しょたいめんとじょうほうこうかん。
「コビットさん、二人をつれてきたよー。
門つかわせてくれてありがとー。」
「はじめましてー。あたしの名前は『はやて』、住所不定の無職でーす。
転移の魔法陣を使わせてくれてありがとーございますっ。」
「はじめまして。『みや』と申します。私も無職、です、きょうから。」
「はじめまして。『コビット』と申します。裁縫職人をしています。
このたびは、転移先にお選びいただき、ありがとうございます。」
「あ、いえ、こちらこそ転移門を使わせていただき、ありがとうございます。
お家の中にある門を使わせていただくことで、ご迷惑をおかけしていると思います、申し訳ありません。」
「いえいえ、これは移動できるものですし、家の中に置いてあるのも僕が選んだことですから、迷惑なんて全くありません。
都合が悪い時は魔法陣の紙をたたんでおけば転移の出口に使えないようになっていますので、転移できるときはいつでもご利用ください。」
「そういうことでしたら、魔法陣の扉を開いていてくれたことに感謝を。」
「それでは開いた扉を通ってくれたことに感謝を。」
・・・
「なんか、みやっちと「コビットさん」がマジメ会話始めちゃったね。
入る隙がないかんじ。」
「らー。そうだね。
あの速さでまじめかいわされると、ききとるのもむずかしい。
ひとりぶんならなんとかききとれるんだけどね。」
「ああ、そーいえば敬語嫌いって言ってたっけ。」
「らー。ふだんのしゃべりかたと意識的に変えてるしゃべりかたは、ききとりにくい。
あとでみーたんにきけばいいだけだけど。」
「そーだね。あたしもマジメ会話するのが苦手だから、みやっちにまかせておくことにしよう。
あとでお礼言っておけば大丈夫な気がするし。
そーいえばさ。あの人がお友達、ってことでいいんだよね?」
「らー。そうだよ。」
「白ちゃんのお友達っていうから、もーちょっと子供なのかなぁ、って思ってた。
身長だけだと子供にも見えるけど、大人だよね?小人族みたいだし。」
「らー。そうみたいだね。たぶんおとな。
はなしがつうじるおとななら、友達になってもおかしくない、とおもう。」
「うん、おかしくはないと思うよ。
ただあたしが勝手に想像してたのとは違ったなーってだけで。」
「にゃー。それならよかった。」
「けっこー鍛えてるような気配を感じるなぁ。
小人族の中でもかなり強いんじゃないかな、あのひと。」
「み?そーなの?」
「うん、たぶんだけどね。
小人族って、種族的にはあんまりオーラっていうか強そうな気配を出さない種族だって言われてる。
だから、雰囲気、気配で小人族の強さを感知したら、それよりかなり上だと思わないとだめ、らしい。
今あたしが見た感じでは、ちょっと強そうっていう印象だったから、実際は普通に強いかすごく強いか、じゃないかなぁと思う。」
「むー。そーなんだ。
ちょっと戦力想定が甘かったかな。
でも、敵対状態にはなってないみたいだから、けっかてきにもんだいなしとはんだんするー。」
「そーだね。なんか平和そうにしゃべってるし。
話落ち着くまで、少し休憩させてもらうことにしよーか。」
「らー。そうするー。話が終わったら起こしてね、おやすみー。」
「あ、寝た。いつも思うけど、この寝つきの良さはすごいなぁ。
しゃがんだ姿勢のままで熟睡とか、器用なことするね。
まぁとりあえず、話が終わるまであたしも休憩~。」
・・・・
「おあよー。あいさつ、おわった?」
「うん、終わったよ。ごめんね待たせて。おはよう。」
「あいさつと情報交換を少しできたわ。待たせてごめんなさいね。」
「わたしはねてたからだいじょうぶー。」
「あたしは少し待ちくたびれた。
んで、情報交換ってどんな感じだったの?
あたしが今知ってる情報は『コビットさんがなにかの場所を探してて、参考にするために白ちゃんに時々質問する約束してる』ってくらいだけど。」
「私が今聞いたコビットさんの情報は
『コビットさんたちは悪魔みたいなものに飛ばされて、バラバラにいろんな村に飛ばされている。
もともと住んでいたところに帰るには、謎を解かなくてはいけない。
謎解きの参考にするために、白ちゃんに手伝いを頼んだ。
転移の魔法陣は白ちゃんが準備したもので、一方通行。いつ来るかは白ちゃんの気分しだい。』というくらいね。」
「僕が聞いた皆さんの情報は、
『シロちゃんとお二人の関係は「姉妹」、ということにした。
ただしシロちゃんは姉妹という意味がよくわかってないときもあり、「飼い主」という認識をしていたこともある。
長期休暇を取って旅行しに行くことにした。
とりあえずの目的はおいしいものを食べに行くこと。
ここの近くの酒場の料理がおいしいということでここを選んだ。』ということです。」
「そーいえば、白ちゃんとあたしが姉妹で、白ちゃんとみやっちが姉妹、ってことは。
あたしとみやっちも姉妹ってことになっちゃうってことかな?
うわ、なんか恥ずかしい気がする。」
「そういえばそういうことになるのかしら。
私は恥ずかしいことじゃないと思うけど。」
「むー。それはみーたんとはーたんのはなしあいでいいんじゃないかなー。」
「言われてみればそうかもね。
自分の兄弟がどこかで誰かと義兄弟になったとして、今日からこいつとお前も兄弟だ、とか言われても困るだろうし。
うん、解決。ありがとー。」
「にゃー、よかった。
おなかすいた。なぽたんたべたい。」
「酒場にナポリタンはあるのかな?行ったことないから知らないけど。
まあとりあえず、その酒場に行ってみよーか。」