しつもんたいむ。
体調悪化したので、次回更新は遅くなりそうです。
旅立ちの刻の半刻後。
暗い部屋の中、目を閉じてじっと座っていると、ノック音が聞こえて、返事をする間もなく扉が開いた。
「どーもー。マリアさんだったよね、おひさしぶりー。」
「マリアさん、お久しぶりです。」
「みやさん、はやてさん、お久しぶりです。中へどうぞ。
シロちゃんも、って、寝てるんですね。」
「あ、起こせばすぐ起きるって言ってたよ。
歩くの疲れたのと、自分で歩くのより早いからみやっちに背負ってもらって寝てるだけで。
そーいえば、ずいぶん暗いところにいたんだね。ランプ壊れてた?」
「はやてちゃん、たぶん彼女は暗いところのほうがよく見えるんじゃないかしら?」
「ああ、そーか。そーいえばそーだったね。
んーと、それじゃランプはつけないほーがいい?」
「あっ、いえ、大丈夫です。日光と浄化系の魔法には弱いようですが、ランプの光なら大丈夫でした。
ランプ付けますね。」
「大丈夫なのね。それならよかった、ありがとね。」
「み?
むー。おあよー。」
「はい、おはよう。」
「白ちゃんおはよー。良く寝てたね。」
「シロちゃんおはよう。
シロちゃんの『実験』のおかげで、『中央都市』、こっちの言葉でいうと『帝国中央都市』につくことができたわ。本当にありがとう。」
「み?
お礼なら、けーじばんで言ってたと思う。」
「そうなんだけど、直接言っておきたかったの。ありがとう。」
「むー。
いっかいいわれればおぼえてるからだいじょーぶだけど。」
「あのね、白ちゃん。
たぶんこの場合、早くお礼を言う、会って言う、両方やりたいから2回になるのよ。
だから、無駄に繰り返してるわけじゃないってこと。」
「み?
そーなんだ。」
「そーだと思うよ。
だから、2回言いたかったんだなー、でいいと思う。」
「らー。わかったー。
はなしはかわるけど、まりあさんに聞きたいことあった。」
「あら、何が聞きたかったの?
答えられるものなら何でも答えるわよ。」
「なにか聞きたいこととか、ほしいものとかある?
じっけんのお礼、わたしてなかった。」
「えっと、掲示板の仲間と相談した質問でもいい?」
「むー。
自分で考えた質問じゃないなら、なるべく単純な言葉で言ってもらったほうがいいかな。
むずかしいことばはいると、つたわりにくいかも。
しつもんすることじたいはだいじょーぶ。こたえられないときはこたえられないっていうから、いろいろきいてみてね。」
「それじゃ、質問するわね。」
「らー。どうぞー。」
「『帰りはおなじ魔法で戻れますか?』」
「帰るためのまほーを使えば戻れる。でも、おなじまほーではない。
つぎどーぞ。」
「『この町にほかの人を呼んでも大丈夫ですか、私が彼らを連れてくる方法はありますか。』」
「むー。
てんいの扉、このまちにいっぱいある。
それでいける場所の相手なら、呼んでこれるかも?
でも、連れてくる相手の看破とか発見とか魔力認識とかのスキルが高くないと、たぶん扉を見つけられないから扉をつかえない。
そのまえに、教える側がどこにあるかわかってないと教えにくいね。
あと、扉を使うためになにかが必要。
扉にこもってる魔力がなくなってるときは使えない。短期間にたくさん使ってると、一時的につかえなくなる。
行き先を調べるときに行ってみる、とか考えると、たくさんの人は運べないと思う。あと、とびらがまりょくぎれになってもだいじょーぶなように、いろいろもっていってほうがよさそうだね。おかねとかたべものとか。
つぎどーぞ。」
「『この建物の中は、どこまで自由に動いていいんでしょうか?』」
「むー。にんずうによるとおもうけど、ひとりで動く場合は・・・。
地下1階から地下2階の部屋は、地上の施設の付属品として扱われる。使用許可ないと入れない。
4から15は、鍵がかかってる部屋と入れなくなってる部屋は誰かが使ってるから入れない。はいれたらつかってていい。
6より下に箱に入ってるものがあったら、鍵がかかってるなら誰かの持ち物。開けられたら持って行っていい。
3は部屋によって違うけど、2と4の中間くらい?
1から地上の1階に上る階段は、昇れないときは上の部屋に入る権限がないってことだから入れない。そのばあいははいれるかいだんさがす。
地上1階は、いろんな建物、施設になってる。職員さんに聞いてみれば使えるかはわかると思う。ここの真上だと図書館だから入館許可がないとはいれない部屋が多いはずだね。地上1階から街には出れる。
町の外まで出るなら、ぼーけんしゃとして認められるか、馬車とか行商人みたいな『出る方法を持ってる相手』と交渉が必要。
17から18に下りる階段は結界で封印されてるから、結界を通るためのなにか、道具とかスキルとかがないと通れない。通れるなら通っていい。
そのしたはじつりょくしだい?」
「えっと、箱は誰かの持ち物、なのに開けられたら持って行っていいの?泥棒とかにならない?」
「迷宮でみつけた箱の中身はあけた人のものになる。持ち主なら、開けられないようにするか、開けられてもこまらないような対策を取るべき。
逆に開けられるために作る箱もある。シェイプシフターを箱に化けさせておくとか。罠しかけておくとか。
あとは、人間みたいに知恵が働くものにしか使えないように道具を箱に入れて鍵をかけないでおくとか。いろいろある。
罠をかけられたりしてる場合もあるから安全とは言えないけど、開けて悪いってことはない。
この迷宮の場合は地下5階までは街としても扱われるみたいだから、地下5階までではあけないほうがいい。」
「『地下はどこまで安全なんでしょうか?』
さっきの話から考えると、地下18階以降が危ないから入れないようになっていると考えればいいですか?」
「地下17階からモンスターが出る。
17のモンスターを簡単に倒せるくらいじゃないと、そのつぎにはいかないほうがいい。
17と18のてきはぜんぜんつよさちがうから、17がかんたんでも18があぶない、ってこともあるかも。
でも、6と7と9と、11から15、めいろになってる。たべもの、のみもの、ねぶくろ、ないとあぶないかも。みちおぼえてるひととかならだいじょーぶだけど。
それと、6から16までは、暑い部屋、おおい。炎の精霊力が少し強い。あつさによわいとかなら、すこしあぶないかも。
まとめると、6からすこしあぶない、17はふつうにあぶない、18からはすごくあぶない?」
「『今までに地下室の一番奥まで降りたのは何階までですか?』」
「わたしは地下16階まで。じっけんのついでにおりた。
生体魔力の痕跡たどれたのは地下32階までだから、にんげんのひとが最近降りたのはたぶん32から49のあいだのどこか。
でも、痕跡残さずに移動するスキル持ってるひともいるかもしれないから、もっと奥に行った人がいないとも言い切れない。」
「えっと、痕跡は地下32階までで、最近降りたのが地下33階から地下49階までのどこか、ね。
その49という数字に特別な意味はありますか?」
「らー。
33と49。34から48。別の理由。これ以上は言えない。
つぎどーぞ。」
「『地下室の一番下が地下何階か、知っていますか?』」
「ある程度の予想、想像はできてる、でも言えない。」
「『帝国中央都市へのモンスターの襲撃の恐れはどの程度ありますか?』」
「襲撃が起きる可能性は、ふつうの町よりは多いとおもう。おおきいし。
襲撃の可能性が高いモンスターの種類はふつうのまちとおなじで、周辺にいるモンスターの上位種と、あとはワイバーンとかグリフォンとかみたいになわばり広いモンスターかな。ふつうの街より、周りのモンスターの種類が少し多いから、ちょっとだけ種類が多いとはいえるかも。
でも、特殊なのが出る可能性までは計算できないから、よくわからない、がこたえになるかな。」
「『襲撃対策として何かしていることはありますか?』」
「むー。街の対策か個人の対策かにわかれるね。
まず、まちのたいさく。
帝国中央都市、複数の部品、同じ役割、上位と下位。積層構造、並列構造?
同じ系列の部品なら、一部分が破壊されても、ほかの部分が壊れてなければ、最低限の性能は維持できる。
たとえば図書館なら、第2図書館まで破壊されても情報量は変わらないようになってる。
あとは、魔法書をたくさんそろえておいて、レベルが低めな人でも一時的には戦えるようにしてるみたいだね。
わたしこじんとしては、こーげきまほーとかにげるまほうとか、いろいろじょうほうあつめてる。
ほかにもあるけどそれはひみつ。」
「『もし襲撃が起きた場合の避難所などはありますか?』」
「むー。どこがおそわれてるかによってちがうから、とくにきまってないんじゃないかな。
攻撃されてない部分に逃げる、しかないと思う。
でも、むずかしいかもね。ある程度防衛もしないとつぎはほかのところこわされるだけだろうし。
けがしたときなら教会でも受け入れはしてると思う。でも神官のひとのかいふくまほーの使用回数も人によって限界あるはず。複数の攻撃が同時に来たりする恐れもあるし。
行ける場所のうちで、なるべく入りにくい場所に行くと良いかも?」
「相談していた質問は終わったわ。ありがとう。」
「にゃー。それじゃ、次はお礼を渡さないとね。
なにほしい?」
「えっと、ちょっと考えてていい?」
「らー。どうぞー。
まってるあいだ、またねてるね。おやすみー。」
「あ、うん。おやすみなさい。」
「白ちゃんお休みー。」
「おやすみなさい。
あの、そこの寝具を使ってもいいですか?白ちゃんを寝かせたいので。」
「あっ、はい。もちろんです、どうぞ。」
「ありがとう。」
旅立ちの刻の半刻後=夜明けの3時間後(午前9時)。