ふたりでないしょばなし。
体調すこし治ってきたので更新します。
「んーと。
とりあえず、マリアさんが白ちゃんに頼むもの決めるまで、あたしらは待機ってことで良いのかな?」
「そうね。
白ちゃんを置いてどこかに行くわけにもいかないし、このままでいいと思うわ。」
「そっか。そーだね。
マリアさん、あたしとみやっちはここで待たせてもらっていいかな?」
「はい、もちろんです。
イスかなにか買っておけばよかったですね、準備が足りなくて申し訳ないです。」
「いや、こっちが準備した部屋なんだし、気にしなくてだいじょーぶだよ。ありがとね。
イスがなければそこの箱に座ったっていいんだし、床に座ってもいいし。
とりあえず床に座ってようか。」
「そうね。座って待ちましょう。」
「あっ、そういえばアイテムボックスにクッションがありました、よかったらこれを使ってください。」
「あら、ありがとう。使わせてもらうわね。」
「ありがとー。って、マリアさんもアイテムボックス持ってるんだね。」
「はい、とはいっても、性能拡張してない初期のものですけど。」
「えっと、性能が低いとしても、アイテムボックスのスキルを使える人ってかなり少ないんじゃないかしら。」
「うん、ふつうは持ってないんじゃないかなぁ。
そんなスキル持ってる人いっぱいいるんだったら、行商用の大型馬車なんか必要なくなっちゃうしね。」
「そうなんですね。私の友人は持ってる人が多かったので、そう珍しいものでもないんじゃないかと思っていました。」
「んー、あたしが言うのも変かもしれないけど、マリアさんの友達も不思議な感じだね。
あたしも知り合いわりと多いとは思うけど、そんなの持ってる人あんまりいないよ。」
「はい、私の友達は少しだけ変わった立場の人たち、ということになると思います。」
「はやてちゃん、ふつうは『知り合い』程度の相手にはそういう珍しいもの持っていることは話さないと思うわよ。
私たちだって知り合いには話せないことはたくさんあるでしょう?」
「ふむふむ。珍しいってことになってるけどみんな隠してるだけって可能性もあるんだね。なんかいろいろあって難しいねぇ。
あ、ごめんね急に変な話して。マリアさんが白ちゃんに頼むこと考えるまで待つ、って言ってたのに邪魔しちゃってたね。」
「そういえばそうね。
ごめんなさいね、いつもこういう調子で二人で話してたものだから、さわがしくしちゃって。」
「いえいえ、思いつかなかったようなことを聞けて勉強になります。」
「うるさかったら『静かにしといてー』とか言ってね。がんばって静かになるべくするよーに善処するから。」
「静かにはできない、と言ってるようなものよね、それ。」
「まあね。いつも3人分くらいしゃべってるのが2人分くらいまで減るかもっていうくらいかも。でも言われないよりは少し減るように努力する。努力は報われないこともある。」
「正直なことはいいこと、なのかしら、それ。」
「できないことを「できるから信じてー」とかいうよりはいいことなんじゃない?
今回はみやっちがいるから静かにしてなきゃいけないんだったら白ちゃんのことはみやっちに任せてあたしだけ部屋の外に出るとかすればいいだけだから問題はないでしょ。ふたりとも出ようとすると白ちゃん起きちゃうしね。今は眠り浅いみたいだから。」
「そうね。今くらいの眠りかただと、ドアを開けただけでも起きてしまうかもしれないわね。」
「んじゃ、ちょっとだけ小声で情報交換しようか。
まず確認するけど、マリアさんの目的は、『けーじばんを使ってる人のうちだれかが迷宮、つまり帝国中央都市の地下室の一番奥に行くこと』なわけだったよね。」
「はい。最終的な目的は『誰かが迷宮の一番奥に行き、そこにいるはずの『ボス』と呼ばれる何者かを倒す』ことになります。
そのために、『戦力を集めるために、街を行き来し、仲間を連れてくる方法』、『迷宮の奥を目指すための武器や道具、知識など』を手に入れるのがとりあえずの目的になります。」
「なるほどー。
あれ、でも、マリアさんだったら一人で戦ったほうが強いんじゃない?
ほかの人といっしょだったら本気出せないだろーし。種族が例のあれなわけだから、下手にパーティー組むより普通に殴ったほうが強そう。
あの種族って、一人で1パーティ蹴散らすくらいはフツーにできるくらいの強さはありそーだし。」
「真の姿というのになったことがないので、どの程度の強さがあるのか、使いこなせるかなどわかっていません。
日光に当たるとダメージを受けるというのだけは間違いないようですが。」
「あ、そっか。真の姿になったことがないんだっけ。
真の姿になると狂暴化するとかいうこともあるかもしれないし、試しにやってみるっていうのも難しそうだよね。
でも仮の姿でも人間より弱いってことはたぶんないだろうし、仮の姿で仲間集めていくっていうのもいいのかもしれないね。マリアさんが自分で行く場合は、だけど。
んー、でも弱点が人間と違うから味方の行動で自分がダメージ受けちゃったりもするかもね。うん、難しそう。」
「そうですね、私自身が自分の体質や弱点についてあまりわかっていませんし、真の姿になる方法も具体的にはわかっていませんから・・・。」
「んじゃ、白ちゃんが起きたらそーいうこと聞いてみればいいんじゃない?
ふつうは知らないようなことでも知ってること多いから。」
「あっ、そうですね。HPにも余裕ができてきましたし、聞いてみたいです。」
「それがいいと思うよー。
ここからはひとりごと。
まず、地下に行っても怪しまれない職業と言えば、図書館の職員だね。
正職員じゃなくても、アルバイトのしたっぱでも地下に行くのは自由。ただし給料は安い。ふつーのバイトの半分くらい。ほかの仕事でも建物が地下室とつながってて地下室に行く理由があるよーな職場に出入りできるような立場になれば出入りはできるんじゃないかな。
ある程度の人数までなら、部外者を連れていくこともできるから、『けーじばん』の仲間のうち何人かそーいう立場になれば、ほかの人を連れて入ることもできるね。
一応あたしとみやっちもバイト職員だったから、あたしたちといっしょなら地下室の出入りはできるね。
まあこっそり入っても問題はないと言えばないんだけどね。職員といっしょのほーが怪しまれないってだけで。
でも、図書館職員はなにか問題があればいつでも地下への扉を閉めることができる、ということを考えると、ちゃんと許可を取るとか職員と一緒に動くとかしておいたほーが安全ってことになるね。
入るときちゃんと手続きしておけば、閉じ込められたときでも扉開けてもらえるから。
ひとりごと終わり。」
「図書館への入館許可を取りたいときには、職員などの図書館関係者にワイロを渡して口利きを頼むのがいいわね。ひとりごと終わり。」
「うん、なんかそーいうボケ回答はあたしの領分な気がするんだけど。」
「・・・今の第一書庫の入館許可書の値段、定価、はやてちゃんはいくらだと思う?」
「いくらだっけ?そんなの払ってる人見たことほとんどないからなぁ。
えーっと。たしか銀貨30枚?」
「1季前までならそのくらいだったけど、今は500枚になってるそうよ。」
「うっわー、ずいぶん高いね。
銀貨500枚か。そりゃたしかに普通に払うのは難しいだろーね。
誰かに頼んでなんとかしてもらうのがラクってことになるわけかー。」
「そうなるわね。
ないしょ話終わり。」
「えっと、ないしょ話ありがとうございます?」
「ないしょ話だから礼はいらないよー。偶然聞こえてしまう人もいたかもしれないけど。
そろそろ白ちゃんを起こしてもいいかな?」
「はい。お願いします。」
「おっけー。それじゃ、起こすね。」