こっちでは、『姫』ではない、はず。
「むにゅ、おあよー。」
「おはよう。今日は寝返りしてなかったわね。」
「毎日あれだと大変だろうしね、おはよー。」
「にゃー。もーふに、寝返り防止の魔力付与、かけてあるー。」
「寝返り防止の魔法、って、本当にあったんだねぇ。
いや、白ちゃんが言ってたのを疑うわけでは無いけどね。」
「いろいろある。
寝言防止とか、寝汗防止とか、呼吸禁止とか。」
「いや、呼吸禁止は、死ぬよね?」
「らー。人間の人ならたぶんそうなるね。」
「それでもあるんだ、呼吸禁止。」
「らー。あるんだー。
でも、普通に攻撃魔法で攻撃したほうが速いから、誰も使わないと思うー。
ものすごく状況を限定しないと使えないし。」
「それでも怖いけどね~。」
「みーたんとはーたんの場合、呪いとか毒とかはある程度はじけるくらいの耐性はついてるはずだから、物理攻撃だけ気を付けてれば大丈夫だと思う。
私の攻撃魔法は対象外になるようにせってーしてあるし、ほかの人のは弱いのなら自力で打ち消せるくらいまほーぼーぎょあがってる。」
「そーなの?知らなかった。」
「魔法に対する耐性がどのくらいか、っていうのは表示もされないからわかりにくいわよね。
私やはやてちゃんくらいだと、どんな魔法があってどのくらい強いのか、というところもわかっていないわけだし。」
「むー。せつめいは難しいけど、みーたんとはーたんが練習してた魔力認識、あれがやくにたつ。
なんかいやな感じの魔法を感じたら、こんなの認めない―ってかんじに、きあいをいれる。
そーすると、たいないのまりょくがいい感じに防いでくれる。」
「気合で防げるの?」
「らー。呪いとかのまほーは、防ぐっていう意識が高い時には、かかりにくくなる。
火球とか火葬とかの形を持つ魔法も、そーいう意識が高いと、少しダメージが少なくなったりする。
圧倒的に魔力が高い場合は気合とか関係なしにかかるけどね。
防ぐっていう意思と、防げるっていう思い込み、あと自分の耐性と魔力量、そのほかいろいろで相手の魔力の力に勝てるかどうかのしょーぶ。」
「なるほどー。意外に、精神論でなんとかなっちゃったりもするんだね。」
「圧倒的に相手が強い場合は関係ないのね。当然といえば当然ともいえるけど。」
「むー。普通の攻撃でたとえると、かんたんかも。
攻撃魔法は、ぱんちとかきっくとか。当たると痛い、でも、身構えてれば多少は被害減らせる。不意打ちされるとすごく痛い。
呪いは、足元に引っかかるよーにしかけられたなわのわな?事前に見つければ防ぎやすいけど、引っかかると痛い。
儀式魔法は、投石機みたいなかんじ。撃たれる前になんとかしないとたいへん。」
「ああ、そういわれるとわかりやすいね。
魔力認識を持ってないってことは、目が見えないようなもんってことになっちゃうわけだ。」
「らー。まほーの戦いではそんな感じ―。
だから、魔法認識は重要なんだよ。
おなかすいた、ごはんたべるー。」
「あ、そうだね、ごはんにしよーか。」
・・・
(もぐもぐ)
「むー、もうたべれない、きゅーけい。」
「そーいえばさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、都合が悪いなら答えなくて大丈夫だけど、聞いていいかな?」
「み?どんなしつもん?」
「なんかさ、あたしとみやっちにいつのまにか『王を従えし者』っていう称号ついてたんだけど、なんか心当たりあったりする?」
「むー。たぶん聞いたことない言葉、かも。
言葉を区切るとか、他の言い方とかあるなら、わかるかもしれない。」
「区切ると、王、従わせる、者、かな。」
「にゃー。それならわかるー。
たぶん、わたしがきのうの夜に称号いろいろ増えたからそれが原因だとおもうー。
王っていう言葉が入ってる称号もあった。」
「いろいろ、って、そんな急に増えるもんなんだ?」
「王という名前の称号、ということは、この場合の『王』というのは優れたものを表すものかしら。
そういう表現にも使う単語よね。」
「急に増えることもあるみたいだねー。
私の称号の『王』っていう部分は、『一番』っていういみみたいだよ。
一番多いとか一番弱いとか一番強いとか、とにかくいちばん?
なにのなかでいちばんなのかはわかってないけどね。」
「あー、まあ普通に考えれば魔力量とかは一番なんじゃないかなって思うね。
魔力結晶たくさん作ったりもできるみたいだし、普通の量じゃないのはまちがいない。」
「そうね。他のエルフを見たことあるわけじゃないから、他のエルフはもっと上って可能性もなくはないけど、少なくともこの街の人間では勝ち目はないと思うわ。」
「むー。わたしも、ほかのエルフの強さはわからないー。
たぶん、わたしのほかにエルフがいるなら、普通の人間の人よりはかなり強いと思うけど、どの程度かは想像つかない。」
「そうよね。あんまり数はいなそうだし、それで強さが人間並みだったら『恐ろしい』っていう扱いにはならないわよね。普通に考えれば。」
「らー。たぶんそうだね。
私は人間の人より弱いけど。」
「まあとりあえず、『王を従えし者』っていうのは、『王』の称号を白ちゃんが手に入れたからなわけだ。
・・・なんであたしらが『従えている』っていうあつかいになるんだろーね?」
「むー。わたしみたいなのがどういうあつかいになってるのかはわからないけど、想像はできる。
人間の人みたいなあつかいなら、いつもの発言で『従っている』という判定になってもおかしくない。
獣みたいなあつかいなら、おなかさわられても逃げてないってところで『従っている』っていう判定になるかも。
あと、私が『ペット』のスキル持ってるからっていう可能性もあるかな。」
「なるほどー。おやつの時のおなかぷにぷにが原因って可能性もあるわけだ。その推理だと。
みやっちもこの前さわってたしね。」
「えっと、白ちゃんのおなかを触ったのが原因で称号を手に入れてるかも、って、そんなことでいいのかしら?
この称号、かなりの力を持ってるみたいよ・・?」
「み?かなりのちから?」
「うん、かなり強い。
HPとかMPとかにプラス修正かかってるみたいだね。」
「むー。しょーごーつくとつよくなる、そんな称号もあるんだね。」
「え?称号つくと強くなるのって、普通よね?」
「み?そうなの?」
「うん、普通だね。白ちゃんはなってないの?」
「むー。そーびした称号1個のぶんはつよくなってるけど、ほかのでつよくなってることはないとおもうよ?」
「え?称号を装備?なにそれ?」
「み?しょーごーじょーほーひらいて、そうび、だよ?」
「情報画面展開、称号情報、『称号を装備』・・・
ほんとだ、装備できるみたい。
ためしに装備してみるね。『王を従えし者』を装備。
うわ、なんだこれ。」
「称号装備、わたしも初めて聞いたわね。
どんな効果があったの?」
「なんか、MPの最大値が増えてる。
こんなのあったんだ。知らなかったよ。
良いこと教えてくれてありがとー。」
「気力が増えるなら、訓練を今までより効率的にできるようになりそうね。
白ちゃん、ありがとう。」
「にゃー。つよくなったならよかったー。」
「うーん、そーなると、白ちゃんの称号で白ちゃんが強くなってないってのは、どーなんだろーね?
今の称号装備の話みたいに、なんかに気付いてないってこと?」
「むー。どうなんだろう、わからない。
もともとが弱すぎて、強化しても変わらないのかもしれないし。
とりあえず、こんどゲームセンターでたたかってみてためしてみるー。」
「ゲームセンターなら安全に試せるわね。」
「らー。そうだねー。」
「そーいえばさ、さっきの称号装備の話からすると、ほかの人も称号装備すれば強くなるってこと、だよね?」
「らー。たぶんそうだね。
でも、無意識のうちに装備してる場合もあるらしいよ。
持ってる称号の中で、自分を表すのにふさわしい言葉だ、って感じに、意識を同調させる感じ?
そんなかんじになると、無意識のうちに装備されたことになることもあるみたい。
あと、逆にトラウマとか劣等感とかそーいうものが称号になって装備されちゃうこともあるみたいだね。」
「ほうほう、つまり、私は強いぞーっていう信念っていうか思い込みが実際強くしちゃうよーなそんな感じ?」
「らー。だいたいあってると思う。
だから、たぶん、普通にある程度強くなってる人間の人は、自然に装備されてるんじゃないかな?」
「そうなんだ、っていうことは、センパイとかしょちょーとかがやけに強いのもそーいうのが原因かもしれない、と。」
「レベルやスキルも当然強いでしょうから、原因の一つかもしれない、くらいでしょうね。」
「なるほどー。
そうなると、あたしとみやっちは普通はもっと遅く覚えるはずのを覚えることができた、すごくお得。ってことだね。」
「にゃー。そんなかんじかな?」
「そーいえばさ、『王』を従えし者ってことはさ、ひょっとしたら白ちゃんがエルフのお姫様とか王族だったりして。」
「それはないわよね。いくらなんでも。」
「らー。それはないとおもうー。
ちいさいときのきおくはないけど、そーいうのだったらもーちょっとヒントになりそうなもの持ってるとかありそう?」
「まあそりゃそうだよねー。今も小さいけどね、白ちゃんは。」
「らー。そうだねー。ちいさいー。」