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24 スウィーツプリンセス(2)

 舞台の後ろに10mはあろうかと思われる化け物がいた。

 丸みのある顔だが目がない、歯が不規則に生えており涎があふれ出ている。

 前傾姿勢でありその悍ましい姿はまさに化け物だ。

 観客が一斉に後ろに走り出す。

 会場は大パニック状態だ。

 1人を除いて。



 「こ、こんな化け物いつ現れましたの!?」

 「あわわわ!!!!」

 「大きいねぇ~。」

 「み、みんな落ち着いて! と、とにかく戦闘準備を。」

 舞台上のスウィーツプリンセスも驚きを隠せない。

 前にも同じことがあったが慣れるものでもない。

 それに前回のモンスターよりも大きく醜い。

 「戦闘準備も何も私達の武器は控室ですのよ!?」

 「どどどど、どうしましょう!」

 「みお~落ち着いて~、ほら深呼吸~」

 「と、とりあえず私ときららの魔法攻撃で何とか食い止めるから!」

 「で、では私がみなさんの武器を取りに行ってまいりますわ!」

 


 エリナは<風来>のスキルを発動するとモンスターとは逆方向にある控室へと駆ける。

 「は~ふ~、は~ふ! お、落ち着きました!」

 「よ~し、ではいこう~」

 「みおは、私達に補助魔法を。そのあとは通報とファンのみんなをお願い!」

 「は、はい!」

 プリーストのみおがきららとさやに補助魔法を掛ける。

 <魔法攻撃強化マキシマム・マジック><物理攻撃吸収(弱)><5秒間韋駄天>

 「きらら! 行くよ!」

 「お~け~」

 きららとサヤは舞台を降りてモンスターの前を走り抜けてパニック状態の観客に被害が出ないようにモンスターの横の位置につく。



 「こっちよ化け物! <魔法の矢マジック・アロー>」

 「いけ~ <炎の矢ファイヤー・アロー>」

 咲弥の手から光輝く矢、きららの手からは炎の矢がモンスター目掛けて飛んでいく。

 モンスターの身体と顔に魔法が直撃する。

 しかし、モンスターは何事もなかったかのように巨大な腕を振り下ろす。

 「きらら! あぶない!」

 さやがきららに向かって飛び、間一髪で回避する。

 モンスターの攻撃で地面が抉れる。

 「魔法が通じない? 魔法耐性があるの?」

 さやがモンスター見ながらつぶやく。

 「ん~・・・・でも顔が少し焦げてるから耐性はないと思うよ~? 見た目通りタフなだけじゃないかなぁ~?」

 きららは普段通りのフワフワした感じでさやに答える。

 「でも困ったねぇ~、スタッフやファンのみんなもいるからモンスターの気を引き留めておかないといけないけど範囲魔法は使えないしねぇ~。」

 2人は観客の方をチラっと見ると観客の避難がまだできていないことを確認する。

 


 「み、みなさん周りの人を確認しながら押し合わずに避難してください! スタッフのみなさんも早く非難を!」

 みおは観客とモンスターを交互に確認しながら指示を出す。

 「みお! お待たせしましたわ!」

 「エリナさん!」

 エリナはみおに十字架の短杖ワンドを手渡すと観客の方へ眼をやる。

 「スムーズに避難できてないみたいですわね。」

 「は、はい・・・・そ、それに防衛システムが作動していないみたいで、外部への連絡も何かで妨害されているみたいなんです!」

 「なっ妨害!? 防衛システムまで故障ということは防衛隊や討伐隊への応援要請ができないということですの!?」

 「は、はい、い、今スタッフの人が何とかしようとしていますけど厳しいようですぅ!」

 「ならば尚更ファンのみなさんに早く非難していただきませんと不味いですわね。」



 ライブ会場は野外であり、広大な土地に舞台だけ設置した簡単な会場で舞台と観客との間に柵があるだけである。

 観客は2万人もいるがモンスターのいる舞台側以外は解放されているので避難は容易である。

 しかし、一部のファンがその場に立ち止まっているためにスムーズな避難ができない状態になっている。

 「「「頑張れ~!! 負けるなぁ~!!」」」

 立ち止まっているファンがスウィーツプリンセスに声援を送っている。

 「は、早く非難してください!!」

 「困りましたわね・・・・みおさん私はさやさん達と合流しますわ。ファンやスタッフの方をお願いしますわ。それにみおさんの方からも外部との連絡をお願いいたします。外部の方があの化け物をみて通報してくださると良いのですけど・・・・」

 「は、はいわかりました。スタッフの方にも連絡ができるところまで避難するようにお伝えします!」

 エリナは頷くとモンスターの元へと走る。

  


 「はぁ、はぁ、駄目ね。」

 「無駄にMPマジックポイントを消費するだけだね~、モンスターは引きつけられてるけどぉ。」

 徐々にではあるがモンスターを観客から遠ざけることに成功していた。

 しかし、モンスターにほとんどダメージを与えられていない。

 さやはスキルを使用し身体能力を向上させて地上から魔法で攻撃する。

 きららは<飛行フライ>の魔法で空から攻撃して地上のさやに攻撃を集中させないようにモンスターの周りを動き回りモンスターを人がいない方向へ誘導する。

 ダメージは与えられていないのでジリ貧ではあるが被害を出さないためには仕方がない。

 

 

 「さやさん! 剣ですわ!」

 さやが声がするほうへ振り返るとエリナが自分の剣を投げ渡してくれる。

 それにきららもエリナの所まできてスタッフを受け取る。

 「お待たせして申し訳ありませんわ!」

 「ありがとうエレナ、助かったわ!」

 「助かるぅ~」

 モンスターは咆哮をあげている。

 3人はそれぞれ武器を構える。

 「ファンやスタッフのみんなはは避難できたの?」

 「いえ、それが思いのほか難航してますわ。それに外部との連絡も何かに妨害されているようですわ。」

 「そうかぁ~防衛システムが作動しないと思ってたけどそういうことかぁ~」

 「今みおさんが何とか外部と連絡がとれないか探ってもらってますが難しいですわね。」

 3人の表情が一瞬曇るがすぐに気を引き締める。

 「それじゃ当面は私達でどうにかするしかないということね。」

 「ですわね。」

 「よぉし~ここは一か八か叩き込んでみよう!」

 


 普段スウィーツプリンセスならばスピードを活かしたチームワークで敵を翻弄しつつ敵の体力を少しずつ減らして戦法をとる。

 しかし、今は自分達しか戦える者がいないうえにまだ後方には避難している人たちが大勢いる。

 目の前の化け物は火を噴く等の遠距離攻撃はしてこずに近接攻撃しかしてこないが体が大きいのでどれも一撃必殺間違いなしだ。

 今は引きつけられているが、後方の人たちを攻撃目標にされたら自分達では止めようがない。

 それに咲弥ときららはここまでの戦闘で体力とMPマジックポイントをかなり消費している。

 近いうちに尽きてしまうMPマジックポイントを考えればここで勝負を仕掛ける方が良いと判断した。


 エリナはスキルを発動する。

 <風来><腕力強化(弱)><鉄心>

 きららも補助魔法を発動する。

 <防御力向上プロテクト

 「準備はいい?」

 「O~K~。」

 「いつでも!」

 エリナの言葉を皮切りにさやが化け物目掛け走り出す。

 それと同時にきららは自身に<飛行フライ>をかけ飛び出す。

 エリナも2人とは少し遅れて走り出す。

~スキル紹介~

風来=足の速さを上げるスキル


鉄心=物理攻撃をはじかれにくくするスキル

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