しんまけっしょうとよるのおはなし。
「それじゃ、そろそろ結晶作りをはじめるね。」
「うん、あたしらはどーしてたらいい?
近くにいたら危ないとかある?」
「むー。
たぶん少し魔力の余波が出るかも。
気になるようだったら隔離されてる図書館のほうでさぎょーするね。」
「それなら、一つ試しに作ってもらっていい?
どんな感じなのか、みればわかるだろうから。」
「らー。やってみるね。
さいしょに作った魔力結晶と作り方はだいたい同じだけど、魔力量を多めに入れるー。」
「おおー。やっぱり最初に見たときとは全然違うね。
魔力の量がものすごい多くなってる。
実際こんなの使える人いなそうだねぇ。」
「でも、魔力の余波は、むしろ少なくなっているみたいね。
魔力を集中する技術も進歩しているということかしら。」
「らー。
ある程度以上に結晶の品質を上げるとき、普通にやると余波がすごく出るらしい。
人数が多い組織とかだと、その余波を利用して周辺で小規模な儀式をするとかいう方法もあるけど、一番いいのは、余波のぶんの力も回収して結晶の材料に変える方法。
ほんとは、儀式場を建設してからのほうが魔力効率はいいんだろうけど、能力試すだけのためにそんなの作るのも時間の無駄。
だから、じりきであるていどだけかいしゅうしてるー。足元に回収用の魔法陣も作ってあるよ。」
「なるほどー。
このくらいだったら大丈夫だけど、単純に結晶の強さと余波が同じ感じで増えるんだったら強いの作るときはものすごいことになっちゃいそうだしね。」
「最初に作って見せてくれたのが1万点くらいだった、って言ってたわね。
それで、今回作ったものが真魔結晶だとすれば1000万点以上、なのよね。
もしあの時の1000倍の『余波』が発生するなら、耐えられる人はほとんどいないでしょうね。」
「むー。そうかも?
魔力のにおいとか嫌いな人もいるらしいし、きをつけないといけないね。
あるてーどのことなら、契約更新の時に『おまじないとかするかも』って言って借りてる家だからだいじょうぶだとおもうけど。」
「たしかに最低限は気を使わないとね。借りてる家なわけだし。」
「真魔結晶を作るのを『おまじないとか』の範囲に入れるのは無理がある、と思うのだけど・・・。」
「おまじないにもいろいろある。だからだいじょーぶ。
呪いもよみかたかえれば『おまじない』だし。」
「なるほどねぇ。
まあその話は置いといて、そろそろ寝るね。眠いし。」
「あら、もうこんな時間だったのね。
私たちもそろそろ寝ましょうか。」
「らー。わたしもそろそろねるー。」
「あ、結晶作りは夜にやってもだいじょーぶだからね。
あたしは起きないだろうから。
みやっちも大丈夫だよね?」
「ええ。大丈夫よ。
さっきのくらいだったら、気にしないで眠れると思うわ。
ある程度は慣れてきているから。」
「にゃー。
それじゃ、よるにめがさめたら、けっしょーつくりしてみるね。」
「りょーかい。
そんじゃ寝るね。おやすみー。」
「おやすみなさい。」
「おやすー。」
467 すみしー
きてみた。おはよー。
468 とげとげメイドさん
あ、スミシーさんおはよー。夜だけど。
今日も抱きしめられてるのかな?
469 すみしー
きょうはないしょくー。
けっしょーつくり、してる。
470 とげとげメイドさん
結晶作り、スミシーさんもやってるんだね。
魔力があれば稼げるし、ラクでいいわよね~。
募集人数が少ないときもあるから、毎回とはいかないけど。
私も仕事のあとに募集されてるときは結晶作りしてるのよ。
471 すみしー
ぼしゅう?
けっしょーつくっておいて、うりにいくだけ、だよ?
472 とげとげメイドさん
あれ、自分だけで作れるの?
儀式場に行って参加させてもらわないと無理だと思ってたわ。
儀式の参加人数に限界があるから募集人数少ないらしいわね。こっちでは。
473 すみしー
わたしは儀式はしてない。
でも、自分なりにいろいろやりかたかんがえてる。
たぶん効率は悪いと思うけど、いまのところもんだいをかんじてないから、このままでいいかな。
474 とげとげメイドさん
自己流で作れるの?
それなら多少効率が悪くても、手数料取られない分だけお得かもね。満員で断られることもないでしょうし。
475 すみしー
らー。
もし順番待ちとかしなくちゃいけないんだとしたら、途中で眠くなりそうだし、自分でやったほうがいいかも。
476 とげとげメイドさん
そうかもしれないわね。
ところで、スミシーさんは今日も文字の練習に来たの?
477 すみしー
むー。
きょうは、ないしょくしてるあいだひまだったからきてみただけ。
もじれんしゅうしても、宿では使うあいていないことにきづいちゃったから。
478 とげとげメイドさん
ああ、まあ普通に会える相手だったら、こういうので会話する必要もないわよね。
夜中抱きしめられてるって言ってたわけだから夜はいっしょの部屋なんでしょうし。
479 すみしー
らー。
はなれてるときはだいたい用事あるときだから、話とかしないほうがはやくあえる。
だからひつようなかった。
480 とげとげメイドさん
待ち合わせとかするときには便利だと思うけどね。こういうのも。
うっかり寝坊したとか場所間違えたとかいうときにも連絡とれるから。
481 すみしー
み?
そーいえばそうかも。
人数少なければ符術とか念話のほうがかんたんそうだけど、人数がたくさんのときとかには便利かもしれないね。
でも、わたしのばあいはふつうに会えばいいくらいの人数だからやっぱり必要はないかな。いざというときには臭いでたどればあえる。
482 とげとげメイドさん
臭いで追えるの?
変わった特技あるのね・・・。
483 すみしー
魔力の流れを追うとか、そんなかんじ?
でも、においをかぐみたいなきもちでたどったほうがうまくいくから、においをたどるってひょーげんしてる。
484 とげとげメイドさん
ああ、そういうことなのね。
魔力でたどれるのか。
魔法って便利よね~。洗浄とか除塵とかものすごく便利。
いちいち魔導書を買わないと魔法を覚えられないのは大変だけど。
485 すみしー
むー。
魔法文字、魔力認識、どっちも勉強しないと、魔導書を調べるのは難しい。
そういう知識がない人、安全で役に立つ魔導書を買おうと思ったら、ある程度の報酬は渡す必要があるんじゃないかな。
おなじものを複数手に入れたとかでなければ、調べた人が自分で使ってもいいわけだし。それをゆずってもらうなら、やっぱりおれいはひつようとおもうよ。
486 とげとげメイドさん
『勉強しないと難しい』?
勉強してる人なら簡単なの?
487 すみしー
み?
魔法文字だって文字なんだから、読める程度にべんきょーすれば普通に読めるよ?
呪われてるのとか暗示かけるためのとかを防ぐためには文字を読めるだけでは無理だけどね。
そういうのはだいたい文面と関係ない効果になってるから、文字が読めるだけでは避けられないはず?
488 とげとげメイドさん
読める程度にと言われても、難しそうね。
まず教えてくれる人もいないでしょうし、もし読めるようになったとしても『正体がわからない魔導書』が手に入る機会もそうそうないでしょうし。
489 すみしー
むー。最近は使える人はあんまりいない言葉らしいし、練習するのは難しいかも?
でも、にんげんことばよりは簡単だと思う。
いやがらせでつくったとしか思えない言語だし。にんげんことば。
490 とげとげメイドさん
あら、そんなに難しいの?
『共通語』って言われてる言葉のことよね?
491 すみしー
らー。そうだよ。
にんげんのひとはふつうに話せるみたいだけど、わたしにとっては難しかった。
でも、もともと、いろんな種族が話せるようにって作られた言語みたいだから、発音自体できないとかいうことにはならなかった。よかった。
話せる、っていうだけで、話しやすい、っていうわけじゃないけどね。
492 とげとげメイドさん
人間には話しやすい言葉だから『人間言葉』。
いろんな種族が発音できるから『共通語』。
どちらの呼び方も間違ってはいない、ということなのね。
493 すみしー
らー。たぶんそんなかんじ。
そんなわけで、難しいけど話はできる。
そろそろさぎょーきゅーけい、寝るね。おやすみー。
また1刻くらいあとにきてみるー。
494 とげとげメイドさん
おやすみなさーい。