ぼーそー戦士と符術使い
「<凍結符>
これでもくらいなさい!
・・・素早いわね。この技じゃほとんど当たらないか。」
「<雷撃斬>!
ちぃ、また避けやがるか。」
戦士と術者が『ローンウルフ』と戦っている。
戦士は狼の前に立ち、大剣を振り回し、狼を追い詰めようとしている。
術者は少し離れた位置から符術で攻撃をしようとしているが、ほとんど避けられてしまっている・・・。
戦士は逆に狼の牙と爪で少しずつ傷ついていく・・・。
「ちょこまかと動きやがって。
これでも食らえ!
『大剣術』<薙鬼払い>!」
大振りの攻撃はあっさりかわされ、狼に脇腹に噛みつかれる・・・。
「ぐぁぁぁぁ!」
「『声約』<冷結の薔薇>展開!
『情熱は彼に捧げたの。
だからあなたにはこれしかあげられない。
熱を失い凍り付く、とても冷たい薔薇の棘。』
6秒だけ足止めするわ。立て直しなさい。」
「『声域』<不屈の雄叫び>展開!
『気合を入れれば怪我くらい治る!
気合を入れろ!雄叫びを上げろ!立ちあがれぇぇぇ!!!』」
「うっしゃぁ、これでまだ戦えるぜ!
さあ来い犬野郎!」
「便利な効果なのはわかるけど、相変わらず暑苦しいわね。
巻き込んでもいいかしら?」
「勘弁してくれよ~。
冗談きついぜ毎度のことだが。」
「冗談?
なんのことかしら。」
「勘弁してください。お願いします。」
「よろしい。
それじゃ準備できたからとどめ、あの技行くわよ。」
「よし、さっきの技だな!」
「『形約』<極寒の乙女>展開。
『吹雪よ、極寒の乙女よ。
凍える者にやさしい抱擁を。』」
「おらぁ!
これでも食らいやがれ!
『大剣術』<頭蓋砕き>!」
タイミングを合わせて放たれた2つの技。
自らの傷から発生する冷気で一瞬凍り付く狼に、凍った瞬間に襲う衝撃。
その衝撃で狼のHPゲージは真っ黒に染まり、狼が力尽きたことを示す。
「・・・まあこんなもんだな。
いてて、けっこう喰らったな今回は。」
「こんなもの、じゃないわよ。
どうしてあなたは毎回毎回大怪我しないといけないのかしら?」
「そりゃ、俺が突撃して敵をひきつけないと勝てないからだろーよ。」
「私達が行かなくても、村人だけで余裕で倒せる敵なのよ!?
私たち2人よりも、狩人一人のほうがはるかに強いんだから。
あなたが、「俺らに任せとけ」とか言わなければあなたも村人たちも無傷で済んだのよ。わかってる?」
「戦士なら村人を守るもんだろ、当然。」
「それなら!
なんで村人より弱いのよ!
どうして最初くらいもう少し防御ができる装備にしなかったのよ!
2人パーティーで私が符術使いなんだから、騎士鎧とまではいかなくても片手剣と盾とか装備すればかなりちがうでしょう?」
「でかい武器は男のロマンだからな。それは仕方ないだろ。」
「仕方ないわね・・・。
スキルポイント使用。
・・・これでよし、と。」
(ぎゅっ)
「な、
ど、どうした、いきなり?」
「『声約』<傷無>展開。
『貴方が傷ついたら、私が治してあげましょう。
だって貴方は私のもの。
傷をつけていいのは私だけなのだから。』」
「おお、回復魔法か。すごいな。サンキュー!」
「た、たいしたことじゃないわよ。
このゲーム回復薬高いんだからこのくらいの技がないとすぐ破産だからねっ!」
「さあ、次行くんだったら今度は無傷で狩ってみせなさい。」
「よっしゃ行くぜぇ!」
『声約』<冷結の薔薇>
『情熱は彼に捧げたの。
だからあなたにはこれしかあげられない。
熱を失い凍り付く、とても冷たい薔薇の棘。』
使用時、守る相手を指定する。
指定した対象に近づくものに氷属性ダメージ+行動阻害(氷結)。
『声域』<不屈の雄叫び>
『気合を入れれば怪我くらい治る!
気合を入れろ!雄叫びを上げろ!立ちあがれぇぇぇ!!!』
戦闘中使用可能。
その戦闘中しばらくの間、大声を出すことでHPが少量回復するようになる。
気合でごまかしてるだけなので、傷が小さくなったりする効果は全くない。
最初の雄叫びの声が届いた範囲『声域』の中では、敵味方問わず大声を出せばHPが回復できてしまう。
回復量は『声域』の広さと、声の大きさ、長さに比例する。
『形約』<極寒の乙女>
『吹雪よ、極寒の乙女よ。
凍える者にやさしい抱擁を。』
周囲で氷、冷水などのような、寒さ、冷たさによるダメージを受けている者に追い打ちをかける。
ただし、条件を満たしていれば、仲間や自分も襲われてしまう。
『声約』<傷無>
『貴方が傷ついたら、私が治してあげましょう。
だって貴方は私のもの。
傷をつけていいのは私だけなのだから。』
スキル習得時に使用相手を指定する。
指定された相手に接触した状態でスキルを使用することにより、対象の体力、負傷を中量回復させる。
スキル習得が簡単ではなく、指定の変更は不可能。
指定した相手と共にいなければ何の役にも立たないスキルであるため、一部では『ずっとそばにいる』という宣言であると認識されている。
「ローンウルフ」モンスターレベル30
一匹狼。
動体視力と反射神経に優れ、半端な速度の攻撃は見てから避けてくる。
避けられない状況を作れるかどうかが勝敗を分ける。




