3日目 10時すぎ
「白ちゃん、おまたせ~。」
「ただいま、白ちゃん。
あら、本読んでる途中ね。」
「そだね。
んじゃ終わるまで待ってよか。」
(ぱらぱらぱら、ぱたん)
「おかぁいー。」
「めくるの速っ。」
「え、今ので読めてるの?」
「み?」
「えっと、『何かおかしなことでも起こりました?』って感じかな?」
「かなりおかしいこと起きてたわよね。さっき。」
「えっと、みやっち、ノートとペン貸して?」
「はい。どうぞ。」
「ありがとー。」
(ぱらぱら)
「このへんでいいかな。」
(かきかき)
「えっと、白ちゃん、この文章の空白部分にはなんて書いてあった?」
「いや、言葉わかってないんだから、かけるわけが
(ぐりぐり)
「って、書けてる?」
「なんかぜんぜん悩まないで書いてるね。」
(しばらく経過)
「み?」
「『こんな感じ?』って感じ。かな。」
「・・・ちなみに、結果は?」
「答えはこれ。白ちゃん書いたのこれ。」
「えっと。
正直白ちゃんの文字を読めるかどうかというとかなり難しい、けど。
本覚えてないと、これはかけないわよね間違いなく。」
「だよね。
文字はかなりアレな感じ。
だけど、覚えてないとこれはかけない。
そして、文字を理解してるとすれば、逆にここまで崩すのは難しい気がする。」
「普通、文章覚える時、どの行にどこまでの文字が書いてあった、とかまでは覚えないわよね。
でも白ちゃんが書いた字は形は崩れてても、単語の配置は原本と同じ。
まあ隣とつながってたり、ものすごくゆがんでたり、ときどき違う文字になってたりはするけど。」
「つまり、意味はさっぱり分かってないけど、絵として覚えてる、って感じ?」
「覚えられるものなのね・・・。
ほぼ2ページ丸々よ・・・?」
「いや、読み終わった後に、あたしが2ページ指定した、ってことは、
たぶんこの本まるまる覚えてるよ。」
「あの速さで?」
「だろーねー。」
「どんな記憶力なの・・・。」
「ものすごい?
・・・ひょっとして、『あの種族』がまほー強いのって、この記憶力が原因?
この速さで覚えるなら、そりゃもう難しいのでもどんどんいけるよね。」
「もしかして、今まで読んだの全部こんな感じで覚えてるのかしら…?」
「そうかも・・・。」
(ぐぅ)
「にゃー。」
「あ、今回のは間違いない。『おなかすいた』ですね!」
「午後から休みだし、お昼は外食してみよー。
行くよ、白ちゃん!
本戻してから!」
「らー!」