ちかからちじょうへ。
帝国中央都市『迷宮』地下9階。
地下10階から階段を登ると、1辺が10メートルくらいの6角形の部屋に出た。
正面方向足元に案内図が書かれた大きな石板が設置されていることに気づく。
案内図によると、地下9階は6角形の部屋が多数つながって構成されている、ハチの巣のような形の階のようだ・・・。
「さて、地下10階から地下9階に登ってきたわけやけど、うちの見間違いでなければやけど、案内図が置いてあるのん見えるんやけど。」
「あるね。案内図。」
「置いてあるわね。でも1階まで1時間で登れるって言うならそのくらい簡単じゃないと無理よね。
階段探すのに6分かからない計算なんだから。」
「ああ、そーいやそんなこと言ってたなぁ。
ところで、どの階段行こか?
なんや知らんけどずいぶん階段多いみたいや、この案内図、階段マークばっかりやで。」
「近いところでいいんじゃないかな?どの階段がどこにつながってるとか書いてないし。上か下かだけ。」
「それもよさそうやな。お二人さんもそれでええ?
うん、そんじゃ近いところから登るってことで。よっしゃ行ってみよかー。
ところで、さっきの二人のどっちかが飾ったとか言われたら気まずいから言えんかったけど、さっき召喚されたとこの部屋、かなり変なことになっとったな。
イスが置いてあるのはわかるんやけど、大きさバラバラやし。巨人族とか多いところなんかなこのへんって。」
「どうなのかしら。
ここが『ゲーム』の『迷宮』だということを考えると、『この奥には巨大な敵がいる』ということの予告かもしれないし、『昔巨人が住んでいた場所だった』みたいな設定があるだけかもしれないわね。」
「巨人だったらこの階とか狭いんじゃないかな。
扉は僕らには大きいけど、巨人なら狭いよね。
階段ついたね。近い。」
「そうやね、ラクでええなぁ。
帰りの地図もちゃんとあるみたいやから、今度来るときも安心やね。
そんじゃちゃっちゃと地上まで行ってしまおかこの調子で。」
「そうね。夜になる前に着けるように、少し急ぎましょ。」
・・・
「何事もなく1階までついてもーたなぁ。
ずいぶんとでっかい建物やな。
あ、どーも職員さん。こんちはー。
ここが噂の帝国中央図書館ってやつですか?
噂かは知らんけど帝国中央図書館?
そーですか、ありがとさんですー。
とりあえず図書館で間違いないらしいな。」
「そのようね。
「追跡者」と「新人迷宮探検者」の称号ももらえたから、さっきまで入っていたのが『帝国中央都市』の『迷宮』だということも再確認できたわ。「新人迷宮探索者」は迷宮の地下10階に入ることが条件だったから、迷宮であることは間違いないわね。」
「漂流者という称号もついていますね。「漂流者」は「ほかの人の使う転移系魔法に巻き込まれる」のが条件ですね。」
「3つも称号増えた、うれしい。」
「今度スミシーちゃんと所長のおっちゃんにはお礼せんといかんね。」
「そうね。今度考えましょう。
それじゃ、あとは宿を探さなくちゃいけないわね。
暗くなってから歩き回るのは怖いし。」
「夜になる前に宿に入ってたから、暗くなったらどうなるのかは知らないんだけど、危ないの?」
「他の町ではの話ですけど、物理的に危ないということはあまりないはずですね。
ただ、ちゃんとした宿で回復しないと疲労や眠気は回復しないはずだし、夜に飛び入りで宿に入ると昼に入るより値段も高いし入れる時間も短いから得はしない、はずです。」
「値段高くなるってのは知らんかったなぁ。
それならさっさと宿探したほうがよさそうやね。探検はまた明日ってことで。
宿は一応4人同じとこにしといたほうがええかな?」
「同じ宿のほうがいろいろ相談するのに便利そうですし、同じ場所にしたいですね。」
「そうね。
掲示板にどの程度の情報を出すのかとかは掲示板で相談するわけにもいかないものね。」
「マリアちゃんと猫ちゃんはオッケーやね。
エックス君はどうする?」
「え?
あ、ごめん、なに?」
「宿いっしょのとこにするかー、って聞いてたんよ。
3人はいっしょになったけど、エックス君も同じとこにする?」
「うん、宿探すのも4人のほうが簡単そうだもんね。そうしよう。
ごめんね、周り見るのに夢中になっちゃってた。」
「いろいろ気になる物あるもんなぁ。そりゃ仕方ないわ。
でもまず今日は宿探すのに集中しよ。そんじゃでっぱつしよか。」
「うん、行こう。」