さかばまであるく。
「それじゃ、白ちゃんの空腹も限界に近いみたいだし、酒場まで行こうか。」
「にゃー。そうしよー。」
「あ、それなら酒場の前までお見送りしますね。」
「み?
コビットさんはおなかすいてなかった?」
「はい、残念ながらさっき食べたばかりなんです。
それに、今日はシロちゃんも忙しそうですし。」
「らー。きょうは『ヒマなとき』ではないね。
ヒマな時てつだうかもって言ってたから、きょうはてつだうときではないってことになるー。」
「白ちゃんのヒマな時、って、ぜんぜんなさそうな気がするね。」
「そうね。いつも起きてるときはなにかの作業をしているようなイメージがあるわ。」
「いそがしいからさぎょうをするときもあるし、ひまだからさぎょうをするときもあるー。
ゆーせんじゅんいがたかいさぎょうがあんまりないじょうたいのことを、ひま、ってひょうげんしてるかんじ。」
「お二人が一緒に居る時はそちらが優先順位が高いということですね。」
「らー。そんなかんじー。」
・・・・・
「なんだか、この町の建物、いろんな形のがバラバラに建ってる感じだね。なんか不思議に思う。
草みたいなので屋根にしてあるのもあるし、木の家、レンガの家、あれは石を積み上げて作った感じ。
ゼライムゼラチンみたいな感じの家まであるよ、どういう作りしてるんだろう、あれ。」
「建築用の素材が特定の物に集中して取れる、とかいうことが無いんでしょうね。
もしくは、職人の技術、流派がバラバラとかかしら?
全体的に建物の質はよさそうに見えるけど、ボロボロになっている家も多いみたいね。」
「そーだね、みやっちの言う通り、時々廃墟みたいなぼろぼろの家があるね。
修理とかする人はいないのかな?」
「僕がこの町に来てから、家を修理しているのを見かけたことはありません。
修理の技術を持っている人がかなり少ないのかもしれません。」
「むー。
けっこう高い技術で作られた家が多いみたいだね。
材料の質のわりに、家の品質が良すぎる、っていうかんじ。
これを修理するには、かなり高い技術が要求されると思う。
半端な技術で修理しようとすると、逆に劣化が早くなったりもする恐れがあるね。」
「そーなんだ。
まあ素人目に見ても、あの石の家と草の家が同じ方法で治せるとは思えないしね。
ってことは、それぞれの直し方が思いつく程度の技術は最低限必要、と。」
「らー。そんな感じだとおもうー。
さかばについたー。」
「あ、この店?
雰囲気いい感じだね。適度にごちゃごちゃしてていい感じ。
なんか懐かしさを感じる。」
「それでは、僕はここで失礼しますね。」
「わざわざお見送りしていただいて、ありがとうございます。
道案内していただいたおかげで迷わず来れました。」
「いえいえ、このくらいならいつでもお手伝いいたします。
それでは、また機会がありましたら。」
「にゃー。またこんどー。」
「道案内ありがとねー。」
「うん、それじゃまた今度!」
・・・・
「それじゃ、酒場に入りましょうか。」
「そうだね。入ろう。」
「らー。」