すこしだけ、かいふく。
「・・・むにゅー。」
「あ、白ちゃんが起きたわね。
大丈夫?落ち着いた?」
「・・・らー。
すこし、おちついた。」
「えっと、さっきのことは、覚えてるのかな?」
「らー。だいたいおぼえてる。
たべものをみて、すこしこんらんした。
ぽーしょんと眠りのおかげで、とりあえず、いまのところはおさまってるみたいだね。あいあとー。」
「すこし・・・白ちゃん基準だと少し、でいいのか。
えっと、『ある程度までの暗示は大丈夫』なはずだったんだよね。
今回のは『ある程度』より上のなにかだったってこと?」
「らー。
本来『食べるもの』とか『飲むもの』だと思っているものに対する認識を狂わせるなにか、みたいなかんじだった。
視覚だけがおかしくなってるだけだったら大丈夫かなと思って一口食べてみたけど、味覚とかもおかしくなってた。
味覚、触覚、視覚の3つで、『食べ物に分類は絶対できないような何か』だと認識してしまう感じ。」
「絶対に食べ物ではない何か、っていうと、この椅子とかみたいな感じ?」
「もっとひどい、かな?
ぐたいてきには言わないほうがいいと思うから言わないけど。」
「あー、もっと食欲なくなるような何か、ってことね。」
「らー。そんな感じ。」
「それで、食べ物を見るのがまずいっていう状態は、まだ治ってないのかな?」
「むー。
まだなおってない。
いまもいろいろへんなものみえてる。」
「さっき使ったポーションでも足りなかったってこと?
けっこういいポーションなはずだよね、白ちゃんが作ったやつだし。」
「むー。
状態異常、より根本的な問題?
食べ物を見るかさわるか食べるかすると状態異常になる、という状態になってる、っていうかんじ。
見るだけなら気持ち悪いだけですんでるみたいだけど、たぶんたべるとさっきみたいになるとおもう。」
「・・・それって、かなり致命的な状態、よね。
ポーションでも治療できない、食べ物を食べることができない・・・。
なんとかする方法、あるのかしら・・・?」
「あるー。」
「あるの?どんな方法?」
「らー。
まず、一番簡単な方法は、味覚と視覚と触覚を無くすこと。
見るか触るかするとだめなら、自分で気づかないようにするってことだね。」
「うんそれ以外で行こうか。」
「むー。
それなら、記憶を魔法で削る方法もある。
どのくらい削れるのかわからないけど。」
「白ちゃんの魔力を考えたら、記憶全部削ってしまいました、とかいうこともありえそうね。
そのほかには何か方法はないの?」
「むー。
そのほかだと、宗教施設とかかな?
つごーの悪い記憶を処理するのとかは、慣れてるはず。」
「・・・宗教、って、そんなもんだったっけ?
あたしも詳しいわけじゃないけどさ。寄付とか求めてきても払えない程度にはビンボーだったし。」
「私もほとんど宗教にはかかわらない生活だったから、わからないわ。」
「それじゃ、さっそくいってくるね。おなかすいてるから、はやめにうごかないとまたあれをたべることになっちゃうし。」
「あ、そっか。
食事食べるとあんなことになるんだったら、おなかすく前に動く、のが一番か。」
「そうね。
とりあえず行ってみて、ダメだったらその場で考えることにしたほうが良さそうね。
それじゃ3人で行きましょうか?」
「にゃー!」