小人さんは裁縫が得意です。
机に積み上げられた大きな布。
その布の山から1枚とり、裁縫針で手早く縫い始める。
もう少しで縫いあがる、というときになって、部屋の壁に貼ってあった魔法陣が光り始める。
魔法陣は扉へと変わり、ゆっくりとその扉が開き、小さなエルフがその扉から入ってきた。
「こびっとさん、こんにちはー。
み?作業中、かな。」
「あ、シロちゃん、こんにちは。ちょっとだけ待っててくださいね。
途中で作業を止めると危ないので。」
「らー。まってるー。」
厚手の布で作られた簡素な服が完成。
それを棚に置き、振り返る。
「・・・これでよし、と。
おまたせしました。」
「さいほー、してたんだね。」
「あ、はい。
まだまだ品質の良いものは作れませんが、内職程度に作業しています。」
「品質、すごくいいように見えるけど?
作業服みたいな服だけど、このくらいの品質だったらいろんな目的で使えそう。」
「これは偶然うまくいったもので、普段はこれよりかなり品質が下です。」
「そーなんだ。
でも偶然でもこのくらい作れるなら、けっこう実力あるんじゃない?
良い服は、付与術師とかなら材料として欲しがりそうな気がする。」
「付与術師の知り合いはいないですが、時々市場に売りに行くと、少しだけ資金稼ぎできる程度には売れています。」
「にゃー。やっぱりじょうずなんだね、さいほー。
私は編み物は少しだけできるけど、さいほーは本で勉強しただけで実際作ったことはないんだよね。
こんどすこしれんしゅーしてみよーかな。」
「それなら、今度会った時に、裁縫の入門書を準備しておきますね。
そろそろ読み終わりそうなので。」
「ありがとー。
それじゃわたしは本借りた時のために、ぬのとか針とか準備しておくことにするね。
あと、借りてた本返しておくね。」
「あ、はい。それでは、今回のぶんの本と、銀貨を少し先払いで払っておきますね。」
「ありがとー。
それじゃ、きょうのしつもんはなにかな?」