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魔法学校7

「にゃー。それじゃ、行ってみようか?」


「えっ!?どこへですの?」


「み?どっちにしようか?」


「えっと、どっちといわれましてもまずその選択肢がわからないのですけど。」


「むー。

 まず情報だけ集めることを優先、だったらここからいちばん近い図書館は帝国中央図書館。

 召喚術などの術式の情報はわりと奥のほうの階層で管理されてるから調べるのは面倒だと思うけど、普通の情報だったらいっぱいある。

 逆に、召喚術の本だけを手早く探して調べたいなら、たぶんこの学校の本を調べるのが一番早い。学校なんだったら普通は勉強用の本おいてあるだろうからね。

 ただし、学校の場合、ある程度以上の本を見せてもらうためには、たぶん情報を公開する価値がある存在だということを証明する必要がある。これは図書館でもだいたい同じだけどね。

 今回の場合は、喚起でわたしを呼んだんだから、わたしを見せに行けばいいんじゃないかな。

 ということで、この学校の図書室とかの管理、もしくは学生の階級の管理をしてるひとに会いに行くか、図書館に行くかのどっちか、っていうことになるかな。

 どっちがいいと思う?」


「えっと、図書館に行っても仕方ないですわね。

 それでは、職員室まで同行お願いいたします。」


「らー。いってみよー。」


・・・


「あら、ロッサさんとジェーンさんじゃないの。

 こんばんは、どんなご用かしら?」


「こんばんは、遅くに失礼いたします。

 わたくし、ロッサ・ブラオローゼの昇格審査をお願いいたします。」


「ゆー。わたしは、ロッサ・ブラオローゼの喚起に応えてきた、『魔人』スミシー・ホワイト。

 ちなみに、魔人はただの称号だから、魔法がちょっと得意、くらいの意味しかない。

 図書室の本、読めるように昇格の審査を受けに来た。」


「ロッサさんの昇格審査ね。喚起で呼ばれたスミシーさんが実技をするっていうことでいい?」


「らー。喚起で呼んだ対象でも評価されるんだったら実技したい。」


「かなり評価は厳しくなるけど、できはするわね。

 魔法が得意なら、魔法を見せてもらうっていう形でいい?」


「らー。それでいい。

 どの程度のまほーかにもよるけど、たぶんできると思う。」


「召喚契約を結んだ存在に使ってもらう場合だと3等級でいいんだけど、喚起で呼んだ存在に頼む場合だと5等級の魔法が必要になるわね。

 だから、今回ブラオローゼさんの評価を上げるなら、5等級魔法かそれ以上が必要になるわ。

 魔法自体に希少性がある場合は階級が低くても認められる場合もあるから、5等級魔法がなくてもなにか魔法を見せてもらえば採点はちゃんとするわよ。」


「み?

 5等級くらいだったら簡単にできる。

 でも、やっぱり召喚契約結んだ対象と喚起で呼んだ対象では難易度をかなり変えてるんだね。」


「うん、厳しいとは思ってるけど、それは仕方ないのよ。

 喚起の場合は、他の人が召喚契約したものを借りて来て試験攻略、とかいう方法もできるようになっちゃうから。

 そのぶん少し厳しくしないと、試験の意味が無くなっちゃうのよ。

 借りてくるにしてもただでは借りれないだろうな、という程度の難易度にはしないといけないの。」


「にゃー。なるほど。それもそうだね。

 ということは、わたしも追加で何かよーきゅーしたほうがいいのかな?

 もらったおやつのぶんの手伝い、っていうことでもいいんだけど。」


「ロッサさん、ここはおいしいものを出して好感度アップを目指すところかと思います・・。」


「あ、えっと、クッキー召し上がります?」


「み?そのくっきー、甘い?」


「普通のクッキーですから、甘いですわね。」


「にゃー。ありがとー。

 それなら、さっきのおやつと、今回のクッキーのぶん、2回ぶんだからちょっと強めなのも使ってよさそうだね。

 注文通りに魔法を使うよ、限度はあるけど。」


「それなら、魔法練習場で見せてもらうわね。ついてきて。」


・・・・・・


魔法練習場。

広い円形に作られた広場で、地面は土で覆われている。

中央には、金属製で人間の身長よりやや大きい人形が置かれている。

足の部分は地面に深く刺さり、固定されているらしいことがわかる。


「そういえば、聞いてなかったけど得意な地形とか必要な道具とかあるときは言ってもらえればある程度準備できるからね。

 練習場もたくさんあるし、それぞれ相性のいい属性が違ったりするから。

 ちなみにここは遠距離攻撃型で反動がないタイプの魔法を測定する場所よ。あの人形は頑丈だから、思いっきり試せるの。」


「にゃー。得意属性とかあんまりないから大丈夫。普通な感じ。」


「うん、それならいんだけど。

 それでは、召喚術学科初等部学生『ロッサ・ブラオローゼ』の昇格審査を始めます。

 審査は私、『エリカ・マスターマン』が担当します。」


「先生の名前が前回きいた時と違うのはつっこまないほうがよさそうです・・。」


「召喚術の術者は定期的に名前を変えている者もいるのよ。

 つながりが固定化する前にいったん切らないといけないからね。

 ロッサさん、始めていいわよ。

 呼びかけの文章はそのマニュアル通りでいいはずだから。」


「あっ、はい。

 それでは、召喚術の実技を始めます。

 さっき名前を聞いてしまったけど、名前を呼び掛けに使ってもいいのかしら?」


「らー。どっちでもいいよ。

 私が呼ばれてるんだなー、ってわかればいいだけだし。」


「それなら、名前を使わせていただくわね。」


「らー。どうぞー。」


『我、隻腕の愚者(ロッサ・ブラオローゼ)希う(こいねがう)

 我が呼びかけに応えたる「魔人」名無しの空白(スミシー・ホワイト)

 捧げし(にえ)を対価とし、汝の魔力を我らに見せよ』


「らー。」

『贄の対価に 釣合う程に

 我の魔力を 振るうのみ』


「それじゃ、始めるね。」

渡季(とき)(はざま)の この瞬間(とき)

 時空(とき)(はざま)に 踏み入れる

 我の周囲の うつしよを

 常世(とこよ)(はて)へ 切りはなす」

『空間隔離』


「え…

 なにが起きてるんですの!?」


「周りの風景が、夜の星空と何もない丘になってますね。

 これが幻覚でないのなら、空間を他の場所に切りはなした、ということになるのでしょうか・・?」


「魔力量測定が追い付いていないんだけど…。

 まあこれ見せられたら満点つけるしかないから関係ないか。」


「人形の近くは危ないからすこしはなれててね」

(かつ)て祈りし ()の神々に

 重ね重ねて 我乞い願う

 数多(あまた)の敵を 焼き貫きし

 閃光(ひかり)の槍を 我に授けよ」

『呼ぶべきでない名前の魔槍』


「光の槍、ですわね。

 魔力の実体化と固定も、かなり高度な魔法なんでしたわね。」


「魔力濃度が桁外れに強い、っていうところも重要だよー。

 実体化だけなら普通の人でも修行すればいけるけど、これは無理としか言えない。」


「追いて捕えて(つらぬ)穿(うが)ち、しかと滅ぼせ眼前の敵を」

「みっ!」


「投げた!」


「落ちましたね・・。」


「地面に刺さった…いや、地面に潜っていきましたわね。

 魔法で強い武器を出したけど、重すぎて当てられなかった…?」


「み?当たるから大丈夫。」


「地面から飛び出てきました・・」


「そして人形のお尻に刺さってるね。

 うわ、あの人形の強度を貫通しちゃってる。

 普通の貫通系魔法くらいなら簡単にはじくんだけど、あれ。」


「すごい技のはずなのに、絵面が面白いことになっています・・。」


「完全に突き抜けて、戻ってきて首、胴体、肩、腕、足…

 全身を攻撃していますわね……。」


「これ人間に撃たれたらたまったもんじゃないわねー。

 まず空間隔離の時点でどうしようもないけどさ。

 人形粉々か、修理できるかな。」


「必中の呪いみたいなものがもともとついている槍、のようですね・・。」


「だいたいこんな感じでいいかな?

 空間隔離の効果もそろそろ切れるし、槍の魔法も解除しておくね。」

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