げんかいとっぱのせつめい。
「じっけんけっかはっぴょー。」
「ああ、結晶作りのことだよね。
たくさん作れた?」
「数なら、たくさんではない。
容量という意味なら、たぶんたくさんだね。」
「具体的な数で言うと、どのくらいなの?」
「数、12個。
合計魔力量だと、2億3200万くらいかな。」
「億、っていうと、1万の1万倍だよね。そんな数字使ってるの聞くの初めてかも。
値段をつけようがないくらいには強いんだろーね。」
「そこまで強力な結晶だと、もう使い道が想像できないわね・・・。
帝国中央都市にある全部の魔力結晶を集めても足りないくらいなんじゃないかしら。」
「普通の結晶みたいな使い道では使えない程度にはきょーりょくかも。
えるふびーむみたいな注入魔力量で性能が変わるタイプのまほーにつぎこむか、なにかの交渉とかに贈り物として使うとか、そんなかんじ?
ふつうの魔法では使い切るのは難しいと思う。」
「うーん、白ちゃんの魔力量がすごいんだろーなというのは前から思ってたけどさ。
あたしとみやっちが寝てる間にそれだけ作っちゃうって、すごすぎない?
あたしらが寝てたのって、4刻あるかないかくらいでしょ、たぶん。
灰エルフだから普通のエルフよりも強いってことなのかな?」
「魔力はすごく増える、って言っていたから、普通のエルフよりはかなり多いはずよね。
『普通のエルフ』がどの程度の力なのかもわからないし、もしかしたらハイエルフのほうが普通のエルフより人数が多いとかいうこともあり得るかもしれないけど。」
「むー。
わたしのばあい、体力ないぶん、魔力がすごく増えやすいよーになってる。
まりょくの量だけなら、大人のエルフよりもかなり多いんじゃないかな。
そのぶん、身体能力はゼライム以下。能力が上がる予定もない。」
「いや、ゼライム以下って、さすがにそれはないんじゃない?
HPだってかなり増えたんでしょ?」
「増えたのはHPだけ。
筋力とか素早さとかみたいな能力は、ゼライムより低いくらいだと思う。ゼライムは中身筋肉じゃないけどね。
実戦なら、カウンター狙いで戦うか限界突破に挑戦するかすればある程度の数までならなんとかなるとはおもう。」
「限界突破?
なんかすごそうな言葉だけど、どういう意味なの?」
「むー。
スキルとかじゃなくて、身体能力を一時的に限界を超えて使うこと、かな。
たとえば、ふつうのにんげんのひとがふつうに全力ではしる速さを10とする。
7くらいの速さで走るなら、長く走れる。
10の速さにすると、すぐ疲れる。
15くらいで走ろうとすると、疲れるとかいうのを通り越して、体に直接ダメージが入る。それが限界突破状態。
簡単に言うと、体が痛くなるくらいの全力?」
「かなり無理して力を出す感じなんだね。
剣術スキルの『強切り』とかみたいなのもそんな感じなのかな?
あたしは大きい剣は使わないから詳しくないけど、けっこう強い技だよね、あれは。」
「み?
そういうのは、『気力』を使うことで性能を上げて負担も少なくしてる感じ。
あと、行動に制限をかけることでさらに威力を上げる。
『強切り』のばあいだと、たとえば10の力の人なら7か8の負担になるのかな?何度もやってると疲れるし筋肉痛とかもなる感じ。
出力をある程度指定しておくことで、いつでも一定量の力が出せるようにしたり、いろいろ細工してる場合もある。
まほーといっしょで、理想は最低限の危険性で最大限の効果を、っていうことだね。
その技を成立させるのに必要な要素は何か?阻害する要素は?条件をよくするには?いろいろ考えるのも、進歩のためにはいいと思うよ。」
「なるほど、白ちゃんの魔法が使うたびに呪文を変えてるのみたいに、技も改良する意味があるってことだねー。」
「らー。
私の場合は、魔力消費がある程度増えても問題ないから、多重詠唱とか多重起動をさせることが多いかな。
負担が大きい技で、その負担を無視できるような特技や体質を持っているなら、メリットだけだからべんり。」
「なるほど、白ちゃんの場合だと『魔力量の消費が大きい』という条件はほぼ無視できるということね。
同じように考えると『疲れにくい』っていう体質の人だと『疲れやすい技』を使ってもある程度負担を減らせるかもしれない、ということになるのね。」
「らー。そんな感じだと思う。
わたしのばあいは、魔力の消費は気にしなくて大丈夫だけど、精神が弱いから疲れはたまるって感じかな。
この真魔結晶つくったときだと、四半刻だけ作業して1刻眠るくらいの疲れかただった。
魔力制御とかの練習にはなるしレベルあげのための経験にもなるみたいだけど、やっぱりそのぶんつかれる。
実験でどのくらいの負担がかかるかはわかったから、あとはときどき夕方とかに少し作るくらいにしようかなとおもう。
どーせつかいみちもおもいつかないし、れんしゅーのためくらいにしかならないからね。」
「そうね。白ちゃんの場合は魔力を補充しなくちゃいけない状態にならないでしょうから、結晶を使う必要もなさそうね。」
「らー。
結晶は細かい魔力制御が必要な魔法使うときに便利、なはずなんだけど、だいたい大量に魔力を使う魔法はおおざっぱに魔力入れてもだいじょーぶなかんじみたいだね。
だから、全部の魔力を使っても足りないくらいのまほーでなければ、結晶をわざわざ使うひつよーはなさそう。
みーたんかはーたんがなにか魔法使いたいときには、魔法書と結晶を合わせて使えばある程度のものまでは再現できるかも?
そんなわけで、なにか必要な技とかあるなら本の情報で調べて材料そろえるし、持ってないものだったらなんとか情報集めてみるから、なんでも言ってみてね。」
「うーん、いまのところはないかな?
戦闘なら護身術でそこそこ戦えると思うし、ある程度以上になるとどうにもならなそうだし。
外付けの力で魔法を使っても、大失敗しそうな予感しかしないしね。
あ、もし『隠密』を鍛えるのにいい本とかあったらほしい。」
「らー。
それなら、読んだことある本をいくつか複製しておくね。
みーたんはなにかほしい本ある?」
「野営の時に使えるような料理の本があったらほしいわ。
普通の料理の練習は今もしてはいるけど、あの『鳥』の料理には、野営料理の手法が合うような気がするのよ。
あの時のパンみたいに、『鳥』の料理でも何かの能力が鍛えられるなら、なるべく早く作れるようになりたいわ。」
「らー。たぶん、あの鳥の料理を食べると筋力と敏捷が上がる、のかな?にんげんのひとだと。
完成したらパンとあわせて食べると良いかも?
たぶんわたしがたべても能力上がったりはしないだろうね。
野営料理のほん、いろいろあるから、わかりやすそうなのいくつか複製しておくね。
むー。にんげんのひとの味覚でたべられなそうなものとか、副作用や毒性が高めなものは除外しておかないといけないね。
あとは人肉食とかもにんげんのひとにはあんまり好まれないみたいだからそーいう本も除外しておくね。」
「ありがとう。楽しみにしてるわね。」
「ありがとー。」