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21 トレーニングは闘技場で

 一神斎の姿は自宅のマンションの部屋ではなく、別の場所のあった。

 ”弧黒の宮殿”地下4階の自室だ。

 自室といっても一神斎が勝手に決めただけで作りは違うが同じような部屋はたくさんある。

 まるで一流貴族の部屋のような部屋、寝室だが不必要なほど広い。

 ベッドもキングサイズを優に超える大きさだ。

 寝室を出ると応接室のようだが大理石の大きな机と長机とソファがある。

 いったい誰がここを作ったのか正直わからない。



 ”至高の47”の一つ一つに使用方法や効果などの細かな情報が自分の頭の中にはあるが製作者や目的などの情報はまるでない。

 ”孤黒の宮殿”もそうだ。

 この宮殿の全体図や機能についてはわかるが、誰が建てたのかはわからない。

 それ以上にベッドはもちろん部屋の清掃などはどうなっているのか全くわからない。

 魔法等で常に清潔な状態になっているのかもしれないが魔法で調べても答えがでない。

 


 ”孤黒の宮殿”は地上分には宮殿分の本丸の周りは要塞のようなもに囲まれている。中庭があるのが少しオツだ。

 地下は5階まであり各階層は途方もなく広い。歩くのが億劫になるほどだ。車がほしくなる。

 各階でまるで雰囲気が違う。

 煌びやかな壁や照明、赤い絨毯が引いてあり今にもダンスパーティーでも行われるのではないかと思えるような廊下の階や、まるで魔王城のような大理石作りでうす暗い廊下の階もある。

 ほかにも大自然が広がる階もある。

 ちなみに”至高の47”を手に入れたのはこの宮殿だ。

 ショッピングモールのトイレ事件の時に飛ばされたのがこの宮殿だったようでクリスタルがあった部屋もこの宮殿の一室だった。

 今は何もない部屋だが。

 


 更に各階層のいくつかある大きな扉を開くとそこは部屋ではなく別の空間が広がっている。

 自然の中にある神殿がある空間、沼地が広がりドロドロした空間、溶岩が流れており灼熱の空間、猛吹雪の空間、扉から一歩向こうが水中の空間・・・・・・等々。

 正直使用目的がまるでわからない部屋ばかりだ。

 それにこの宮殿には自分一人しかいないのだからとても寂しい。

 一人焼肉などをする時にはとてもいいのだが、物音もしないのでたまに怖くもある。

 宮殿の外は何もない。見待たす限り平地が続いている。ちなみに外は常に夜だ。



 だが中には大変魅力的な空間もある。

 一つは図書館。

 もちろん普通の図書館ではない。

 まるでファンタジー映画に出てくるような図書館だ。

 とてつもなく広大な空間に億ではきかないほどの本が綺麗に整理整頓されている。

 その場で読むためのソファなどの閲覧場もあるし、よくわからない作業場のようなスペースもある。

 埃ひとつない清潔な空間で本をあまり読まない自分でもその光景を見るだけで興奮してしまう。



 2つ目は宝物殿。

 お約束だが金銀財宝の山がいくつもあり素人目にも高級品などわかるものが乱雑に置かれている。ここにあるものだけでもどれほどの量があるのかわからないほどの財宝があるのだが。

 その先には先ほどの物とは別格なのであろう財宝や調度品がかざられており、更に奥に進むとまるで美術館のように武器や防具等が飾られている。

 更に長い廊下の先には”至高の47”があった部屋がある。

 ちなみにここには罠が仕掛けられており一神斎以外は入ることができないし、入れたとしても周りの鎧が襲ってくるらしい、それに入れても出てこられなくなる。

 


 3つ目はコロシアムがある。

 まさに男のロマンである。

 グラディエータが今にも出てきそうなほどのコロシアムだ。

 地下なので空は真っ暗だがコロシアムは照明もないのにとても明るい。


 これ以外にもまだまだあるが今回はこのコロシアムでやりたいことがあるのでコロシアムに向かう。

 こういう時に”転移”の魔法はとても便利だ。

 コロシアムの中央に転移する。

 観客席もあるがこの宮殿には自分一人しかいないので誰もいない。



ここはコロシアムなので試合をする場所だが相手もいない。

 別に試合をしにきたわけでもないが。

 「さてではコーチを呼ぶとするか。」

 一神斎は”幻の禁書の一つ(グリモワーズ・サモンブック)”を出すと2体のモンスターを召喚する。

 「召喚! 下位「ゴブリン将軍」。上位「地獄の守護隊長アトラノム」」

 緑の光の中から鎧を着たゴブリン、紫の光の中から白い全身鎧の戦士が現れる。

 鎧をきたゴブリン将軍が先に膝つく。

 「御呼びいただきありがとうごぜぇます。あっしはグンと申しやす!」

 「オヨビデショウカ、ワガ主。」

 同じようにアトラノムが膝をつく。

 冑のせいだろうアトラノムは少し聞き取りづらい声だ。

 「今日呼んだのは他でもない。俺に稽古をつけてくれ。」

 「へっ?」

 ゴブリン将軍がポカンとした顔で声をあげる。

 (聞えなかったのか?)と思い一神斎はもう一度言う。

 「俺に剣の稽古をつけてくれ。」

 「けいこ・・・・・・? 稽古ですかい?」

 ゴブリン将軍は呆気にとられた顔で続ける。

 「稽古というのはあれですかい?あっしが旦那に鍛えられるのですか?」

 ゴブリンというだけあってあまり頭はよくないのか? 一神斎はそう思いもう一度言う。

 「いや、グンやアトラノムが俺に稽古をつけるんだ。」

 ようやく理解したのかゴブリン将軍が疑問をぶつけてくる。

 「えっとそれは別に構いやせんが、あっしでよろしいのですか? あっしより旦那や隣の全身鎧の兄さんの方が遥かにお強いと思いますが・・・・・・それにあっしらを使役できるのに旦那自らが闘う必要あるのですか? 命令さえしてくれればどんな相手でもあっしらは命を懸けて闘いますよ?」

 ゴブリン将軍の瞳には強い意志が感じられる。

 するとアトラノムが口を開く。

 「ナニカ、事情がアルノデスネ?」

 


 一神斎が2人に説明する。

 「たしかにグンの言う通り、正直俺にはグンやアトラノムをはるかに凌ぐ者を使役できるし俺が闘う必要はない、それに魔法もあるしな。だが万が一ということもある。敵に魔法や召喚を無効化されれば俺自身が闘うことになるし詳しくは説明できないが剣の扱いやその他の武器の扱いに慣れておく必要が俺にあるんだ。」

 「ナルホド、大変ヨイコトダト思イマス。」

 「はぁ、そういうものなのですか?」

 アトラノムは感心しているようだが、グンはあまり納得していないようだが了解の意を示してくれる。



 自分には魔法もあるし”金剛神豪”があるので身体能力だけで何とかなるだろうが、この先もしかしたら魔法が通じない身体能力だけでは勝つことができない相手が現れる可能性だってある。

 漫画やアニメでも力や身体能力まかせなキャラが格下の技巧派にやられることがよくある。

 自分の身は自分で守るためには武器の扱いには慣れておく必要がある。

 それに外界で冒険するのはダルトだ。

 ダルトでは”至高の47”は使えないし、身体能力は人間を凌駕しているとはいえ強いやつは山ほどいるだろう。

 そのためにも稽古をつけてもらう必要もある。



 「でもあっしの剣は我流ですぜ? それでもよろしいのですかい?」

 「あぁ、問題はないよ。」

 外界で戦うのはゴブリンやオークのような野生というか荒くれの者の剣術が多い、ならばそれを学べば今後の参考になる。

 それに漫画やアニメでも正当な流派の剣士が我流の剣士の変則的な動きに惑わされて敗れることも多い、実際に自分も苦労した経験がある。



 目の前にいるゴブリン将軍は下位の召喚獣だが、召喚できるゴブリンの中では最強クラスだ。

 下位の中でも上位の魔物、下の上といったところだ。

 装備だって他のゴブリンとは一線を画す、防具や武器には微弱ながら魔法効果が付与されているし体も通常のゴブリンより一回り大きく、頭も良い(他のゴブリンと比較して)ので今の自分には稽古をつけてもらうのには最適だ。

 

 とはいっても自分は”金剛神豪”、”霓裳愕衣”を装備して稽古を受ける。

 意味がないと思うかもしれないが当然だ。

 一神斎には剣を学んだこともなければ才能もない、稽古とはいえ普通の状態ならヘタをすれば死んでしまうだろう。

 それに一神斎が闘うことになれば絶対にこの2つは装備して闘うことになる(ていうか常に着けている)。

 しかし、このまま稽古すればゴブリン将軍は100%死んでしまう。

 もちろんアトラノムでも例外でもない。

 ただ力加減はできるのでゴブリン将軍と同じくらいの身体能力で稽古を行うつもりだが、力んでしまうこともあるだろう。

 だからゴブリンにはいくつかの防御魔法を掛けることでお互い攻撃が通じない状態で稽古をする。

 避けれる攻撃は避けること前提だが。


 そしてアトラノムには自分とゴブリン将軍の試合を見てもらい意見をもらうことにする。

 これらのことは一通り説明する。

 「わかりやした、それならばあっしも旦那も全力で闘うことができるわけですね。」

 「そうだ、稽古の範疇を超えた実戦ができる。さっそく頼めるか?」

 「オマカセクダサイ。」

 「へい! あっしは構いませんが・・・・・・ところで旦那の剣はどちらに?」

 「あっ。」

 しまった、持ってくるの忘れた。

 「剣を取ってくるので準備運動でもしておいてくれ。」

 「へい!」


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