言葉の意味を考える
「ありがとー。
それじゃ、きょうのしつもんはなにかな?
『探してる場所』についての質問もある?」
「あ、はい、いくつか質問させてもらえればある程度のヒントがつかめそうな気がします。」
「にゃー。そーなんだ。
今の時点では『探してる場所は街だ』『住んでる人、10万より多い』『その街には迷宮がある』くらいしかきいてないんだったよね。
そこから候補を絞れるような質問、おもいついたかな?
それじゃ、ねむくなるまえにおわるよーに、しつもんしていってね。」
「はい。
では、以前の会話からもう一度質問させてください。
繰り返しになりますが、再確認のために。」
「らー。どうぞー。」
「『スキルポイント』という言葉の意味は、ぜんぜん分からなかったんですよね。」
「らー。ぜんぜんわからないよ。」
「『スキル』という言葉の意味はわかりますよね。」
「らー。わかるよ。
技術とか体質とか、メリットになるような要素のことだね。」
「『スキルポイント』という言葉は、『スキル』という言葉となにかもう一つの言葉をつないだものです。
その情報を聞いた後だと、スキルポイントという言葉の意味は理解できますか?」
「むー。
たぶん、財産とか、自分の力とか?
『使える物?』っていうかんじのことばとつながってるかんじがする。」
「では、『スキルポイントとは、特定の、遊びの、中で、スキルを、覚える、鍛える、という目的で、使える、点数です。』
この文章を聞いた後だと、スキルポイントという言葉が『スキル』という言葉と何の言葉を組み合わせて作られる言葉なのか、わかりますか?」
「み?
それなら、たぶん、スキルとつながってる言葉は、『数』とか『得点』とかいうことばだね。」
「はい。
スキルポイントとは、スキル、と、ポイント、をつなげた言葉です。」
「にゃー。ばらばらで言ってもらえれば、わかるね。
すきる、と、ぽいんと、で、スキルポイント。おぼえたー。」
「私が話している言葉では、そのままつなげただけなのですぐわかるようになっているんですが、共通語ではわかりにくいんですね。」
「むー。わかりにくい、じゃなくて、わからない、かな。
『共通語』は、二つの単語を一つにごうせいすると、ぜんぜん違う発音になることがある。普通につないだだけの時もあるけど。
ちがう発音になる場合は、『つなげる前の言葉を聞いてつなげたあとの言葉を作る』のはできることが多いけど、逆に『つなげる前に戻す』のは無理に近いと思う。
下位古代語の『圧縮詠唱』みたいなもの。意味は同じだとしても、短縮形からもとの形に戻せるわけじゃないし、戻す必要もない。そういう感じにわりきったかたちのひょうげんほうほうだね。
もとのことばぜんぶと、つなげた言葉、全部知っていないと、両方が同じ意味であり置き換えても問題ないということがわからない。
だから、聞いたまま使う人のほうが多いかも。
つなげたほうの言葉を言っていたとしても、つなげるまえの言葉を知っているとはかぎらないとおもう。
こういう質問するってことは、探してる場所は、言葉を組み合わせた単語で表現されてたってことかな?」
「はい。『中央』という言葉と、『都市』という言葉の組み合わせでした。。
ただし、他の情報で、『中央にあるわけでは無い』ということも言われました。」
「むー。
最初の言葉が、『重要な、場所』とか『ばしょ、まんなか』かな?前後の言葉によって意味が変わる単語だね。
ふたつめ、『食べ物を買う?』っていう感じの言葉にきこえるね。これは聞いたことない単語だね。
みっつめが『ひとつめの否定』だから『場所がまんなか』が否定されるはず。
まとめると、『そこは、重要な、場所だ。』『場所は、まんなか、ではない。』『食べ物を、買っている』っていう感じに解釈できると思う。
固有名詞ではなくて、形容詞とか説明文だと認識して無理やり文字通り解釈するとそんな感じ。」
「二つにわけるまえの言葉を『固有名詞』だと解釈するなら、人間の人の言うところの『共通語』において、その単語は、書き言葉としては一般的ではないということは言えると思うよ。口伝とかまで把握してるわけでもないからはなしことばについてはわからないし、方言とかもあるから確定情報とは言えないけど。
もし現代の人間の人の書き言葉で使われているとすれば、閉じられた集団の中で使われる『暗語』とか『符丁』とか『宗教用語』とかの可能性があるかな。たぶん。あと特定の地域もしくは組織で使われている『方言』っていう可能性もあるかも。」
「あと、コンポンテキに違う言語、『共通語以外の言語』っていう可能性もあるね。たとえば種族特有の言語とかだと、ほかの種族には全く理解できないものとかもあるらしいし。そーいう言語の言葉だったら、別の言語の読み方をすると全然違う意味になっちゃうこともある。
例えばオーク語の発音で『準備完了しました』っていう意味の言葉を言うと、共通語では『お前らみんな死ね』に聞こえるっていうのがあるらしいし、そういう変な意味になっちゃってる可能性もゼロとは言えないかも。」
「『そこは重要な場所。』『場所は真ん中ではない。』『食べ物を買っている』・・・ですか。
固有名詞に、『食べ物を買う』という意味が入っているとすれば、『常にほかの町や村からの食糧輸送を受けないと成り立たないほど人口が過密になっている』、もしくは、『周辺の町や村と比較して極端に経済的な力を持っているために、食料を常に買うことができている。』などの理由が考えられますね。
そして、ある程度安全な輸送方法が確立されている、というのも言えるかな。」
「むー。安全な輸送方法、は、人間の人はあんまり気にしないことが多いみたいだから、よくわからない、かな。
『希少なモンスター』とか、『不吉なモンスター』とか呼ばれる『特定のモンスター』の対策はほとんどとられてないみたいだし。
出くわしたら運が悪かった、ってあきらめるのかもしれないけど、けっこう高い確率で当たっちゃうと思うんだけどなぁ。
モンスターの移動パターンの割り出しとかする、っていう考え方はあんまりない感じなのかも。
特殊なスキルを使わなくても、式神でも飛ばせばある程度は偵察できるはずなんだけどね。」
「えーっと、たぶん式神っていうのはかなり特殊なスキルになるとおもいます、よ?」
「み?そーなの?
紙鳥くらいなら子供の遊びくらいの技術で折れると思うけどなぁ。
形さえできてしまえば魔力で指示与えて飛ばすだけだし、むずかしくはない、よね。」
「いえ、間違いなく難しいと思います。」
「むー。そうなんだ。
それなら、強いモンスターを避けて進むのは難しいかもしれないね。
今度お出かけするときには護身用の道具をもうちょっと多めに持ってきたほうがいいのかなー。
おなかすいた。あまいものたべたい。
あるきたくないから、転移門で行きたいけど、家具とかまでえぐり取っちゃいそうだしなぁ。
しかたない、あるくか。」
「えっと、保存食のクッキーならありますけど、食べますか?」
「にゃー。たべるー。」