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なっつくらっしゃー。

 中央都市の白蛇の門の近く、草原。

 普段は目立つものは何も無いような場所だが、その日は少し違っていた。

 いくつもの大きな球体がうごめいていた。

 植物の蔓のような物が絡まりあってできた球体、直径は5メートルから10メートルくらいだろうか。

 その球体から周囲にも蔓は伸び、周囲の人間に絡みつこうとしている。


 「豆があんなに強いとか、どうなってるんだよ!?

 っていうかあれホントに豆なのか?豆が人間を縄で捕まえるとかおかしいだろ?」


 「縄というより触手だよな、あの動きは。

 あれに近寄らなきゃいけないってことか?」


 「刃物系の飛び道具持ちとか、いないのか?

 あのツル、切れば減らせるよな。

 射程距離がわかれば端ギリギリから削れるんだが。」


 「剣術で遠距離できるから撃ってみる、前開けてくれ!

 切り裂け!『舞刃』!」


 「とりあえずぶっ潰せば文句はねぇよな?

 蹴散らすぜ!『武殺矢』!」

 

 「風よ、炎よ、わが前のすべてを焼き尽くせ!

 『火炎乱舞』!」


 「ゴゴナッツは捕まえるだけでそれ以上危害加えてくることはないから安心していいぞ。

 蔓を全部切っちまえば問題なく刈れるしな。

 行くぜ、俺の斧に倒せぬものなし!『斧乱決闘』!」


 「ねえ、白ちゃん。

 あたしらが参加したイベントって、豆食べ放題のナッツ狩りツアーだったよね。

 あのでっかい毛玉みたいなのが豆ってこと?いっぱいあるけど。

 なんか近くの人に襲いかかってるし、こっちが食べられる側なんじゃないかな、あれ。」


 「らー。ナッツ狩りツアーだし、あれがナッツで間違ってないよ。

 狩れれば食べていい、間違ってはいない。

 返り討ちにあう可能性がないとは言われてないし。

 ぼーけんしゃ協会のツアーはだいたいこんな感じらしい。

 みんな、強いことには文句言ってるけど、まめと戦うことに対して疑問に思ってる人はあんまりいないみたいだし。」


 「あの蔓の中にナッツが隠れている、ということかしら。」


 「らー。たぶん、そうだね。

 中央に白い球体がある、それを割ればナッツが出てくるはず。

 でも、蔓につかまるとにょろにょろされる。

 だから、遠距離からの攻撃で蔓を減らすか、誰かがわざとつかまって蔓の動きを制限するか、蔓を無視して本体を破壊するかが必要、かも。」


 「にょろにょろされるっていうのは、具体的に言うとどんな感じ?

 いま捕まっている人は大丈夫なのかな?」


 「ものすごくくすぐられる。

 でも、捕まっている人がいる間は仲間が攻撃しやすくなるから、あえて一人が捕まる、っていう方法もある。」

 

 「くすぐられるだけだったら、まあ大丈夫ってことかな。

 全員捕まっちゃったら大変だけど。

 ところで、これからどーする?

 ここは豆から遠いから今のところ大丈夫そうだけど、どれかに近づいて戦ったほうがいいってことかな。

 自由に戦っていいってことは戦わなくてもいいと言えばいいんだろうけどさ。」


 「むー。

 近くにいったら攻撃よけられないだろうから、ここからこうげきしてみる。

 相手がナッツだから、衝撃系がいいかな。

 『ブラストショット』

 にゃー。近くの1体の動きは止めた。

 あとは遠くの、誰も攻撃してないところのナッツに、『極光のドラゴンブレス(えるふびーむ)』。

 きょうのもくひょうはおわったー。

 あとは帰るだけ。」


 「目標達成、ってことは、もうナッツを狩れたってこと?

 あたしらぜんぜん戦ってないんだけど、いいのかな。」


 「話をしていただけだったわね。

 少し戦ってきたほうがいいかしら。」


 「むー。ひとつ倒したから、もう充分。たたかう必要はないと思う。

 ひとつ壊せば大きいの取れるから、さんにんでたべるぶんはじゅうぶんある。

 時間をかけすぎるともっと大型のナッツ、「ゴゴゴナッツ」が出ることがある。ごくまれに。

 攻撃の範囲がすごく広いから、逃げるのは難しい。

 だから、出る前に帰るのが安全。

 出た場合でも普通のにんげんのひとならだいじょーぶなくらいしか攻撃力はないし、自分の攻撃で体力へってくタイプのナッツだから割れるまでがまんできるひとならそのまま勝てるんだけどね。」


 「自分の攻撃で体力減っていく、という場合もあるのね。

 身を守るための攻撃で自分が弱る、というのは本末転倒に思えるけど。」


 「むー。身を守るため、じゃないのかも。

 まわりに敵がいなくても攻撃はするみたいだし、自分の体力が長くもたないのも仕様。

 だから、てきどに目立ったあとで自壊して次の世代に種を残すしくみなのかもしれない。

 種は殻の中にあるみたいだし、殻が割れないと種が地面につくこともないからね。」


 「なるほど、ナッツの殻が壊れたら負けというわけじゃなくて、邪魔なものを外しているだけで、そこに偶然人間がいるから被害を受けるだけ、ということかしら。」


 「らー。たぶんそんな感じ。

 だから、欲しいぶんだけナッツを取れたら、あとは休憩しててもいい。討伐依頼じゃないし。

 送迎の馬車はぼーぎょ高いみたいだから、馬車で休憩しよう。おなかすいたからナッツ食べる。」

 

 「うん、そうしようか。蔓に絡まれたいわけじゃないし。」


 「そうしましょう。どんな味なのかしら。」


 「み?

 あじはせつめーしにくいかも。でも、すごく大きい。

 からの大きさとくらべると、すごく小さいともいえるけど。」


 「ああ、まああの大きさの中が全部ナッツってわけではないだろうね。

 木の実みたいなもんだとすれば、さっきの毛玉が木の部分なんだろうから。」


 「らー。そんなかんじ。

 でも、ゼライムより大きいくらいの大きさはあるから、ひとつ取れば3人で食べるには充分だとおもう。」


 「それなら充分すぎるくらいね。」


 「らー。おおきい。」

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