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なつまつりのひ、たべもののはなし。

町はずれにある丘までやってきた。

見晴らしがいい丘の上は食事をしている人、季節の変わり目を待っている人たちで満員になっていたため、ふもとのほうにレジャーシートを敷いて休憩することにした。


「むー。やっぱり混んでるね。」


「まあ夏祭りの日だし、しかたないかもねー。

 早く来ればいい場所取れるかもしれないけど、あんまり早く来ても退屈だしさ。

 まあ今回は仕事終わって準備してきただけでこの時間なんだけど。

 あれ、そーいえば、祭りの日って普通休みだよね?

 なんであんなに苦労して働いてたんだろう。」


「最近はみんな働いている曜日でもずっと休んでいたんだから、たまには休日に働くのもいいんじゃないかしら。」


「うん、それを言われると言い返せないなー。

 無駄遣いのために仕事を休む、とかぜーたくなことやってたんだからたまにはみんなが休む日に働くのもいいか。

 あれ、でも普段の仕事の時より職員いたよね。」


「らー。そうだね。こまったときには職員がなぜか増える。ふしぎ。」


「今回は魔法陣を通ってきたお客さんがたくさんいたから、事務処理が大変だったらしいわね。

 普段の職員の人数ではいつになっても終わらなかったと思うわ。

 ほかの場所を担当している職員が手伝いに来てくれたおかげでなんとかなったみたいね。

 それと休日出勤してきた職員たちも多かったんじゃないかしら。」


「なるほどー。

 みんな臨時収入稼ぎに来たのもあると思うけど、来てくれたおかげで助かったんだねー。」


「そうね。普段は職員の人数が少ないからああいう時に協力できるのはいいわね。

 ところで、私はなにか飲み物を買ってくるわね。なにがいい?」


「んー、なにがいいかな。

 まず白ちゃんに決めてもらおうか。あたしのぶんは同じ店で売ってるものてきとーに買ってきてー。」


「むー。それなら、あっちの道のひだりがわの出店にあったのみものやさんのたんじぇスムージーがいい。

 むりそーだったら甘そうななにかー。」


「タンジェのスムージーね。それじゃ買ってくるわね。すこし混んでたから時間がかかるかもしれないわね。のんびり待っててね。」


「いってらっしゃーい。」


「いてらしゃー。」


・・・・・・・・・


「そういえばさ、白ちゃんと会ってからもう5か月以上たつんだよね。」


「らー。そーだね。」


「ちょっと最近気になってたことあるんだけど、聞いていい?」


「らー。なんでもどーぞー。」


「いくらなんでも、むかえ遅くない?

 おふざけっていうかいやがらせでこっちに送り込まれたわけでしょ。

 あたしの感覚だったら連絡なしで5か月も行方が分からなかったら、死んじゃったんじゃないかなとか思われると思うんだけど。」

 

「むー。わたしも、すこしおそいなーとは思ってた。

 いつもだったら、こんな長く続くんだったらいやがらせがもっといろいろ追加でされてると思うし。

 いつもとはちがうなにか、なのかもね。」


「5か月で少し遅い、っていう程度なんだ…。気が長いっていうんだかなんなんだか、すごいねぇ。

 いや、でも、今回の黒幕は別として、ほかに友達、クロさんだっけ?いるわけでしょ。

 そのクロさんとか心配してるんじゃないかなーって思ったんだけど。」


「むー。

 くろ、ふだん7日に4回は会ってたから、さいきんみかけないなーとはたぶん思われてる、かな。」


「なんかみんな軽い反応なんだね~。数か月いなくなるとか普通なのかな?そっちの国では。

 それにしても、7日に4回、って、なんかずいぶん半端な感じなんだね。

 3日に2回とか2日に1回とかじゃないんだ。」


「むー。そーいわれてみればそうかもしれないけど。

 7日で一周のすけじゅーる。そのうち2日がいえでねてる日で、だいたい1日か2日がアレのやることへの対応でつぶれるから、のこるのは4日か3日くらいになるね。

 こっちのひとが6日を1周期でうごいてる、わたしがすんでたところでは7日。

 そうしておいたほうが、あっちのひとがこっちにあそびにきたときに平日だったり休日だったり、ときによってちがうからべんり、なのかも。」


「休日はみんな休日のほうが市場とか行きやすくて便利だと思うけどなぁ。

 あ、市場の店員さんとかは仕事しててくれないと、何も買えないけどさ。

 それにしても、ふだんから7日のうち1日か2日つぶれる、って、ずいぶん大変な相手なんだねー。

 まあ今回だって5か月かかってるわけだし、大変なのはわかってたけど。」


「むー。ふだんの大変さと、すこしちがう感じ?

 いつもだったら、ある程度時間がたったら様子を見に来る、か、けはいを感じるような何かをしかけてくるのがいままでのぱたーん。

 こんなに長くへーわなの、めずらしい。

 だから、すこしいわかんがあるのはたしかなんだけど、このくらいならきまぐれでやってきてもおかしくないとも思う。からむずかしい?

 気になっててこんらんしてるのは事実だし、そーいうの狙った高度な作戦っていうかのーせいもある。

 でも、いまはめさきのことでなやみがあるし、あんまり気にしてもしかたないかな、って思ってる。」


「ああ、夏は暑いから大変かも、って言ってたやつかな。」


「らー。それもある。

 あつさをまぎらわすために、凍結魔法をばらまくとかやりそーかもしれないかも、って自分で思ってた。」


「それだと寒くなりすぎちゃいそうだねー。当たったら寒いとかってレベルじゃなさそーだけど。

 例の鳥の時みたいにちょっと力を入れすぎた、とかなっちゃったら大変なことになりそうだ。」


「らー。たぶんわたしじしんは自分の魔法には耐性あるからちょーどいいって思うくらいの感じになると思うんだけど、ほかのひとにはあぶないかな、っておもった。みーたんとはーたんは装備でわたしの攻撃魔法はほとんど無効化するように設定してあるからだいじょーぶだけどね。

 だから、あついときは図書館にひなんしよーかな、っておもう。隔離図書館のほうなら、あつさをまぎらわすためにまほー使っても大丈夫なはずだし。」


「ああ、そー言われてみれば、図書館の中はあんまり暑くないね、夏でも。」


「らー。湿気がすくないだけでも、けっこう違うかな、って思った。」


「なるほど、んじゃとりあえずは暑さは気にしないで大丈夫、ってことでいいのかな。

 それじゃ、ほかの悩みってのは?」


「収納してるたべもの、どんどんふえていってるから、そろそろたべもののために動くっていうこうどうぱたーんをいじする必要性がなくなってきてる感じ?

 肉とか、とーぶんなくならないよね。いろんな種類あるし。」


「ああ、そーいえば、毎回余分に買ってるよね、最近は。

 まあ白ちゃんの場合は普通に一人前で買っただけでも食べきれなくて余るんだけどさ。

 でも、持ちきれないとかでなければ、あんまり困らないんじゃないの?食べたくなった時に出せるってのは便利だと思うけど。」


「むー。そういわれてみればそうではあるんだけど、のみものはあんまりおなかいっぱいになるよーなものじゃないし、ひとにかならずひつよーってわけでもない場合もあるかも。

 どわーふのひととかはのみものなくてもなんにちかは平気でうごくし。

 だから、『食べ物につられて動く』っていうのはいきものにとってただしいけど、のみもののために、っていうのが成立するかはひとによる?

 そうなると、食べ物がいっぱいある状態だと、なんのために動くのが正しいのか、きめないとといけないかな、って思う。」


「んー、なんだろ、難しそうな話が始まっちゃったな。

 その場その場でてきとーに決める、じゃダメなの?

 今回こう思うけど、明日同じ事聞かれたら別な答えになるかもねー、くらいのノリでいいんじゃないかな、って思うんだけど。

 たとえば、さっき言ってたみたいにスムージーが飲みたい、って気分だったら、「スムージーに釣られて動く」ってのもいいかもしれないし、別に飲みたいものないなーっていう時はつられなければいいだけだし。

 飲みたいものあるから買ってくる、とかいうのだってある意味「釣られてる」わけだけど、そーいう人もいなかったら売れなくて困るだろうしね。」


「むー。むずかしいね。」


「どれが正しい、とか考え始めるとわけわかんなくなるんじゃないかなー。

 もっと単純に、やりたいこととかやりたくないこととか考えて、やりたいことをするために、やりたくないことをなるべくやらないですむように、動くってのも「正しいこと」だと思うよ?」


「むずかしいけど、ときどきその場で考えたりするようにしてみる、かも。」


「うん、そういうのもいいんじゃないかな?

 お、帰ってきた。あたしのはどんなの買ってきてくれたのかなー。」


「にゃー。来たー。」


「白ちゃんならおいしい飲み物にも釣られそうだねー。あたしの一口味見させてあげるからなんかすごい装備ちょーだい、くらいでもOKそうな気配を感じる。」


「らー。たぶん、つられる。簡単に作れるそーびとか、アイテムボックスにあるそーびくらいだったら出すかも。」


「うん、言っただけだからね。味見したければ交換条件とかなしで大丈夫だからね。わかった?」


「らー。わかったー。」

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