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ポーションつくりは、たいへんです。

「それじゃ、依頼書がどんなものがあるか見てみよーか。」


「らー。どんなのあるのかな。」


「まず、緊急の依頼が貼ってあるっていう看板から見ていくのがよさそうね。」


「らー。そうだね。

 きんきゅうの依頼書はすくないね。」


「そうみたいだね。2枚だけ。

 どっちも依頼者が冒険者協会になってるから、依頼というよりは買取り金額が高くなってることの告知だね。

 麻痺を治す『キュアパラライズポーション』の品質D級の買取りが1本銀貨2枚。C級は銀貨15枚。

 普通のポーションはD級が大銅貨5枚、C級が銀貨8枚、B級は銀貨80枚・・・。

 あれ、ポーションってこんなに買取り高いものなの?

 C級とか、働いてた図書館の薬箱に何本か入れちゃったし、ケガしたとき1本飲んじゃったし。

 あたしの給料1週間分より高かったんだね、あれ。」


「図書館の薬箱にいつでもD級ポーションが補充されていたというのも、この値段を見たあとだと驚きね。

 薬代にいくらくらいかかっていたのかしら・・・。」

 

「むー。

 くすりは、ある程度以上の実力付けようとすると、ものすごいかずつくらないといけない。

 そのばあい、作ったの全部ふつーにかいとりにだしちゃうと、余って買い取り値段下がるかも。

 そうなると、そのあとに薬職人になろうっていう人が少なくなって、結果的に薬不足になるとおもう。

 売らないでどこかに寄付したり知り合いに配ったりする人もいると思うよ。

 だから、ねだんは、うるひとのきぶんしだい、だね。そうばとかかんがえても、あんまりいみはないとおもう。」


「へぇ、そんなにたくさん作らないと実力つかないんだ?」


「らー。

 B級を時々作れる程度の実力までいくだけでも、普通の人間の人なら訓練で何万本か何十万本かは作らなくちゃいけないと思う。じつりょくそうおうのつくってたとかていしても。

 物を作るスキルは上げにくいものがおおいみたいだけど、そのなかでも薬は作る回数がものすごく多く必要。」


「なるほど。人間の限界がそのくらい、って言われるのもわかるね。

 B級を安定して作れる、っていうところまで行くには、寿命が足りない、っていう段階になってそう。

 たとえば1日100本くらい作れるようになったとしても100日で1万本しかいかないんだもんね。

 それに、お金目的で薬作ってたとしたらC級が作れるようになった時点でお金には困らなそうだし、そこからB級に手が届くところまで何万本っていう数を作る気にはならなそう。」


「らー。

 だから、ほかのスキルで補助したり、もっとレベル高い人に教わったりするとかいう方法がないとかなり苦労するんじゃないかな。

 あと、調合技術の本とかも、良いものがあればかなり訓練がはやくすすむ、かも。」


「うん、教われば早く上手になる、っていうのは納得だけど、そんなに何十年もかかって苦労した技術をほかの人に教えよーとする人も少なそうだねぇ。」


「まずそんなレベルのスキルを持っている人を探すのも難しいでしょうしね。」


「むー。そうかも。

 この2枚の緊急告知から考えると、たぶん虫系のモンスターで麻痺攻撃を持っているものが多く発生してるみたいだね。」


「えっと、麻痺ポーションが必要ってことで麻痺攻撃持ちがいるんだろうな、ってのはわかるけど。

 それが虫系って思うのはなんでなのかな?」


「麻痺する毒もってるのは、虫系とか、獣系とかのモンスターが多い。

 まほーだと雷系全般で麻痺発生の可能性があるけどあんまり効果時間が長いものは少ないし、高レベルな雷魔法使う相手だったら麻痺する以前に命が危ない。だから、雷魔法で麻痺の薬が必要な状況になる確率は低いだろうし、そういうの必要な状況になってから麻痺の薬を募集するのでは遅い。

 そして、獣系モンスターはほとんどが足が速いから、麻痺状態で逃げ切るのは難しい。だからやっぱり薬が必要になることは少ないはず。

 虫の場合、偵察のために弱いのがバラバラで動くこともあるし、偵察役の虫はあんまり深追いしてこないから逃げるのも比較的簡単、だから、逃げ切れたけど麻痺で体の調子が悪いっていう状態になることもたぶん多い。

 麻痺毒は弱い物でも効果時間がものすごく長いから、薬がないとずっとからだのちょーしわるくなる。だから、麻痺攻撃受けた人は麻痺消しのポーションがほしくなる。たくさん売れる。

 だから、たぶん虫系、その中でも蜂とかみたいに、群体で動いて、場合によって少数での偵察してくる習性があるものがあやしい。」


「戦うために薬買い取りっていう可能性はないの?」


「戦うためだったら、耐性強化のポーションのほうも買い取りしてないとおかしいんじゃないかな、と思う。

 麻痺消しのポーションも、普通のポーションといっしょで、効くまでにかなりのじかんがかかる。戦闘中に治せるようなものではないよ。」


「えっと、耐性強化のポーションなんて言うものがあるっていうこと自体初耳なんだけど。

 麻痺が効きにくい体質にできるってこと?」


「らー。いちじてきだけどね。

 麻痺の発生確率を下げるぽーしょんとか、麻痺した時の復帰速度を上げるぽーしょんとかある。」


「それは戦いに行く人は欲しくなるだろうね。

 そういうのが募集されてないっていうことで、戦いに行く目的じゃないってことがわかるわけだ。」


「らー。たぶん、だけどね。

 まだほんかくてきな戦いは発生してない、おおものがでるまえの前兆程度のモンスター発生率なんじゃないかな。

 だから、へたに討伐依頼とか出すより、なにごともないかんじにしておきながら薬の在庫を増やす、っていうさくせんなのかも。

 ふつうの人間の人のポーションの生産速度、あんまり早くないみたいだし。」


「うん、まあ一人が1日で作れる薬はあんまり多くはないと思うよ。

 材料もそれなりに良いの使わないと、品質良いのは作れないはずだし。」


「むー。いいざいりょうあつめるのって、むずかしそうだね。

 わたしのばあいは錬金術でてきとーに品種改良するだけだから簡単だけど。」

 

「てきとーに、で改良できちゃうのがすごいなぁ。」


「錬金術をべんきょーすればある程度はできる、かも。

 おなかすいた、なにかちゅうもんしよう。」


「あ、そうだね。

 注文してから、イスに座って依頼書の束見ようか。

 立ってるのも疲れるし。」


「らー。そうしよー。」

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