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じょそうのじっけん。

 一流の戦士二人が出会うとき、一目で互いの力量を見抜くという。

 しかし、一流を超えた者は、常人から見ても一目でわかるオーラのようなものを発しているとも言われる。

 彼はまさしく、その『超一流』であった。


 その肉体は、完璧に鍛え上げられていた。

 いや、完璧を超えて『過剰』と呼ばれるべきだろうか。

 それほどまでに、その筋肉は大きく、そして美しく鍛え上げられていた。


 人間の限界をも超越したかのようなその姿を見て、彼を侮るものなどいないであろう。

 そして、今、彼を招いた者の前に立ち、その肉体を誇示するかのように、彼は動いた。


「あ、どうも初めまして。このたびは召喚いただきありがとうございます。

 これはつまらないものですが、よかったらどうぞ。」


「むー。つまらないものよりおもしろいものとかおいしいもののほうがいいかな。

 つまらないものをわざわざもってくる理由があんまり理解できない。

 くれるならとりあえずもらうけど。」


「いや、そういう意味ではなくて、あー、謙遜とかの言葉は通じないのか。

 今回召喚してもらったこと、性別変更実験に参加させてくれることへのお礼の一部として、クッキーを焼いてきました。

 ぜひお受け取りください。」


「ありがとー。クッキーはつまらないものじゃないと思うよ。

 そーいう言いかたがあるのは知ってはいるけど理解はしてない。そんなかんじ。

 わたしがお菓子をもらったってことは、実験台じゃなくて依頼人としてあつかう必要があるみたいだね。

 テーブルとイス、準備しておいたのがそっちにあるから、すわってクッキー食べながら説明するね。」


「はい、よろしくお願いします。」


・・・・・・


「にゃー。このクッキー、おいしい。

 硬さと儚さとサクサク感と甘さがいい感じに調和したりしなかったりしてて、すごくいい。

 説明。まず普通の場合、魔法で性別を変える、っていうのは、性別変換ののろいをかけるということになる。

 ほんらいのからだがまずあって、逆の性別の姿をした着ぐるみを着るいめーじになるかな。簡単には脱げないしかけつきなかんじで。

 だから、どんな着ぐるみを着るかによって、変換したあとの姿は全然ちがってくる。でも、着ぐるみを脱げば、脱ぐことができればもとのすがたになる。

 呪いだから簡単に解けるものではないんだけど、いめーじはそんなかんじ。」


「なるほど、性別変換の呪いをつけて女の姿に変わることができたとしても、本来の姿はこの筋肉ダルマのままで、呪いが解けてしまったらこれに戻ってしまう、というということになるんですね。

 あと、看破とか『真の姿を見破る』みたいなスキルがあったとしたらコレが見えてしまうということですね。」


「み?そっちじゃなくて、ぎゃく、かな。

 いまのすがたが変換あと、だから、いまの状態から呪いを解いたらもとの姿には戻れるはずだけど、もとの姿に戻った後に同じ呪いをかけても今の姿にはたぶんもどれない。

 だから、いまの姿じゃないとなりたたないにんげんかんけーとか、そーいうものは完全になくなっちゃうかもしれないし、なくならないかもしれない。

 『外見で覚えられてるひと』からみれば別人に見えるかもしれないね、っていう感じ。そのへんは実験したわけじゃないからよくわからない。

 だから、なかよくしておきたいひととかがいるんだったら、こっちのすがたとも仲良くしてねーって紹介状とかを作っておいたほうがいいかも。」


「えっ!?こっちが変身あとなんですか?」


「らー。そうだよ。

 だから、このままおんなのひとのすがたに変わる?戻る?すると、つぎにおとこのひとの姿にかわろうとしても、今の姿じゃなくてまた別な姿になるんじゃないかなと思う。たぶん。

 今の姿を残したければ、おんなのひとの姿を捨てていまのすがたをほんらいのすがたとして再登録?固定化?そんなかんじのことをすることになるかな?」


「今の姿をぜひとも消したいです。」


「それなら、ふつーに性別変換の呪いを解けばいいだけになるね。

 さっきクッキーひとはこもらったから、依頼料としては充分。いっぱいはいってたし。

 魔法のかかった物とかもたぶんまとめて解除しちゃうか魔力弱めるかしちゃうはずだから、そういうものを身に着けているんだったらはずしておくか先におしえておいてね。

 はずせないものなら対策考えなくちゃいけない。」


「魔法がかかった物は身に着けていないはずなので大丈夫です。よろしくお願いします。」


「らー。それじゃ、へやのまんなかに立ってね。これでじゅんびかんりょー。

 はじめていい?」


「はい、いつでも大丈夫です!」


「それじゃいくよー。

 <簡易展開・暴食の聖域>

 これで穢れ、いいかえると空間残留魔力、を吸引して、一時的に聖域っぽいものを作る。

 あとは呪いを壊すだけだね。

 『呪いも契りも区別はいらぬ 千切り砕けば消えるのみ』<呪術粉砕>

 かんりょー。あとはだんだんもとのすがたに戻っていくはず。

 そーいえば服とかはどうなるのかな。物理よりも優先して変化するはずだから首が絞まったりする心配はないだろうけど。」


「おおおお、なんだか体がゴキゴキ言ってる、なにこれ、どうなってんのこれ。

 うわ、なんか腰が変な方向曲がってる、今度は肩!?」


「にゃー。予定通り解けてるみたいだね。

 痛みの軽減もできてるみたいだし、いいかんじ。」

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