めっきのぶき。
鷲獅子が、動きを変える。
足元を走り回る虫けらに対して、軽い攻撃を始めた。
愛用だった斧、を材料に作られた武器『滅鬼の鎚斧』のおかげでなんとか戦えている。
相棒の狩人の助言『足音を響かせる』ことも忘れず、慎重に戦う。
「鷲獅子のやつ、斧を喰おうとして失敗しやがったぜ。
並みの武器だったらクチバシ型に削られてるところだ。
そろそろ、倒れろこの野郎っ!」
「その武器は『並みの武器』ではないだろうな。
ミスリルを使った武器が『並み』なら、ほとんどの武器はガラクタだ。
準備良しだ。いつでも行ける。」
「ミスリル!?この銀色のがか?
10数えたら大技出すから援護頼む。」
「ああ。さすがに悪食で有名な鷲獅子でも喰うのには手間取るらしいな。
7,8、『毒矢三連』!」
「よっしゃ行くぜ!
『葬らん』!」
目を狙った毒矢はよけられたが、その隙に力の限り振りぬかれた鎚斧が足首を打つ。
足首に、わずかに切り傷がつく。
「傷がつくだけマシ、なんだよな。」
「マシなんだろうな。今までよりは。
だが、最初の傷がもう消えているところを見ると、回復能力は高いようだ。」
「同じ場所に何度も殴る、しかないか?」
「ヤツが羽ばたき始めた!
移動する気かもしれん、止めるぞ!」
「おう、もう一発ぶち込んでやる!」
『あしどめ、てつだおうか?』
「おう、手伝えるなら手伝ってくれ。
派手に頼むぜ。」
『らー。それじゃ、とりがとんだら、おとすね。』
「頼む。俺たちでは火力が足りなそうだ。
『悪臭矢』!」
「『断ち斬り』!」
二人の攻撃を受け止め、全く動じることもなく飛び立っていく・・・。
『めつぶしー。』
槍のような『力』が、空に一筋走った、ように感じた。
・・・頭が焼き切られた鷲獅子が、大きな音を立てて落ちてくる。
「え・・・?」
「冗談だろ・・・?」
『たぶんあたったとおもうけど。
あしどめ、できたかな?』
「・・・まあ、足は止まってるな。文字通り。」
「目つぶしもできているな。文字通り。」
『み?
たたかい、どうなったの?』
「目つぶしで焼かれて、死んでる。」
『むー。やきとりになってたんだね。
そのとり、おいしい?』
「喰ったって話は聞いたことないな。
料理できればうまいんじゃないか?」
「貢献度を考えれば素材はほとんどそっちに贈られるはずだから、味見してみたらいいんじゃないか?」
『それなら、あとでためしてみるー。
それじゃね。おにくありがとー。』
「あ、ちょっと待った!」
『み?なに?』
「武器と薬の代金、何を払ったらいい?
正直、薬だけでも俺らの全財産でも足りなそうなんだが、払えるものなら何でも出す。」
『むー。
たぶん、めっきにしかならないくらいしか鉱石渡してないし、ポーションもすぐ使用期限切れるように作ってある。
肉もらったからそれでじゅーぶん。ついかはいらないよ。』
「それでいいのか!?
ミスリルの武器を作れる巻物、なんていったら金貨を積んででも買いたいってやつはいると思うんだが。」
『むー。
使って困るよーなものは使ってないから、だいじょーぶ。
二人の武器も使っちゃったとおもうけど、たぶんそっちのほうが大変?
新しい武器が使いやすいものだったらいいけど。』
「二人とも使ってた武器より強い武器になってる。使いやすそうだ。」
『にゃー。それならよかった。
それじゃーね。』
「ああ。ありがとう!」
「ありがとう。」
「・・・・焼き鳥?」
「おいしいか、って、そういう程度の扱いで倒せる人もいるんだな。
まあ人かどうかわからんしどうでもいいが。」
「それに、『滅鬼にしかならない』か。」
「彼女にとっては簡単に作れる程度の武器なんだろうな。
俺らには一生かかっても手に入らなそうな武器だが。」
「訓練しなおしだな。この武器にふさわしい男にならなくちゃいけねぇ。」
「そうだな。」