スキルの相談
「で、私についてきて何がしたいのかしら?
「えっと」じゃない方の人。」
「あの、私にスキルの選び方を教えてくれませんか?」
「欲しいスキルを選びなさい。以上。」
「どのスキルが役に立ちそうか全然わからないんです。
お願いします、助けてください!」
「知らないなら知りなさい。
掲示板でも見ればいいでしょ。
まあデタラメな情報も無いとは言えないけど、何も情報が無いよりはマシよ。
助けてほしい?
頼みごとをするなら、その代わりに何を出せるのか提示しなさい。
まさか自分と同じ状況の被害者に対して、『無償で全てをなんとかしてほしい』なんて言わないわよね?」
「出せるもの・・・。
シルバー硬貨10枚、でどうでしょう?」
「まあいいわ。
それなら値段分だけ考えてあげる。」
「それじゃ、いろいろ聞いていくから、あんまり深く考えないで答えなさい。
質問にどういう意味があるか、とかは考えるだけ無駄よ。」
「まず、リアル世界での趣味は?」
「カラオケです。」
「それじゃ、好きな曲は明るい曲?暗い曲?」
「明るい曲です。」
「誰もいないところで、大声で歌い続けることはできる?」
「できます。」
「大勢の人の前では歌える?」
「歌えます。」
「毎日声がかれるまで歌える?」
「歌えます。」
「今ほんの少し有利になる、あとあとすごく有利になる、どっちがいい?」
「あとですごく、がいいです。」
「・・・まあまあの回答ね。」
「それなら才能の種(歌唱力)をお勧めするわ。
ベータ時代はゴミスキルって呼ばれてたスキルだけどね。」
「この世界では違う、ということですね?」
「普通にやってるぶんにはただのゴミスキルよ。
スキルポイント1000点すべて消費。
対象のスキル成長率極微量上昇。ただし上昇効果は対象のスキルレベルが上がるたびに増えていく。
レベル200くらいからは上昇率が大幅に増えるから、そこからが真骨頂ね。」
「レベル200、って、どのくらいの実力なんですか?」
「歌だけでそれなりに商売になるのが100程度らしいわね。
200だと、セイレーンに歌合戦挑むには少し足りないくらいよ。」
「え、それって、歌手以上になるまで自力で歌練習しないと意味がない、ってことですよね?」
「そうなるわね。
でも、元がゲームなんだから、レベルの上りは早いわ。
毎日声がかれるまで歌える、というほど歌が好きなら、そう長くはかからないわよ。
このゲームのレベル上げは『道具の良さ』と『どれだけ時間をかけるか』が成果に直結するからね。
歌なら道具は自分の体だからタダで良いし、時間だって他のことしながら歌えばいくらでもかけられるでしょ。」
「なるほど。
参考になりました。ありがとうございます。」
「それじゃ、次の交渉に入るわ。
銀十枚分歌の練習手伝ってくれない?
1人でやるよりは効率いいわよ。」
「え、は、はい。
よろしくおねがいしますっ。」
「よろしく。
それじゃさっそくいくわよ。」
・・・
「歌唱力」のスキルを習得しました。
「デュエット」のスキルを習得しました。