・・。」

 「・・・・・・さやさん」

 2人は互いの手をつなぎ目をつぶる。

 怪物の腕が勢いよく二人に振り下ろされた瞬間。

 大砲のような爆音が頭上で響き、少し離れた場所から巨大な看板がビルの屋上から落下したような重い音が地面を揺らしながら響く。

 「「な、何の音!?」」

 2人は声を出しながら顔をあげる。

 「お~、大丈夫そうだな。」

 2人は慌てて声のした後ろを振り向く。

 そこには黒を基調とし銀色のデザインが施された足首近くまである重厚なローブ、両肩に黒と銀それぞれ光沢のある肩鎧、黒と銀のブーツ、手には黒い手袋、そして黒と赤で顔全体を覆っている仮面をした男が立っていた。

 「近くで見るとかなり可愛いな。」

 「「は?」」


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