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呪い

 ※今回の登場人物は、呪いでかなり追い詰められています。

 

 痛い話が苦手な方は読み飛ばしても問題ありません。


 『ひどい呪いにかかって全身痛いです』くらいの情報しかありません。











いつもと同じように、自分の叫び声とともに目が覚める。

いつもと同じように、体にはたくさんのひっかき傷。

いつもと同じように、喉は乾き、声は枯れ果てている。

いつもと同じように、『全身がバラバラになってしまいそうな程度』の『激しい(わずかな)痛み』が走る。


いつもの『激しい(わずかな)痛み』で、まだ自分は生きているのだと、思い出す。

いつもの『悪夢(ユメ)』から覚めたことを、思い出す。

いつもの『悪夢(ユメ)』で感じる痛みに比べれば、目が覚めている時の痛みなど、ちいさなとげが刺さったような痛みに過ぎないことを、思い出す・・・。


死とは、永遠に眠るようなものだという人がいる。

私が死んだら『悪夢(ユメ)』を見続けるのだろうか?

それとも、何も感じることなく眠ることができるのだろうか?


そんな妄想を考えた後に、思考は現実に戻る。

呪いが解けるまで、どんな傷を負ってもゆっくりと治っていき、死ぬことすら許されないこと。

眠るたびに、全身が繰り返し砕かれるような痛みの『悪夢(ユメ)』に襲われること。

そして、呪いを解く方法は見当もついていないこと・・・。


悪夢(ユメ)で感じた全身の痛みを思い出し、転げまわる。

全身につけた傷の痛みで、悪夢(ユメ)の痛みを塗りつぶすように。

口から、首を絞められたような声が出る。


しばらく経って、全身の傷も消え、痛みがおさまっていく・・・。

周りをみわたす。

いつもの部屋。

家具がほとんどない、殺風景な部屋。

隅に立っている人影に気付く。


「・・・お兄ちゃん?

 いたんだ。ごめんね、気づかなくて。」


「おう、気にすんな。

 あんな状態じゃ、誰がいたって気づかねぇだろーよ。

 大丈夫か?痛みおさまったか?」


「うん。なんとかね。

 私のことは気にしなくていいんだよ。

 あの日から、何度自殺しようとしても死ななかったくらいだから、頑丈さだけは保証付きだからね。」


「おまえがかまわなくても、俺がかまうんだよ。

 死なないじゃなくて死ねない、だろそれ。

 正直、毎日毎晩おまえの叫び声聞きながら眠るとかつらすぎるからな、俺のためにもさっさと呪いから解放されてもらわないと困るんだよ。」


「あっ、ごめんなさい。

 私のことばっかり考えてて。

 そうだよね。たしかに、毎日私の叫び声聞きながらじゃ眠れないわよね。

 えっと、どうしようか。

 寝る時に口に布でも詰めて寝たほうがいい?それとも庭に穴掘ってそこで寝たほうがいい?」


「そういう問題じゃなくて、さっさと呪いを解きたいっていってんだよ。

 浄化のハーブをスープに混ぜる方法ではだめだったから、今度はこれを加工してくれる職人を探して、『解呪ポーション』を手に入れてくる。

 そうすれば今の状態よりはマシになる、はずだ。

 呪いのほうが強かったらあまり効果はないらしいが、無いよりはマシだろう。

 それじゃ、早速行ってくるぜ!」


「・・・ありがとう・・・

 でも、私は、お兄ちゃんが帰ってくるまでがまんできる自信がないの…。

 怖い…怖い…痛い…」

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