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とりにくのすもーく。

「み?

みーたんおきた、おあよー。」


「みやっちおはよー。」


「白ちゃん、はやてちゃん、おはよう。

白ちゃんはいつもの朝の運動してたのかしら?」


「しょくごの運動でごろごろしてたー。

今日はけーじばんでおはなしするから、ねむくならないていどにごろごろ。」


「『けーじばん』?

遠くの人とおはなしできる道具、だったかしら?」


「なんか、オークにさらわれた人がいるんだって。

その人と、『けーじばん』で話ができるから、相談に乗ってるらしいよ。」


「あの、オークにさらわれてるんだったら、はやく逃げないと食べられちゃうんじゃないかしら?」


「オークは誤解されないように考えて話すれば、あるていどはあんぜん。

オークが人間を食べる数より、人間がオークを食べてる数のほうが多いはず。

人間語と分化する前の共通語が話せれば一番簡単だけど、いまのにんげんのひとはにんげんことばのことを共通語って言ってるみたいだからあんまり期待はできないかな。

簡単な対処法としては、オークが考えそうにない単語は通じないと思う、あと数字は10までしか通じない、っていうくらい?」


「さっき白ちゃんに話を聞いた内容だと、緑のオークは、人間を食べることはほとんどないらしいよ。

『人間を食べたい』っていう意味にとられる言葉を誰も言わなければ大丈夫、なんだって。」


「人間を食べたいという人間はいないでしょうし、それなら安全ということ、よね。」


「むー。

オークの集落の中は、人間の街と同じくらいには安全、かな。

でも、オークの集落に長くいると、オークのにおいが移る。

においを落とすまでは、肉食なモンスターにすごく狙われやすくなる。

本物のオークたちなら、襲われたところを返り討ちにできることも多いだろうけど、にんげんのひとならたぶんむり。

だから、人間の住んでる町とか村に戻るつもりなら、においが移るまで、さらわれてから10日しないくらいのうちに逃げ切らないといけない。

においがなかったとしてもねらわれるときはねらわれるだろうけどね。

脱出までの期限は、少し短めに6日って伝えてある。においが付く時間に誤差がある可能性もあるからね。

だから、はやめに、ずっとオークと暮らすか、いちかばちかでにげるか、きめなくちゃいけない。」


「あれ、オークに追われるっていう話じゃなくて、オークのにおいが危ないってことなの?

足止めのために襲われるんだと思ってた。オークに。」


「み?

森の中でなら、足止めされるかも。

だから、じかんをちょーせー。こうたいのときとか、ほうこくのときをりようして、にげる。

そとにでかけるときには、みはりがつくだろうけど、そのみはりが群れの中でどの程度の力を持っているか確かめることがひつようかな。

たぶんしたっぱがつくだろーからてきとーににげても大丈夫だとは思うけど。

にげることにせいこうしたら、つぎのよるがくるまでに、町とか村にたどり着ければたすかる。

途中でほかのモンスターに狙われるかのーせーはあるけど、それを気にしてたらおでかけとかできないだろうし、しかたないかも?

もしそーいうのまで防ごうとするなら、天眼術で見守って強そうな敵をあらかじめ倒しておくとか、祝福でそう簡単には死なないように強化するとか、あとは装備を届けるとかかな。

そういう方法まで使えばある程度までならできなくはないけど、現状やる意味はないかな。

脱出する方法は聞かれたけどそのぶんは答えたし、あとは世間話くらいしかすることなさそう。求められた以上に手助けするのはただのめーわくさんだし。」


「いや、モンスターにさらわれてるんだったら普通なら助けを呼ぶこともできないわけだし、助けて迷惑ってことはないんじゃない?」


「そうよね、助けられて迷惑って思う人はいないでしょうし、そこまで考えてたら何もできないんじゃないかしら?」


「今は助けを呼ぶこともできる状態なわけだから、助けがほしければ、呼べばいいんじゃないかな。

どんな助けがほしいか言ってもらえれば、あるてーどは手伝えるわけだし。ひまなときで正当な報酬があるなら。」


「助けを呼んでもらえれば助けられますよ、って教えるのはダメなのかしら?」


「むー。

そのいいかただと、『捕らえられた人』の立場だったら、助けてっていうしかないよね。

自由に選択をさせているような形だけど、実質的には一つの答えを強制する形になる。

そういうやり方をするんだったら、何も聞かずに助けるって決めちゃうほうがいいかも?」


「助ける、って決めちゃうのは大丈夫なのね。」


「むー。

助けるかどうか決めろ、って言うよりは良いかな、っていう程度。

相手の事情とか関係なしに生きのびさせたい、って思った場合は、いいほうほうかも。

失敗する自由、知らない自由っていうのも、ある。

助けるなら、相手の迷惑気にせずにでも助けたいっていう欲望がひつよー。

わたしのよくぼーは、寝る場所と食べるものでだいたい使われてる。しらないひとにつかうぶんはほとんどない。」


「それじゃさ、例えば、『その人を無事に人間の街まで帰らせたらみやっちの新作料理が食べられるー』とかだったら、ものすごくやる気が出たりするの?」


「み?

あるの?」


「あれのことね。

白ちゃんが作ってくれた小型燻製機で、『鳥』の燻製ができたのよ。

少し時間をおいてから食べたほうがいいみたいだったから、少したってから言おうと思ってたんだけど。」


「それなら、無事に帰ってもらわなくちゃいけないね。

相手の事情は関係なしに、ぜんりょくで手助けするー。

途中で倒れるなんてことがないよーに、いろいろこざいくをしなくちゃいけないね。」


「おおー。白ちゃんの全力、どんなことが起きるんだろー。楽しみなような怖いような。」


「グリフォンを撃ち落とした技ですら、『うっかり力を入れすぎた』程度、だったのよね・・・。

全力だと、どうなるのかしら・・・。」

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