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14 ホムンクルスでの冒険(4)

 川はとても綺麗だ。

 それほど深くないようで一番深いところでも膝下あたりほどだ。

 (こんな綺麗川を見たのは初めてだな。堤防もないし氾濫もしなさそうだ。)

 水の飲み休憩をしているステラとクロードを見ながらそんなことを考えているとクロードが先ほど歩いていた草原の方へ目をやる。

 「・・・・んっ? オークがいる!」

 ステラとダルトも草原の方を見ると一体のオークがこちらに歩いてくる。

 やや薄い緑色の身体に人間離れした肉体と顔。

 手には古びた斧を持っている。

 「ステラ! ダルトさん!」

 クロードは叫ぶと腰の剣を構える。

 「わかってる!」

 ステラも杖を構え、魔法の準備をしている。

 それに合わせダルトも剣を手にする。

 「相手は一体ですが油断は禁物です。まず俺が先人を切りますのでダルトさんはステラを守ってください。何もないようなら応援をお願いします。ステラ補助魔法を!」

 「うん!」

 そういうとステラはクロードとダルトに魔法をかける。

 <防御力強化(リーインフォース・ディフェンス)

 (あまり高位の魔法ではないな。遺跡で自分に掛けた魔法とは全然違うな・・・・魔法のランクとかあるのならそこらへんも聞かないといけないな。)

 ダルトはそんなことを考えているとクロードの体から赤いオーラのようなものが出てくる。



 「はぁ! <風来>! <腕力強化>!」

 (あれは・・・・魔法じゃないな・・・・。)

 ダルトがクロードを観察していると。

 「いくぞオーク!!」

 クロードはオークに向かって走り出す、先ほどのクロードの体から出た赤いオーラのおかげかかなり速い速度でオークに迫る。

 オークはその速さに驚いた様子で少し反応が遅れる。

 「ぜぁ!!!」

 クロードは剣を振り下ろすとオークの片腕と斧が宙に舞う。

 「ぐがぁぁぁぁぁ!!」

 切断され血が噴き出る傷口を手で押さえながらオークが叫ぶ。

 「止めだ!」

 クロードは止めを刺すために剣を左斜め下から上へ振りぬくとオーク体は血しぶきをあげ後ろに倒れていく。

 「・・・・ん!?」

 クロードを見ていたダルトはオークの後ろに光る物があることに気が付いた。

 (あれは・・・・ゴブリンか!)

 やや背が高い草に身を隠した3体のゴブリンが弓を引いているのが見える。

 ゴブリンと認識した瞬間、ダルトは一瞬で持っていた大剣を逆手に持ちやり投げのように一体のゴブリン目掛けて投げ、それと同時に走り出す。

 投げた大剣は目にもとまらぬ速さでクロードとオークの真横を通り過ぎゴブリンの顔を貫通し地面に着地する。

 声を出す暇もなくゴブリンは絶命し、何が起こったのかわからない二体のゴブリンが絶命したゴブリンを見ている。

 それを見たダルトはオークが落とした斧を拾いあげると跳躍し体を捻る。

 2体のゴブリンの前に着地しながら回転切りのようにゴブリンへ斧を振るとゴブリンの頭が血を吹き出しながら宙に舞う。



 「す、すごい・・・・。」

 ステラが茫然としている。

 「一瞬でゴブリンを・・・・。」

 ダルトは大剣を拾いながら周囲を見渡す。

 (どうやら他のモンスターはいないようだな・・・・だが・・・・・・)

 するとステラとクロードが駆け寄ってくる。

 「すごいですよダルトさん!」

 「私もあんなあんなに速い攻撃初めて見ました!」

 「一体どんなスキルを使用したのですか!」

 「わ、私にも教えてください!」

 興奮した二人がすごい勢いで迫ってくる。

 「お、落ち着いて、と、とりあえず川のほうへ行きましょう! まだモンスターが潜んでいるかもしれないので。」

 ダルトの言葉に二人は我に返る。

 「そ、そうですね。ひとまず川に戻りましょうか。」

 「そ、そうね行きましょう。」

 二人の後ろ姿にダルトはついていく。

 (う、うまくいった~! まだ心臓がバクバクしてる! すげぇ!アニメみたい! アニメじゃないけど!)

 そしてクロードの背中を見る。

 (ていうかクロードに刺さったら・・・・。ど、どうしようかと思った! 咄嗟とはいえ我ながら恐ろしいことをしたもんだ。)



 モンスターの返り血を浴びたクロードとダルトは川で洗い流す。

 (くさ! 漫画でよく言うセリフだけどまじであいつら何食ってんだよ・・・・まじで臭い・・・・。)

 ダルトがゴブリンの血の臭いに嫌気をさしているとクロードが話しかけてくる。

 「それにしてもすごいですねダルトさん! あんな速い攻撃初めて見ましたよ。」

 「いやぁ・・・・ははは、たまたまですよ。」

 「どんなスキルを使ったのですか?」

 「スキル?」

 ここで聞きなれない言葉を耳にしたが先ほどクロードから出ていたオーラのことだろう。

 「いえ、これはスキルではなく防具のおかげだと思います。この防具も武器と同じく冒険者の方にいただいたものなので・・・・恐らく先ほどクロードさんが仰っていたように何か魔法が付加されていると思います。」

 もちろんそんな効果は防具にはない。

 このホムンクルスの身体能力は常人の域を遥かに超えている。

 それは一神斎が楽に外界を冒険したいという考えがあったからだ。

 それに実際は現在よりも強いものにしようとしていたのだがこのレベル以上のホムンクルスの作る品物がなくできなかったためだ。

  


 しかし今はこのレベルで良かったと思っている。

 あまり超人すぎると浮いてしまうということが今わかったからだ。

 正直今の状況も微妙だが・・・・。

 「私は魔法の素質がないのでこの防具の効果はわかりかねますがね。」

 「それは私達も同じですよ。魔具師の方ならわかると思いますが・・・・。」

 


 魔具師・・・新しい言葉がでたことに一神斎は心のメモを取る。

 一神斎が魔具師についてステラに尋ねようとした時、クロードが口を開く。

 「そろそろ行きましょうか、夕方になる前に帰りたいですし夜になると危険にですから。」

 時間まだ午前中だがたしかに夜は危険だ。

 夜に活動するモンスターもいるうえにアンデッドも出現するからだ。

 「そうですね。行きましょう。」

 「では森の中に入りましょう。森にもモンスターはいるので油断しないようにお願いします。」

 ステラがダルトとクロードの方を見ながら言う。



 (二人には悪いがもう少し戦闘経験を得たいのでモンスター大歓迎だ。)

 一神斎はそんなことを考えながら森の中に入る。

 そこは一神斎が知る森ではなかった。

 もちろん一神斎は森の中に入ったことはなくネットやテレビで見たことがあるだけだ。

 それでもわかる。この森が自分が見たことのある森とは似て非なるものであることが。

 (木がでかい・・・・樹齢何年なんだろうか・・・・?)

 一本一本がとても太く大きい。普通の木もあるが大半は大木ばかりだ。

 空を葉が覆っているのでとても暗い。日中とは思えない暗さだ。

 (これはモンスターが出そうな雰囲気だ。期待できるな。)


  後日まとめた内容

 ”スタッフ/杖”

 ~多くの魔法使いが装備しているもの。これ単体で魔力を持たない、魔法の素質のない者が魔法を使用することは不可能で大半は術者に対して補助効果が主で魔力の消費を抑える、魔法の強化等がある。また素手による魔法よりもより精密で成功確率をあげる効果もある。また杖によっては一つの属性に特化したものもある。火に特化したものなど~

 

 ”ワンド/短杖”

 ~スタッフよりも短く、片手で持てる杖。スタッフと異なり杖そのものに魔法が込められておりは素質や魔力をもたない者でも魔法を使用することができる物。ただし使用回数には限度があり多い者でも5回程。同じ魔法でも魔術師がスタッフを使用して行使した魔法よりは弱くなる。また魔法を込めることは特殊な技術が必要なので魔術師なら誰でもできるというものではない。また大変高価なもので遺跡やダンジョンにも落ちていることがあり高値で売れる。~

 

 ”スクロール/巻物”

 ~獣の皮や特殊な木を加工して作られる巻物。ワンドと同じく巻物自体に魔法が込められており誰でも使用することが可能。ただし使用回数は一回。魔法の効果や威力はワンドと変わりないが込められる魔法はワンドのものよりも弱いものにしかできない。ワンド程高価ではないが価値は高いものである~


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