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ぶりがんだいんとすもっく。

「それじゃ、手早く準備しようか。

あたしとみやっちは着替え終わったよ。

この上着、はおるだけでいいのは便利だねぇ。

重さもちょっと重い程度で済んでるし。便利。」


「そうね、裏地にオリハルコンが仕込んであるとは思えない軽さね。」


「わたしもじゅんびできたー。

装備、お金、聖印、回復符、激痛ポーション、魔導結晶、業魔結晶、そのほかいろいろー。」


「よし、

それじゃ出発、いってみよー。」


「にゃー!」


「ところで、宗教施設に行く、のはいいけど、どこがいいのかな?

宗教の種類とかもあるし、修行場とか聖堂とかなんかいろいろあるわけでしょ。

どういうのに行かないとダメとかあるの?」


「呪いを解くとかだったら『正義と契約の神』の治療所でうけつけているはずだけど、記憶については、どこがいいのかしら・・・?」


「ちかいところ、いってみるー。

こっちのほそいみちのおくに、あったはず。」


「あったはず、って、この道の奥なんて行ったことないはずだけど、わかるんだ?」


「らー。なんとなくわかるー。」


「それなら、とりあえず行ってみましょうか。」


「うん、そうだね、いってみようか~。」


・・・


「ついたー。ここのいえ。」


「いや、ここって、普通の家だよね?

まあレンガ造りの家はこの町では少し珍しいみたいだけどさ。

宗教だったら、ふつうは聖印とか看板とか像とか、なんかこう『宗教だぞー』ってアピールするものが必要なんじゃないかな?」


「邪教として弾圧されている宗教だったら、隠す場合もあるかもしれないけど・・・。

今は宗教による差別はほとんどなくなっている、はずよね。」


「むー。

理由はわからないけど、あんまり、めだちたくないかんじ?

人除けの結界と、認識阻害の結界使ってるみたいだね。

技術はありそうだから、とりあえず、たのんでみる。

ふたりとも、すこしはなれててね。」


「あ、うん。

結界を解くのかな?」


「離れたわ。このくらいでいい?」


「にゃー。あいあとー。

はじめるー。

まず、扉を3回たたく。」

(とんとんとん)

「そして、声をかける。

『こんにちは~、だれかございたくですか~』」


「うん、なんか普通、だね。」


「普通、よね。」


(がらっ)

「こんにちはお客さんねっ!

 ひさしぶりのお客さんうれしいな。

 とりあえず入ってよ。

 決まりね行こう。」

(がしっ、ずるずる)


「み?」


「えっと、なんか、白ちゃんが女の子の自宅に連れ込まれてるんだけど。

 敵意はなさそうだけど、どうしようか。」


「とりあえず、わたしたちもあいさつしておきましょうか。

 無言でついていくのもおかしいでしょうし。」


・・・


「シロちゃん、ミヤさん、ハヤテさんだね。名前覚えたよ。

 ちょっと急いで棚整理するから少し待っててね。」


「あ、うん、急に来たのはあたしたちだし、用事を先に済ませてもらって大丈夫。」


「そうですね。ゆっくりでいいと思います。」


「らー。

 わたしもおぼえたー。ルナリアさん、だね。」


「おまたせ。3人とも紅茶とクッキーでよかったかな?」


「ぴ!?」


「あ、ごめん。いま白ちゃん、この子のことね。

 この子、食べ物や飲み物見るとショック受ける状態になってるの。

 わざわざ出してもらって悪いけど、片づけていいかな?」


「あっ、そうなの?

 ごめんね。すぐ片付けるわ。」


「いや、こっちが説明しなかったのが悪いんだし、気にしないでね。ありがとう。

 普段なら白ちゃんもお菓子とか大好きなんだけど。」


「にゃー。すこしおちついた。ありがとー。」


「あ、よかった、大丈夫だったのね。」


「らー。だいじょぶだった。めをそらしたから。」


「そういえば、ここに来た理由を聞いてなかったね。

 みなさんは、おとーさん、じゃなくて、私の父の知り合い、ですか?」


「ああ、あたしら二人はこの子の付き添いだよ。

なんか、ここを探しに来たみたい。」


「み?

しりあいではないけど、しごとかんけーで、お手伝い頼みたかった。

ここは、お祈りとか歌うたうとかしてる場所、だよね。」


「え、うん。

お祈りはしてないけど、歌は歌ってるよ。

歌ってるって言っても、発表会とかに出てるとかではないよ。

ふつうに、掃除しながら歌うとか、食事の前に歌うとか、そのくらい。」


「そのうたを、きいてみたい。

たぶん、いまのわたしに、必要。

おねがいしていいかな?」


「うん、上手ではないと思うけど、それでもいいなら。」


「にゃー。ありがとー。」


「せっかくだから、ちょっと着替えてくるね。

お客さんの前で歌うんだから、ちょっといい服にしてみるよ。」


「らー。まってるー。」


・・・・


「おまたせー。

ひさしぶりだから聖印がどこにあるのか見つからなくなっちゃったけど、服はあったよ。」


「にゃー。

白い服、儀式にも使えるくらいの服だね。

わざわざきがえてくれてありがとー。」


「かわいいスモックね。似合ってるわ。」

 

「そうだね、かわいい。

 シンプルな作りが、逆にいい感じ。」


「ありがと。

 それじゃ歌うね。」


『いまこそわれら うたをうたおう


 うたがうなかれ かみのちからを


 となりをあるく なかまのために


 われらはいのる きみにさちあれ』


「・・・本当はもっと長い歌だったはずなんだけど、ボクが覚えてたのはこれだけなんだ、ごめんね。」


「おお~、すごい上手だねぇ。

 いいもの聞いた。」


「本当ね。とってもいい声。」


「にゃー。

 じょうずだね~。ありがとー。」


「いや、そんな褒めてもらうほどの声じゃないと思うけど。

 あ、うん、でもありがと、うれしいよ。

 ところでさ、シロちゃんに必要、っていうのはどういう意味だったのかな?」


「浄化系の歌聞くと、記憶の整理、しやすくなる。

 たべものみたときのきょぜつはんのー、すこしよわまる、かも?

 自分で歌うともっと効果あるかもしれないから、私もその歌うたっていい?」


「もちろん。

 ボクも聞いてみたいな。」


「にゃー。それじゃ、うたうね。」


『今こそ我ら 声を響かせ


 彼を讃える 歌を歌おう



 その右腕は 邪悪を砕き


 その左手は 全てを救う



 その足音を 悪魔は恐れ


 その翼音を 我らは想う



 疑うなかれ 信ずる勿れ


 その御姿を その御力を



 ここは聖域 ここは声域


 此岸を歩む 仲間の為に



 我らは祈る 我らは歌う


 君に幸あれ 神に幸あれ』


「おわりー。

 つづきをうたうたいりょくはなかった。

 つづきの歌詞は、現状いみがないからもんだいないけど。」


「うわぁ、シロちゃん歌じょうず、かわいい声だね。」


「うん、そうだねー。白ちゃんも歌うまかったんだ、知らなかった。

 なんか普段話すときの声とは少し違う感じなんだね。」


「むー。

 さっききいたルナリアさんの歌を参考にして、はつおんをちょーせー。

 じぜんじょーほーがなかったら、たぶんものすごくおとはずれるかんじになる、はず?」


「あ、ボクの歌が役に立ったの?それならよかった。」


「にゃー。すごくやくにたった。ありがとー。

 おかげでせーしんじょーたいも、だいたいなおったかんじ。おなかすいた。」


「あっ、食べ物見ても大丈夫になったっていうことかな?

 大丈夫ならさっきのお茶とクッキー持ってくるけど。」


「らー。だいじょーぶになった、はず。ありがとー。」


・・・・


「それじゃ、どうぞ。

 大丈夫、かな?」


「・・・だいじょーぶ、だった。

 にゃー。なおったー。」


「おお、やったね、治ったんだ。」


「良かったわ。食べ物を食べるたびにあんな状態になるのは大変そうだからね・・・。」


「うん、ボクにはどんな状態だったのかはよくわからないけど、治ったならよかった。

 クッキーもお茶もおかわりあるから、たくさん食べていってね。」


「らー。ありがとー。

 いただき、ます。」


・・・・


(かりかり)

「おいしいね、このくっきー。」


「そうだね。

これ、ずいぶん前にきたお客さんがおいて行ってくれたんだ。

かなり厳重に封をされてたし、品質も落ちてないみたいだから大丈夫かなって。」


「にゃー。

だいじょーぶだとおもうー。

魔法とか呪いで細工されてたとしたら、わたしでもすぐにわかるから。

そういう意味での細工はくわえられていないことは、確認済みー。

味もおいしいし、いいくっきーだね。」


「ねぇ、白ちゃん。

ちょっと聞きたいことあるんだけど、いい?」


「み?

はーたん、なに?」


「さっきの歌さ、ルナリアちゃんが歌ってたのより、白ちゃんが歌ってたののほうが歌詞が多かったよね。

白ちゃんが歌ってたのがもともとの歌詞っていうこと?」


「むー。

あのうたは、うたう人によって、時代によって、かなりあれんじ、歌詞変わってるらしい。

わたしがうたったのは、かなり昔の歌詞で、ある程度神話とか調べた人が歌う歌詞かな?

つづきの歌詞もあるけど、それは騒がしくしても問題ないような場所で子供とか異種族とか『普通に歌えない者』がいるときに使う歌詞になるよ。」


「えっと、正しい歌詞っていうのがないってこと?

いろんな人がいろんな歌詞で歌ってる?」


「らー。

たぶん最初の歌詞はどこかにあるんだろうけど、どれがさいしょか、わからないんじゃないかな?」


「シロちゃんは歌に詳しいんだね。

 ボクよりも小さいくらいなのに、すごいなぁ。」


「ぐーぜん、そういう本を読んだことがあっただけ、あんまりくわしいわけじゃない、かな?

 歌詞を知ってただけで、だれかのうたをきかないとさいげんできないじょーたいだったわけだし。」

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