きんぞくかこうのじゅんび。
「食べ終わったところで、何を手伝ってほしかったのか聞きましょーか。
何を手伝えばいいの?」
「やどにもどってから、やまにいく。
手伝ってほしいのは、着替え?」
「山で着替え、って、どんな状況なのかしら?」
「まあよくわからないけど、まず宿に戻ればいいんだね?」
「らー。」
・・・・
「宿に到着ー。」
「とーちゃくー。
そして転移の扉作成~。」
「そういえば、毎回扉を作り直してるけど、行き先間違えたりはしないの?」
「たぶんまちがえないー。
間違えた場合でも、扉を通る前に気づけるよ。」
「そうなんだ、それなら安心だね。」
「らー。
それじゃ、行ってみるね。」
「うん、行こうか。
あたしが先でいい?」
「らー。どうぞー。
それじゃわたしがにばんー。」
「ということは私が最後ね。」
・・・・
「むー。
やっぱり、とびらおもいなぁ。」
「扉をくぐると山だったー。
って、山といっても石を積み上げた山なんだね。
すごいなぁ。どのくらいあるんだろう?」
「だいたい200トン、らしいよ。
ゴミあつかいされるくらいの石だから、安く買えた。ぜんぶで銀貨2000枚。」
「200トンかぁ。
・・・恐ろしいことに気づいたんだけど。」
「み?」
「これ、材料として買ったんだよね?」
「らー。そうだよ。」
「この200トンを、運ばなくちゃいけないってこと?
銀貨2000枚もかけて捨てるってのも考えにくいし、全部使うわけでしょ?」
「台車があれば、いけない量ではないわね。
訓練だと思えば何とかなるわ。かなり日数はかかるでしょうけど。」
「全部運ぶというわけじゃないから大丈夫だと思うー。
ある程度加工してから、使うところだけ取る。」
「あ、そうなんだ、便利だね。
そういう魔法があるってこと?」
「らー。
ちょっと離れててね。」
「あ、うん、離れるね。」
「離れたわ。このくらいの距離でいい?」
「らー。その距離ならだいじょーぶ。
それじゃ、加工するね。
『轟煉火』『延焼』『延焼』『過熱』『過熱』
おわりー。」
「うわ、石の山が燃え上がってる。」
「溶けていってるみたいね・・・。」
「あとは、冷めるのを待つだけー。
加熱が終わったら何か冷やす魔法使ってみるね。」
「うん、お疲れさま。
これってさ。もう集中しなくても大丈夫な感じなの?」
「らー。
設定したとおりに加熱したら勝手に終わるよ。
だから、おわるまでひまー。」
「これって、なんか金属を取る方法、でいいんだよね?石を焼くってことは。」
「らー。そうだよ。」
「協会の人がそれをしないでゴミあつかいにしてたってことは、やっぱり良い金属は取れない、ってこと?」
「むー。
たぶん金属が少ないとか、加工しにくいとかそういう感じ?
人間の人だったら燃料とかも使うだろうし、燃料代とかの元を取れないってことかも。」
「でも、白ちゃんは損はしないって判断したから買ったわけだ。
やっぱり燃料かからないから?」
「らー。そういう理由も、ある。
加熱終わったみたいだね。
『想起・料峭たる春風』。
風で少しひやすー。」
「おお、なんか涼しい風が。
こんな魔法もあるんだねぇ。」
「ちょっと冷たいくらいの風なのね。
ゆっくり冷やすほうがいいということかしら。」
「むー。
冷却系魔法、苦手。
いめーじが、あんまりうまくいかない。
だから、この程度の技じゃないと、安定しない感じ?」
「苦手、なんだ。
氷を出したり吹雪を出したりするのが苦手ってことかな。
だからその代わりに冷たい風を使った?」
「らー。そんな感じ。
これでも、あるていどは、ひえる。
ひえたら、もえのこった金属を、あつめてみる。」
「苦手な魔法でこれだけの効果が出せるのね・・・。」
「苦手って、どんな意味だったっけ、と思っちゃうねぇ。これは。」