5日目休み時間
「休み時間~。
さて探すぞー。」
「あら、白ちゃん、こっちに来てたのね。」
「らー。」(くいくい)
「ん?
白ちゃん、あたしのシャツがどうかした?
引っ張ったら伸びるよー。」
「にゅー。」(くいくい+指さし)
「えっと、こっちに来てほしい、ってことかな。」
「行ってみましょう。」
「にゃー。」(ぽんぽん。本棚をそっと叩く。)
「ん?この本棚がどうかしたかしら?」
「もしかして・・・。
やっぱりあった。
さっきのリストの中の1冊。」
「らー。」(こくり)
「えーっと。
どーなんだろ?これって。
探してもらっちゃった、ってのは反則なのかな?」
「いや、別にそんな決まりはないから構わんぞ。
就業規則にだって手伝ってもらっちゃいかんとはどこにも書いてない。」
「ゆー。」(おじぎ)
「所長!?」
「しょちょー!?
こっちに来るなんて珍しいですね。
・・・というかこんな近くで聞いてたんですか、気配すら感じなかったですよ。」
「気配くらい消せないで所長は務まらんよ。
さて、さっきの話だが。
だれかに手伝ってもらえる、というのも実力のうちだから、それはそれでよし。
人脈、道具、場合によっては現金など、使えるものは何でも使ってよしだ。
まあ使ったものの経費は出ないし、手段を選ばなくていいと言っても、大規模な破壊を伴う手段だったりしたら修復費用を請求されるがな。」
「いや、さすがに大規模な破壊は考えませんよ・・・。
って、まずどんな手段なんですか?
破壊して探すって、いまいち想像つかないんですけど。」
「広範囲の攻撃魔法を放って、ダメージログを検索して探す、とか以前あったな。
そいつは最高の賞品当てたが修理費請求のほうが高かった、という笑い話になったと聞いた。」
「わ、笑えばいいのかあきれればいいのか恐れればいいのか、わかりませんね・・・。」
「全部の本に当たるように、ってやったら、修理代いったいいくらになるんだろう・・・。」
「第一書庫の本は修復しやすくて安い本ばかりだからたいしてかからんかったと思うが。
派手にやったとしてもせいぜい銀貨数百から数千くらいで収まるだろ。修復専門部隊いるしな。」
「せ、せいぜい、って額ではないような気がしますね…。」
「百枚であたしの給料の一年分弱だから・・・数年から数十年分!?」
「手段を選ばんでいい、とは言ったが、司書が本を傷つけるなど言語道断だと気付かないやつがいたんだよな・・・。」
「さすがに普段仕事してれば想像もしませんよね・・・。
真逆ですし。仕事でやってることと。」
「らー。」(くいくい)
「お、フォルスちゃんがまたなんか見つけたみたいだからいってみたらどうだ?
長話しちまったな。じゃあな。他見てくるぜ。
なんかいいもん当たるといいな。」
「消えた。しょちょー素早いなぁ。」
「とりあえず行ってみましょう。
くじ引きが外れでも今日の昼食を豪華にするくらいはできそうね~。
白ちゃんの記憶力、やっぱりすごいわ。」