やきとりおいしい。
「まあとりあえず、なにか注文してから依頼書の束を見ようか。」
「そうね。この数だとおおまかなところを確認するだけでもかなりの時間かかりそうだし、なにか注文してからのほうが良いわね。」
「み?
このくらいならすぐに見終わると思うけど。
でもなにかたのんでおいたほーがいいのはおなじだね。さかばだし。
むー。なにがいいかな。」
「まだそんなにおなかすく時間でもないはずだから、軽めにしておくのが良いかもね。
あ、猪鳥の串焼きが売ってる。珍しいなぁ。
すいません、これ2皿おねがいしますー。
白ちゃんも同じの食べる?」
「らー。たべてみたいー。」
「猪鳥を調理できるということは、このあたりにはサムライがいるのかしら?
普通の方法では調理できなかったはずよね。」
「むー。
クリティカルかオーバーキルかカウンターで倒さないと固くて食べられない、だったはず。
かたいままだと、素材をはぐのも難しくなるし品質もすごく落ちる。
サムライはクリティカルがでやすいはずだけど、ほかのスキルでもできないわけじゃないはず。」
「そうなんだ、サムライだけなんだとおもってた。」
「さむらいそーどは、切れ味は良いけど耐久度が低いものが多い。
クリティカルとかカウンターをある程度狙って当てられるよーな人じゃないと、すぐ武器がこわれる。
だからさむらいそーどをふだんのぶきにできるひとは、かなり強い人が多い。」
「そういうことなのね。
サムライが使う武器を使いこなせるくらいの実力があるなら、猪鳥をうまく倒すこともできる。
でも、猪鳥をうまく倒せるのがサムライだけというわけでもない、でいいのよね。」
「らー。そんなかんじ。
そういう考え方は面倒だけど、情報が限定されている時は役に立つ、かも。」
「うーん、あたしには難しいかな。
まあ細かいこと考えなくちゃいけないよーなこともあんまりないだろーし、難しいことはみやっちに任せればいいよね。」
「私に任せられても、知らないことも多いし間違えることも多いと思うわよ?」
「あたしよりは冷静に考えてるんじゃないかなー。」
「わたしも、むずかしーことはあんまりかんがえられないから、たべてから考える。」
「うん、おいしいものあるときは食べるのに集中するほうが良いよね。
まだかなー。」
・・・
「にゃー。これ、おいしいね。
やわらかいからたべやすいし。」
「そうだねぇ。この肉汁がいい感じ。あとで追加で頼んでおこう。
そーいえば、強いモンスターほど食べるとおいしいってのはホントなのかなぁ。」
「らー。
人間の人の味覚はそれぞれだろうけど、食材にできるようなモンスターなら強いモンスターのほうが品質はいいはずだからたぶんおいしいはず。
食材にできない場合は、なにかの材料として便利だったり、なにか長所があるものが多い、のかも。」
「なるほどー。
やっぱり強いの倒すといいことあるんだね。」
「にゃー。そうだね。
でも、料理できなかったら料理人に安く売るしかなかったりするし、狩れればいいってだけじゃないかもしれないよ。
安く売っている人がいるからこんなに安い値段で買えるんだけど。」
「言われてみれば安すぎる・・・のかな?
あ、そういえば、みやっち、まだ料理食べてないんじゃない?
この串焼きおいしかったよ。1本食べる?」
「え?
あ、ごめんなさい、依頼書を読むのに集中してたわ。いただくわ、ありがとう。
あら、ほんとね、この串焼きとってもおいしいわ。」
「にゃー。そうだねー。
なにか、気づいたことあった?いらいしょで。」
「草刈り、モンスター討伐、薬の調達、素材納品、調理代行、加工代行。
あとは護衛依頼や合同チームでの移動・・・。いろんな依頼があるみたいね。
そのなかでも、ポーションと麻痺ポーションの買取りはそれだけで依頼書の束ができてしまうくらい依頼があるみたい。
こんなにたくさん買取しているということは、現状麻痺状態になっている人が多い、ということね・・・。
自然に治るようなものではないということかしら?」
「むー。かなり長く続くと思うよ。
種類によるけど、ポーションが必要になるくらいの麻痺毒だと、耐性なしだったら自然に治るのにはさんじゅーにちくらいはかかる、かな?
全身麻痺の毒だったら早めに切れる物が多いんだけど、たぶんこのへんで出るのは一部分の麻痺だろうから、その分持続時間は増えるはず?」
「30日もかかるの?
それなら値段が高くなるのもわかるわね。
30日休まなくちゃいけないのを短縮できるなら、かなりの金額を払うでしょうし。」
「ねだんは、ざいりょーのてにいれにくさも、あるかも。
たぶん、ふつうの作り方だと、解毒剤と似た材料必要になるし、その材料は町の中ではたぶん取れないから、外に行って集めることになる。
麻痺してくるモンスターが出るわけだから、草取りに行ったひとが麻痺毒にやられることもある。
だから、麻痺消しの必要な数は、たぶんあんまり減らない、と思う。
薬草あつめするひとは、だいたい戦うの苦手だろうし。」
「狙った草だけ都合よくはえてるわけでもないだろうしねぇ。
高く買い取ったからっていっぱい作れるわけでは無いだろーね。」
「あの、ここからはちょっと小声で話すわね。」
「み?
聞かれるの心配なら、ないしょばなしの結界張っておくから大丈夫だよ。
『遮音結界』。
にゃー。これで普通の声くらいなら大丈夫。ほかの席には聞こえないよ。
大声出したら聞こえちゃうけどね。」
「ありがとう。
あの、ちょっと気になったんだけど。
ふつうの作り方だと、材料が手に入りにくいのよね。」
「らー。そうだよ。」
「普通じゃない方法なら、違う材料でも作れる、ということかしら?」
「み?」