おとどけもの。
「み?」
「ん、どーしたの白ちゃん。なんかまた変なメッセージでも来た?」
「むー。なんでもない。
くしやきおいしかったなーって、おもった。」
「そうね、あれは本当においしかったわね。
モンスターから取れる食材は少し高いけどおいしいのよね。」
「らー。りょーりのしかた、知られてるモンスターは、だいたいおいしいらしいね。」
「それで、メッセージ通り町の外には出たわけだけど、何が起こるんだろうね。
何か変わった気配とか感じたりする?」
「み?探してみる。ひとつ、めずらしいのみつけた。
あっちのほうこう、だいたい二万七千三百めーとる。
おおきなとり、いる。にんげんのひとと、たたかってる?」
「27300メートル・・・かなり遠いわね。
他の町かしら、それとも、旅人が戦っているのかしら。」
「鳥?
人間と戦ってる、っていうことは、けっこう強い鳥なのかな?」
「そうでもない、かな?
でも、いまたたかってるひとは、このままだとまけるね。
ひどいけがしてる。ぽーしょんたりない?
ふらふらなかんじ。」
「うわ・・・
ケガしてるところに襲われたんだったら大変だよね。
鳥って飛ぶしさ。ちょーど良く撃ち落とすとか難しいでしょけが人には。」
「むー。そうだね。
てつだい、したほーがいいかな?」
「うーん、できるならしたほうが良い、んじゃないかな?」
「むー。それなら、手伝い必要か、きいてみるね。」
「『天眼術』『心話術』」
「遠くと話す魔法もあるんだね。
本当に何でもできるって感じだなぁ。」
「私たちは周りの警戒でもしていましょうか。」
「そうしようか。それじゃみやっちはあっちの方を。あたしはこっちを見るね。」
・・・
・・・
『つーしんてすと、つーしんてすと。
声聞こえてる、かな?』
「!?」
「子供の声?
逃げ遅れか?」
狩人があたりを見回すが人影は見当たらない。
また広場の向こうから破壊音が響いた。
戦士が首を振ってつぶやく。
「いや、逃げ遅れとかではないようだな。近くに気配がない。
遠くの遠く、しかも上から見てやがるぜ。」
狩人が遠くの空を見上げ、うなずく。
「なるほど、あれか。
姿は見えないが視線は感じる。
・・・何の用かは知らないが、一応返事はしておくべきだろうな。
何者だったとしても、この状況はこれ以上悪化しようがないし、特に問題はないだろう。
『聞こえている。用があるなら手早く頼む。こっちは今にも死にそうなんだ。』」
『てつだい、いる?
必要なら、目標の指示をしてね。』
「そこからどうやって手伝うつもりなんだか知らんが、何ができるんだ?」
『武器、薬、ある。』
「薬でどうにかなるような相手じゃないんだ。
気持ちだけ受け取っておくよ。じゃあな。」
戦士は会話を打ち切り、鷲獅子の様子を確認することに専念することにする。
「いや、待て。
まだ会話を終えるには早い。
目指すものは、アレの足止め。1刻くらいは時間稼ぎしたい。
俺たちの武器は斧と弓だが全く歯が立たなかった。
なんとかできるような武器、準備できるか?
成功報酬は、俺の持っている物なら何でも払う。」
「俺『たち』の、だ。
二人分、賭ける。」
『らー。それなら、てつだえる。
いまから、ふたりのちかくに、道具を飛ばす。
さわればつかいかたわかるようにしておくね。』
言葉が終わると同時に、遠くに感じていた気配が消える。
「・・・・変な賭けに付き合わせちまったな。」
「いつものことだろ。気にすんな。」
がれきの間から光る球体が現れ、二人の近くまでゆっくりと飛んでくる・・・。
光がおさまると、棒のようなもの、石のようなもの、巻物、液体の入った瓶などが現れた。
「なんだかわからんが、これが『足止めのための道具』なんだよな。」
「そのようだな。
見た目は偽装しているようだが、桁外れの力を感じる。
賭ける価値は充分ありそうだ。」
「それじゃ、行くか。」
「ああ。行こうか。」